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マーモセットの脊髄損傷に関する実験動物中央研究所からの回答

10月9日~10日に開催された第49回日本実験動物技術者協会総会にて、公益社団法人実験動物中央研究所からの口頭発表「コモンマーモセットを用いた脊髄損傷モデルの作製」(西中栄子氏ほか)を聞き、疑問を持ちましたので、2015年11月2日づけで同研究所の実験動物委員会宛に質問書を送りました。

以下、回答に質問が含まれていますので、そのまま掲載いたします。下記ブログもご参照ください。

追記:11月27日付けで実中研から補足の回答が来ました。PDFでそのまま掲載いたします。

※以下、見やすくするために質問を太字にしました。


2015年11月19日

「マーモセットの脊髄損傷実験に関する問い合わせ」に対する回答書

公益財団法人実験動物中央研究所 動物実験委員会

弊所の発表演題につきましてご質問をお寄せ頂きありがとうございます。また、ご質問のような疑義を生じさせてしまいました事は大変遺憾に存じます。学会発表という限られた時間では、実験の要素のみの紹介とならざるを得ず、詳細な背景等をご説明しきれない事が要因かと存じます。この度のお問い合わせにつきまして、以下順に回答します。

ご質問1)当該発表の質疑応答において、脊髄損傷後のデータから、モデルとして不適格と判断される個体については、実験には用いないとの説明がありました。それについては科学的根拠があるものとは思いますが、それ以外の個体についても、安楽殺処分としたとの説明がありました。つまり、当該発表に用いられたコモンマーモセットは、全てこの発表のためだけに脊髄損傷の処置を施され、単に殺処分されたものでしょうか。

回答1)承認された実験計画に従って実験処置を施し、American Veterinary Medical Association(AVMA)のGuidelines for the euthanasia of animals(2013)を参考に、科学的合理性をもって安楽死処置を実施しました。

ご質問2)貴研究所では、これまでもコモンマーモセットの脊髄損傷モデルの作出をおこなっていると言明してきており、この発表に新規性があるとは思えませんでした。
また、何らかの研究に用いるために作製するモデル動物から、作製時にデータをとっておいて発表することができるはずであり、特に霊長類にはReductionを含めた高い倫理的配慮が必要なはずです。7匹ものコモンマーモセットを使う根拠も示されておらず、なぜ実験計画が通ったのか疑問に思いました。
貴研究所では、霊長類であっても単に脊髄損傷モデルを作成して殺処分するだけの新規性のない実験計画に承認が下りるということでしょうか。Reductionの検討・工夫は、なされていないのでしょうか。

回答2)実験の新規性は、使用数の削減(Reduction)につながる実験手技の洗練(Refinement)を目的としたことにあります。実験計画は弊所規程に則って立案され、動物実験委員会がその適正性を審査し、機関の長によって承認されました。

ご質問3)霊長類に脊髄損傷のような侵襲度の高い処置を行うことについて、実験実施者の要件は設けられていますか。誰でも実験実施者になれるのでしょうか。今回の発表に関わった所員の方々は、どのような教育を受け、どのような資格・経歴を持つ方々でしょうか。

回答3)規程に基づく教育研修を終了した者のみが実験を実施しました。これらの者は獣医師、日本実験動物協会指導員、同1級技術者あるいは同2級技術者の資格を有しています。なお、弊所では動物愛護に関する基本的考え方において霊長類かその他の動物種かは問いません。

ご質問4)当該発表のための実験計画および脊髄損傷モデルを利用するその他の実験について、人道的エンドポイントがどのように定められているのか教えてください。

回答4)文部科学省、厚生労働省の依頼で発出された日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」(2006)に基づき定めました。併せて、Institute for Laboratory Animal Research(ILAR)のHumane endpoint for animals used for biomedical research and testing(2000)や、Canadian Council on Animal Care(CCAC)のGuidelines on choosing an appropriate endpoint in experiments using animals for research, teaching and testing(1998)も参考にしました。これらのガイドラインを踏まえて当該部署の研究者が獣医師ならびに飼育技術者と協議して手順を起案し、動物実験委員会がその適正性を確認したの
ち、機関の長の承認を得ました。

ご質問5)2014年度のコモンマーモセットの使用数1,095匹、繁殖・生産数0匹とのデータが公開されていますが、全て日本クレアから購入する形になっているということでしょうか。日本クレアから生産余剰個体を譲り受ける(もしくは購入する)ことはありますか。必ず委員会による実験計画の審査および所による承認を経てから動物を導入する決まりでしょうか。貴研究所もしくは日本クレアに余剰動物がいるために実験計画が立てられるようなことはありますか。
1,095匹のうち、脊髄損傷の処置が施されたのは何匹ですか。そのほか、どのような分野の実験に何匹用いられたのでしょうか。苦痛度Eに該当する処置を含む実験にも用いられていますか。

回答5)他企業様、他団体様に関する情報が含まれるため、回答を控えさせていただきます。
弊所は、苦痛度Eに該当する実験処置は実施していません。

以上、脊髄損傷のような侵襲度の高い処置を伴うモデル作製に、霊長類が余りにも簡単に用いられている印象を受けましたので質問させていただきました。

回答)弊所にて実施される動物実験は全て動物実験委員会による実験計画の審査および機関の長の承認を得た上で、所定の教育訓練を受けた者のみが実施するよう所内規程により定められています。計画内容は3Rsの観点はもとより、獣医学的ケアの適正性、科学的妥当性、社会的意義の観点からも審査され、承認されたものです。

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