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化審法~新規化学物質と動物実験

一般工業用品に使われている化学物質については、人の健康被害や環境中の動植物への悪影響を防ぐ目的で、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)が設けられており、新しく化学物質を上市する場合に動物実験が求められる場合があります。

ただし、以下ものは化審法上の化学物質に該当しないとされています。

(1)「放射線障害防止法」の放射性物質
(2)「毒物及び劇物取締法」の特定毒物
(3)「覚せい剤取締法」の覚せい剤及び覚せい剤原料
(4)「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬

また、以下の用途のものは、他の法律により化学物質による人の健康及び生活環境、動植物に係る被害への規制措置が講じられているため、化審法の対象外となります(動物実験も各法律の規制内で求められることになります)。ただし、同じ物質を工業用途で製造・輸入する場合には、化審法の規定の適用を受けます。

(1)「食品衛生法」の食品、添加物、容器包装、おもちゃ、洗浄剤
(2)「農薬取締法」の農薬
(3)「肥料取締法」の普通肥料
(4)「飼料安全法」の飼料、飼料添加物
(5)「医薬品医療機器法(旧薬事法)」の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器

 
※化審法のもとでは、現在既存物質のリスク評価も進められており、そちらでも動物実験のデータが用いられてきますが、このページでは新規化学物質を使用する場合の動物実験についてまとめています。

■新規化学物質の届出と動物実験

化審法で新規化学物質の届出を行う際に求められる試験は以下の4分野で、1.の結果が良分解性でない場合は、2.~4.が必要になります。ただし、全国生産年間10トン以下の低生産の場合は、1.と2.のみが求められており(3.4.は、あれば提出)、さらに少量(全国年間1トン以下)であるか、もしくは中間物(体)、閉鎖系等であれば、国へ申出の上、届出・審査自体が不要になります。

赤字:脊椎動物を用いる試験
  1. 分解性:自然的作用による化学的変化を生じにくいものであるかどうか
    →微生物等による化学物質の分解度試験(分解度試験)
     
  2. 蓄積性:生物の体内に蓄積されやすいものであるかどうか
    魚介類の体内における化学物質の濃縮度試験(濃縮度試験)
    又は1-オクタノールと水との間の分配係数測定試験(Pow 測定試験)

    ※濃縮度試験は、コイ又はヒメダカが推奨だが、ゼブラフィッシュ、ニジマス等の指定の魚種を用いてもよい。

    ※ただし、動物実験代替法としてQSAR(定量的構造活性相関)の推計結果の利用も推進の方向性が示されており、現時点では相談に応じて個別に判断するものとされている。方向性は、「新規化学物質の生物蓄積性の類推等に基づく判定について(お知らせ)」を参照。
     

  3. 人への長期毒性:継続的に摂取される場合には、人の健康を損なうおそれがあるものであるかどうか
    ・哺乳類を用いる28日間の反復投与毒性試験(28日間反復投与毒性試験)
     又は哺乳類を用いる90日間の反復投与毒性試験(90日間反復投与毒性試験)、
     哺乳類を用いる反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験

     ・細菌を用いる復帰突然変異試験
     ・哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験又はマウスリンフォーマ TK 試験(変異原性試験)

    ※反復投与毒性試験は、原則としてラットを使用する。
     

  4. 生態毒性:動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものであるかどうか
    →・藻類生長阻害試験
     ・ミジンコ急性遊泳阻害試験
     ・魚類急性毒性試験(生態毒性試験)

    ※魚類急性毒性試験は、メダカ(ヒメダカ)が推奨だが、ゼブラフィッシュ、コイ、ニジマス等の指定の魚種を用いてもよい。

これらの試験は、原則として通知「新規化学物質等に係る試験の方法について」に沿って実施することとされていますが、この通知に定められていない試験方法(OECD テストガイドライン等)に基づく試験成績については、上記の試験方法と同等の取扱いが可能であると考えられており、試験成績の信頼性が確保されていると認められる場合には、判定の際に用いることとされています。

また、試験を行う施設に関しては、「新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基準について」が定められています。

届出を行うと、3カ月以内に審査が行われ、法律第4条第1項第1号~第5号のいずれに該当するかの判定が通知されます。

  第1号(難分解性かつ高蓄積性かつ人健康影響の疑い又は生態影響あり)
  第2号(難分解性かつ人健康影響の疑いあり(高蓄積性でない))
  第3号(難分解性かつ生態影響あり(高蓄積性でない))
  第4号(難分解性かつ人健康影響の疑いあり・生態影響あり(高蓄積性でない))
  第5号(疑いなし又は良分解性)

<参考>経済産業省ウェブサイトリンク(法律自体は、経産省・厚労省・環境省の三省共管です):

■平成26年度に届出された新規化学物質の統計

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■動物実験代替法の開発について

2009年に化審法の大改正が行われた際、参議院の附帯決議に動物実験の代替推進が盛り込まれました。

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成二十一年五月十二日
参議院経済産業委員会

十 試験に要する費用・期間の効率化や国際的な動物試験削減の要請にかんがみ、定量的構造活性相関の活用等を含む動物試験の代替法の開発・活用を促進すること。
また、国内外の法制度で明記されている動物試験における3 R ( 代替法活用、使用数削減、苦痛軽減)の原則にかんがみ、不合理な動物実験の重複を避けるなど、3 R の有効な実施を促進すること。

参考:
衆議院の附帯決議は、下記のような文面でした。

七 事業者による自主的な化学物質管理を推進するため、化学物質管理を担える人材の育成及び研究機関の充実に努めること。また、大学及び大学院における定量的構造活性相関(QSAR)の手法、計測、リスク評価及び管理に関する専門家育成の検討に加え、学校教育における化学物質に関する教育内容の見直しを図ること。

また、2000年ころから経済産業省所管のNEDOで動物実験代替法に関連する5カ年プロジェクトが開始されており、現在は2011年(平成23年)開始の経済産業省のプロジェクト「石油精製物質等の新たな化学物質規制に必要な国際先導的有害性試験法の開発」に引き継がれています。

このもとに、下記の2つのプロジェクトが走っています。

研究開発項目(1) 反復投与毒性試験と遺伝子発現変動による発がん性等発現可能性情報の取得手法の開発
研究開発項目(2) 肝臓毒性、腎臓毒性及び神経毒性in vitro試験法の開発

このうち、研究開発項目(1)はラットを用いる28日間反復投与試験からより多くの情報が得られるようにできないかということを研究しており、研究開発項目(2)が、いわゆる生体の利用の代替になるような試験法の開発に当たります。

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