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京都府立大学 動物実験管理体制の根本的改善を求める要望書

下記の要望に関しては、3月30日付けで、「貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。要望を真摯に受け止め、内部で検討し、適正に改善してまいります」とのご回答をいただきました。

動物実験委員会の議事録を不存在とする公文書決定通知書と、大学が公表していた動物実験に関する自己点検・評価報告書で内容が食い違っていたことについては、自己点検に書かれていた「記録」とは、委員間のメール、電話、口頭でのやりとり及び計画書審査欄「意見」等を指していたとのことで、議事録、審議の内容の記については作成していなかったとの説明が書かれていました。「今後は議事録等の記録を行うよう改めたい」とのことです。


平成27年2月12日

京都府立大学
学長 築山 崇 様

動物実験管理体制の根本的改善を求める要望書

 私たちは、動物たちが現代社会の中で置かれている状況に心を痛め、改善を求めて活動している市民団体です。先般、京都府立大学教授の研究活動に対しインターネット上で疑問が呈されていたことをきっかけに、動物実験に関連する書類の情報公開請求をいたしました。しかし、開示された書類を拝見し、むしろ貴大学には動物実験管理体制全体が旧態依然であるという大きな問題があることを感じました。
 つきましては、早急に根本的改善を求めたく、以下の点を要望いたします。何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。

I.貴大学の動物実験指針および動物実験実施細則の内容の見直しを求めます

「京都府立大学動物実験指針」および「京都府立大学動物実験実施細則」の内容が古く、一部誤りがあります。また、それだけではなく、文部科学省が平成18年に告示した「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(以下、文部科学省の動物実験指針)について全く言及しておらず、告示から9年目となる現在も同指針に準じることが明示されていないのは疑問です。貴大学の動物実験への姿勢に関し根本的な疑念を生じさせますので、以下の点について早急に訂正および改正を求めます。

1)指針の誤りについて
「京都府立大学動物実験指針」前文の中に「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する法律」というものが出てきますが、これは法律ではなく基準の誤りです。また、総理府告示となっていますが、現在は環境省の告示です。

2)動物実験実施細則の情報が古くなっています
「京都府立大学動物実験実施細則」の本文及び別表4において、実験動物福祉に関連する法令等の名称が更新されていません。全般に精査をし、最新の情報に更新することを要望します。

  • 総理府告示「動物の処分方法に関する指針」は、現在は環境省告示「動物の殺処分方法に関する指針」となっています。
  • 総理府告示「実験動物の使用及び保管等に関する基準」は改正され、現在は環境省告示「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」となっています。
  • 文部省学術国際局長通知「大学等における動物実験について」は、文部科学省が「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」を告示すると同時に廃止されました。
  • 日本学術会議の過去の勧告を挙げるのであれば、その後の新しい提言と、平成18年策定の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」も挙げるべきだと思います。

3)文部科学省の基本指針等の遵守も掲げてください

 全国的に、大学の動物実験に関する指針・規程類は、「動物の愛護及び管理に関する法律」とそれに基づく基準だけではなく、文部科学省の動物実験指針に基づいて定められており、その際、内容の詳細については日本学術会議の「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」を参考とすることが見解として示されています。
 しかし、「京都府立大学動物実験指針」も「京都府立大学動物実験実施細則」も、文部科学省の動物実験指針及び学術会議のガイドラインについて一切言及していません。既に廃止された文部科学省局長通知が実施細則に記載されていることからも、平成18年以降、貴大学で動物実験に関する管理体制の全体的な見直しが行われなかったことは明らかであり、早急な見直しを求めます。

4)飼育スペースについて

「京都府立大学動物実験実施細則」別表1として実験動物飼育スペースの例示が載っていますが、マウス、ラット、ハムスター、モルモットの数値はグループ飼育した場合の1匹あたりの数値であるにも関わらず、そのことが明記されていません。典拠となっている「実験動物の管理と使用に関する指針」の本文には、単飼の場合はスペースを可算する必要があるかもしれないと書かれています。

 また同指針の1997年版(第7版)からの引用となっていますが、現在、同指針は第8版に改訂されており、若干ではありますが数値に変化があります。(ウサギケージの高さがアップ、ウズラの数値がグループ飼育の場合と明示された等)

 当会としては数値にこだわらない広いスペースで飼育することを要望いたしますので、実態がどうであるかが重要であるとは考えていますが、実施規則が古いままであることで旧態依然の飼育管理が行われているのではないかという懸念も生じます。全体の見直しを図り、飼育実態についても調査・改善が行われることを求めます。

5)安楽死法などについて

「京都府立大学動物実験実施細則」別表2として、1996年発行の書籍が典拠となった「安楽死法の例示」が掲載されていますが、これについても見直しを求めます。

 特に、貴大学の実験計画書を拝見すると、エーテルが麻酔および安楽殺に多用されていますが、近年エーテルの麻酔薬としての使用は不適切とされるようになってきており、安楽殺についても、公私立大学実験動物施設協議会アドバイザー委員会の会員大学への回答書に「エーテルは血中溶解度が高く導入が遅い、また眼や鼻腔への刺激性があり,引火性を有する爆発性吸入麻酔薬であるため、安楽死に使用することは推奨されない」「エーテルは、その使用により下記に示しますようにストレスの指標となるステロイドの分泌亢進がおこり、『できる限り処分動物に苦痛を与えない方法』とは言い難い、また、下記の示すように多くの団体でエーテルによる安楽死は禁止されており『社会的に容認されている通常の方法』とも言いがたいと思われます」等、記されています。

Ⅱ.現在の動物実験計画書の書式に問題があり、実験動物福祉が担保されるかどうかの事前審査が適切に行えていません。早急な書式の改訂と運用の改善を求めます

「京都府立大学動物実験指針」において「立案された実験計画の妥当性は、動物実験委員会において検討する」と定められていますが、開示された動物実験計画書の写しを拝見したところ、どの計画書も動物実験計画の妥当性について審査できるほどの情報が書かれていませんでした。そもそも書式が簡略であり、実験計画の手順について書かせる欄が非常に狭いために記述が不十分となっていると思われます。

 例えば以下のような状態で実験計画が承認されており、動物実験委員会が役割を果たしていないことは明らかです。その根本的な理由として計画書の書式の不備があると思われます。早急な書式の改訂と運用の改善を求めます。

  • 安楽死について「麻酔薬等の過剰投与」を選択している場合に、薬物欄が空欄であっても実験計画が承認されている。
  • 「安楽死」に○印がつけられているだけで、方法が選択されていなくても計画が承認されている。
  • 安楽死について「その他」の手法が選択されている場合に、具体的な方法が書かれていなくても計画が承認されている。
  • 無麻酔下の皮膚採取がカテゴリーBとされ「ほぼ苦痛を与えないため」とされているが、方法の記載もなく詳細不明のまま承認されている。
  • 無麻酔の発がん実験や皮膚への塗布実験等について、エンドポイントが不明にもかかわらず計画が承認されている。
  • マウスに「高強度の運動を負荷したのち」との記載があるが、どのような運動であるかが明示されていないにもかかわらず計画が承認されている。しかもカテゴリーがBであるが、果たして妥当かどうかがわからない。

Ⅲ.誠実な動物実験等実施報告の公開を求めます

 ウェブサイト上で公開されている「平成25年度動物実験等実施報告」についても幾つか疑問があります。社会への説明責任として、誠実な対応を求めます。

1)動物実験委員会の構成が公開されていません

 国立大学法人動物実験施設協議会幹事会と公私立大学実験動物施設協議会幹事会が「動物実験に関する情報公開に関する更なる取組について」において示している項目のうち、動物実験委員会(当該年度4月1日時点での委員の構成(基本指針に示された3通りの役割ごとの委員の所属部局及び専門分野))が公開されていません。Ⅱで述べたように、貴大学の動物実験委員会の対応には問題があり、責任を明らかにする意味でもメンバーの公開を求めます。

2)使用・飼養する動物種を正確に公開することを求めます

 当会では、利用した動物の種類と数の情報公開について、ある日の時点の飼養数の開示では不十分と考えています。貴大学でも、実験計画書・報告書によればウサギを用いた実験が行われていますが、動物実験等実施報告にはウサギの記載がありません。平成26年3月20日時点の飼育動物しか公開していないために、実態が隠されています。使用した動物種と数を、年ごとに公開していただきたいと思います。(ウサギが安楽死とならず一般家庭に譲渡されたことについては評価したいと考えていますが、そういった譲渡を促す意味でも、譲渡数は別途示すことが望ましいと思います)

 また、開示された「京都府立大学動物飼育施設」の一覧には、ヤギを飼育する精華農場とダチョウを飼育する産学公連携拠点施設観覧温室ダチョウ飼育棟が掲載されていますが、これらの動物も「動物実験等実施報告」には掲載されていません。研究対象でないのであれば、そのように注釈した上で飼育動物として公開していただきたいと思います。特に、貴大学のダチョウ研究は報道等によって知られるところとなっており、ダチョウ飼育施設があるにもかかわらず、ダチョウが飼養数に計上されていないことについては疑問を感じます。(ダチョウを用いる動物実験計画書も存在せず、これについては別途質問をさせていただいております。)

3)自己点検評価報告書では存在するはずの書類が、情報公開請求で文書不存在に

「動物実験に関する自己点検・評価報告書」の中に、「京都府立大学生命環境科学研究科実験動物委員会議事録」を自己点検の対象とした旨が書かれていますが、公文書の情報公開請求では、「該当する公文書は作成していない」との理由で議事録は非公開となりました。

 実際には議事録が存在するのに非公開とされたのか、それとも実際には作成していないのに自己点検評価報告書には記載をしたのか、現在問い合せ中ではありますが、いずれの場合であったとしても大きな問題であり、不信感がぬぐえません。ご回答ならびに今後このようなことが生じないような対策をお願いいたします。

 以上、早急な改善を要望いたします。
 また、指針の改訂等にご対応いただけました際には、ウェブサイト上で公開するとともに、当会にも経緯等詳細を教えていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

以上

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