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<学会投稿規定の誤り>日本組織適合性学会への要望書

経緯については、下記のページをご参照ください。


2016年5月26日

日本組織適合性学会
理事長 西村 泰治 様

PEACE~命の搾取ではなく尊厳を
東さちこ

「日本組織適合性学会誌MHCの投稿規定」の改定を要望いたします

突然ご連絡を差し上げまして申し訳ありません。私どもは、実験動物等の取扱いに対し関心を寄せつつ活動しております、動物保護団体のPEACEと申します。
貴学会のウェブサイト上で公開されております「日本組織適合性学会誌MHCの投稿規定」を拝見したところ、誤りを見つけましたので、本要望書を送付させていただきました。

現在、上記投稿規定において、動物実験に関しては、「『実験動物の飼育及び保管等に関する基準』(1980年日本学術会議決議)などを遵守し行われた研究でなければならない」との記述がございますが、我が国に「実験動物の飼育及び保管等に関する基準」という基準は存在しません。
おそらく旧総理府告示「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」のことを指しているものと思われますが、この告示は現在は改正され、環境省告示「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」となっております。
また、この告示は、あくまで実験動物の飼養・保管等に際しての基準であり、動物実験を実施する際に求められる事柄について定めたものではないというのが国の見解です。よって、この基準のみを論文投稿時の倫理規定の参照とするのは不適切と考えます。

さらに、貴学会の投稿規定には「(1980年日本学術会議決議)」との補足がなされていますが、1980年の日本学術会議の勧告は1980年7月に動物実験のガイドラインを国が制定するよう勧告する意味で出されたものであり、1980年3月に既に告示されている上記基準と同一のものではありません。
ちなみに、この「1980年日本学術会議決議」を投稿規定に記載している学会が複数あり、私どもの団体で日本学術会議へ問い合わせをしましたところ、以下のような回答をいただいております。

  • 問い合せにある「1980年の日本学術会議決議による『実験動物取扱い指針』」は存在しない。日本学術会議は、日本学術会議第80回総会の議決に基づき、昭和55年(1980年)11月5日に内閣総理大臣宛に「動物実験ガイドラインの策定について(勧告)」を勧告している。同勧告は「動物実験ガイドライン草案」を付して、政府にガイドライン策定を求めている。この勧告は、その通りに実現されることはなかったが、文部科学省、厚生労働省の指針作成に繋がった。
  • ガイドラインとしては、平成18年(2006年)6月1日に日本学術会議が公表した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」が唯一のものである。同ガイドラインは、文部科学省および厚生労働省の依頼により、「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年6月1日文科学省告示第71号)、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針」(平成18年6月1日厚生労働省大臣官房厚生科学課長通知)及び「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」(平成18年4月28日環境省告示第88号)を踏まえて、日本学術会議が各研究機関が動物実験等に関する規定等を整備するに際してモデルとなる共通ガイドラインを作成したものである。

つまり、1980年に「実験動物取扱い指針」が定められた事実はございません。

我が国の動物実験に関する指針等につきましては、2005年の「動物の愛護及び管理に関する法律」の改正後に制改定が進められました。私どもとしてはそれらも十分な内容とは考えておりませんが、既に10年を経過した現在でも投稿規定等に反映がなされていない学会があることを問題だと考えております。
貴学会につきましても、長年誤った投稿規定によって運用がなされていることから、動物倫理に関する取り組みに実体があるものとは考えにくいと受け止めております。

以上のことから早急な投稿規定の改定を要望いたしますが、現在の我が国の動物実験の自主規制体制において、各機関の動物実験委員会の能力・判断等にばらつきがあることも感じております。ぜひ学会として具体的な動物福祉基準(苦痛の排除方法、エンドポイント等に関する規定)を設けることについてもご検討をお願いしたいと思います。

さらには、近年Natureをはじめとした多くのジャーナルでARRIVEガイドライン(参照:http://dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.1000412)の採用が進められており、研究にかかわる皆様の意識の変化を感じております。こちらにつきましてもご採用を要望したく何卒よろしくお願い申し上げます。

大変急なお願いにもかかわらず恐縮ですが、改定の目途・結果等についてご回答を下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。

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