STAP細胞論文 補足・参考情報

動物実験を行う際に研究者が動物実験計画書を提出しなければいけないこと自体があまり知られていないと感じましたので、補足のページをアップしました。

動物実験計画書の事前審査については、残念ながら日本では法的義務はありませんが、以下の事項が関係してきます。

  1. 文部科学省の「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」

    文科省の指針によって、研究者に対しては、動物実験の3Rの原則(代替・使用数の削減・苦痛の軽減)に基づいた実験計画の立案を行うことがもとめられています。また、施設の長に対しては、その動物実験計画の審査を行うための動物実験委員会の設置が求められています。

    しかし、これらのことには罰則も何もありませんし、指針に強制力はありません。

    文部科学省は科研費と連動しているからペナルティがあると言っていますが、小保方氏の研究費は理研の運営費交付金の中から出されているので、関係がありません。

    問題になるとすれば、動物実験に対する法的な規制を求める市民の声に対し、動物実験関係者がこれまでずっと「指針があるから法律は要らない。機関の自主管理で適切にやっている」と言い続けてきたことが実際には違っていたことが露呈するという、スキャンダル的な側面が大きいです。

    ただし、動物実験指針は文部科学省の告示ですが、研究不正のガイドラインは現時点では特別委員会報告書のレベルにとどまっていますから、本来、法令上の位置づけでは動物実験指針のほうが上です。それだけ取り組みの重要度も重いはずですが、研究不正ほど重要視されていない現実があるのは残念なことです。

    「研究活動の不正行為への対応のガイドライン」は、現在検討中の改正の際に、格上げを検討中とのこと。

  2. 理化学研究所の「動物実験実施規程」(当時)
    文科省の指針のもとにつくられている理研の動物実験実施規程にも、「動物実験は、所長が承認した実験計画に従って実施しなければならない」とあります。これが理研の研究員に最も直接関係する義務事項になるのではないかと思います。

    但し、動物実験実施規程には特にこれに違反した際の処分等について定めはないようです。

  3. Natureの”Guide to authers”

    ネイチャーの投稿規定でも、動物を用いた場合、責任著者はいかに些細な実験であってもすべて、承認を得た機関の委員会もしくは公式な許可を与えた委員会を原稿に明記しなければならないとしています。

    該当部分はこちらになります。
    Studies involving animals and human subjects

    STAPの論文の場合は、2本ともハーバードのブリガム・アンド・ウィメンズ病院と理研CDBの動物実験委員会の承認を得ていることが明記されていますので、少なくとも責任著者には、これ以外の場所で動物実験をしていたという言い訳は立ちません。倫理審査を受けていなかったことが発覚すれば、論文取り下げに値します。

    また、ネイチャーの国イギリスでは、動物実験計画に対する国の審査があり、その許可がなければ刑事罰があるような国なので、こういった動物倫理面での違反に対しては日本より厳しい感覚を持っているのではないかと感じます。

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