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大学入試センターに要望書~「生物」で違法な研究手法出題

独立行政法人大学入試センターに要望書を送付するとともに、事業を所管する文部科学省にも写しを送りました。詳細は下記ブログをご参照ください。


2016年5月9日

独立行政法人大学入試センター
理事長 山本 廣基 様

PEACE~命の搾取ではなく尊厳を
東さちこ

大学入試センター試験に対する要望書

動物保護団体のPEACEと申します。私どもは、実験動物など、現代社会の中で一方的に搾取される動物たちの問題に心を痛め活動している市民団体です。

2015年の大学入試センター試験「生物」において、我が国の「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」(人クローン規制法)によって禁止されている研究手法が堂々と出題されたことについて抗議するとともに、試験問題作成者の公開方法を改善していただきたく、本要望書を送付させていただきました。以下の点について要望いたします。

【要望事項】
1.倫理面で懸念が持たれているような違法な研究手法を、まるで行ってよいことであるかのように平然と出題することのないよう、出題のチェック体制を構築することを求めます。

2.試験問題作成者の公開について、
①任期終了と同時に公開してください。
②科目ごとに作成者がわかるようにしてください。
③同姓同名が複数いる場合もあり、所属機関もしくは専門分野等、何らかの識別情報とともに公開することを要望します。

【理由説明】
既に1年以上が経過してしまいましたが、上記「生物」で出題された問6において、「臓器を移植される人から得た細胞を、遺伝的に特定の臓器を欠損した豚の胚盤胞に注入することによって、拒絶反応を起こさない細胞でできた臓器を持つブタを作出する方法である」と書かれている部分は明らかに人クローン規制法において禁じられている違法行為です。これが間違いないことは文部科学省にも確認をいたしました。

この手法は、動物性集合胚の作成によって「人と動物のキメラ」を産みだす技術に該当し、現在は法令上、原始線条が現れるまで(現れない場合は、14日以内まで)しか胚を成長させることができません。設問に書かれているようなブタを誕生させることは違法行為です。

確かにこの研究手法を解禁させようとする動きはあり、内閣府においてその方向で検討するよう促す見解が出たことが報じられましたが、最終的に改正を行うのは文部科学省であり、現在に至るまで解禁は決定されていません。

文部科学省では現在検討中であり、科学的問題について検討するための「動物性集合胚の取扱いに関する作業部会」が終了し、今後社会的、倫理的側面からの検討を行うとされている状況ですが、作業部会でも個体を誕生させるところまでの解禁については懸念が示されてきており、センター入試で出題されたような行為は、規制緩和後も禁止されたままになる可能性が高いと考えられます。

この出題は、違法行為を堂々と合法であるかのように受験生に刷り込むだけではなく、人と動物のキメラを胚の段階から作成することの危険性について考えさせないような出題となっており、倫理的にも問題が大きいものです。

また正解がiPS細胞とされていますが、科学的にもiPS細胞が最適であるかどうかといったことは確かめられていません。未だ誰も成功などしていない技術です。iPS細胞がES細胞と作り方が違うことを理解しているかどうかを知るための設問であれば、もっと違った例でも構わなかったはずです。

ちなみに、前述の文部科学省の作業部会においても、繰り返しこの入試問題について批判が述べられていたことをお伝えいたします。

こういった問題のある試験問題が出題された背景には、倫理的問題を軽視し、研究を推し進めたいとする当事者の思惑があったものと推察いたします。その意味からも、誰が出題者であるかが一目でわかるような公開方法が望まれますが、先日公開された試験問題作成者一覧では科目別の公開となっておらず、更に同姓同名の研究者が複数いる場合は誰であるか特定できないなど、問題が大きいことを感じました。出題者に社会的責任を自覚させるためにも、個人と問題作成における役割が特定される形での公開は必須だと考えます。

また、出題者の公開が任期終了の1年後となっていますが、これも任期終了と同時公開にすべきです。問題が起きたとしても、誰が関与したかは、ほとぼりが冷めてから知らせればよいという態度に感じられます。。

これらのことから、私たちは出題のチェック体制を構築すること、試験問題作成者の公開方法を改善することの2点を要望いたします。なお、これらのことに関するご見解について5月31日までにご回答を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

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