個人経営の動物実験施設

兵庫県内のある雑居ビルの3階が動物実験施設として届出されていました。運営の形態は個人経営です。日本には、動物実験を行うにあたっての施設の審査や設置許可等の仕組みは何もなく、「誰でも動物実験施設を持てる」と批判されてきましたが、恐ろしいことにそれが現実になっていることが判明しました。

もちろん、日本で唯一条例を持っている兵庫県だからこそ、こういったことが表に出てくるわけで、全国でどのような状況なのか、誰も知る由はないのですが……。

■沸き起こる疑問の数々

施設内の写真を見て、このような施設できちんとしたデータがとれるのか、まず疑問に思いました。場所は、建物が隙間なく立ち並ぶ、幹線道路沿いの雑居ビルの一室(約62.22平方メートル)です。動物実験委員会の設置などもクリアできているのか、疑問です。

もし適正でないなら、どこかそれなりの機関が指導・監督を行うべきですが、日本ではそれが明確ではありません。

personaloffice-1「外部認証制度があるからいいのだ」と、よく言われますが、現実の制度は、受けたい施設だけが受ける制度で、現時点でこういった小さい施設が受けることはまずないでしょう。

では、自治体でしょうか? 自治体は、動物実験施設を届出制度にしているだけなので、どの指針を守らなければいけないといったところまでは踏み込めないと言っています。これまで動物実験関係者は、届出制で動物実験ができなくなるかのような発言をしてきていますが、それが嘘であったことがよくわかります。

また、試験の目的が不明ですので、所管する省庁が厚生労働省なのか、農林水産省なのか、はたまた指針を持っていない別の省庁なのか、判断をつけることができません。実際に、厚生労働省に問い合わせてみても、どうにもなりませんでした。

残るは関連業界団体ですが、どういった目的の試験が行われているのかが不明なので、これも適切な団体を特定することはできません。特定非営利活動法人動物実験関係者連絡協議会(動連協)にも問い合わせましたが、個別の実験施設について対応する組織ではありませんでした。

また、届出された施設名には「獣医師」という言葉が入っていたので、本当に獣医師であることを確認できないか?とも思いましたが、そのためには本人に免許証を見せてもらうしか方法がないことがわかりました。

104に電話番号の登録もありませんから、電話して聞くこともできません。

■質問書に回答なし

仕方なく、私たちは直接質問書を郵送することにしました。回答は来ないことも想定されたので、期限を区切って内容を公開するとしましたが、予想した通り、回答は来ませんでした。

私たちが書いて送った具体的な疑問点は、以下の通りです。日本で動物実験が「自主規制できちんと行われている」というのは、やはり関係者がふりまいている幻影ではないでしょうか。

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2015年5月19日

動物実験施設に関する問い合わせ

PEACEという動物保護団体の代表をしております、東と申します。先般、神戸市に対し動物実験施設の届出状況について情報公開請求を行ったところ、個人で開設する動物実験施設が街中の雑居ビル内に存在することを知り、大変驚いた次第です。

日本には、動物実験施設の公的監視の仕組みがないのはご存知のことと思いますが、私たちとしては神戸市の届出制でも十分とは思っておらず、近年動物実験施設に求められているような動物福祉を担保するための仕組みを個人事業の規模で遂行できるのか、いずれかの公的組織もしくは専門組織に確認をしてもらえないかと各方面に当たりました。しかし、懸念を晴らしてくれるような組織は存在せず、直接詳細を■■様に問い合わせるしかないとの結論に至りました。

つきましては、大変不躾で恐縮とは存じますが、貴施設の動物実験に関連し、以下の基本的な点について教えていただきたく、本書状を送付させていただきます。ご回答のほど、よろしくお願い申し上げます。

【質問事項】

  1. ■■■■(注:事業主の名字のカタカナ表記)オフィスの主な業務内容は、どういったものでしょうか。動物を用いる試験の受託になりますか。その場合は、どの産業分野に関わっていらっしゃるのか教えていただけないでしょうか。具体的に、どの省庁の動物実験基本指針を守るべき施設なのかが知りたいと思っております。
  2. 属している業界団体、学会等はございますか。もしくは、いずれかの企業・研究機関等の専属の事業所なのでしょうか。
  3. 従業員は何名で、常時何名が飼育管理にあたっているのでしょうか。教育訓練等はどのようにされていますか。
  4. 動物実験委員会は何名で構成されていますか。また、どのような方々が委員になっていらっしゃるのでしょうか。実際に動物実験計画書の審査が行われているのかどうかも知りたいと思っております。
  5. 年間に、どの動物種を何匹使われていますか。何からの形で毎年の自己点検結果の情報公開のようなことはされていますか。
  6. 動物の飼養管理に関し、外部機関による何らかのチェックを受けるような機会はありますか。
  7. 空調に関しては、どのような設備を備えていらっしゃいますか。室内が一定の条件に保たれるような管理は行われているでしょうか。
  8. 表札が「■■■■(注:事業主の名字のカタカナ表記)」のみの表示になっていますが、同じビルの入居者等、周辺には動物実験施設であることは周知されているのでしょうか。

以上、大変恐縮ですが、6月5日までにご回答をいただきたくお願い申し上げます。なお、本質問書の内容は、当会のホームページで公開させていただきたいと考えております。■■様からのご回答について、公開に差支えがある場合は、その旨お知らせください。

よろしくお願い申し上げます。

※注:空調について聞いたのは、写真でケージの上に保冷剤が置いてあるように見え、温度調整がどうなっているのか気になったためです。動物実験施設にとって非常に重要な要素です。

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※6月27日現在、回答はありません。

意見の送り先

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室
代表:03-3581-3351 FAX:03―3508-9278
電子メール:shizen-some@env.go.jp

厚生労働省厚生科学課
直通:03-3595-2171 FAX:03-3503-0183
「国民の皆様の声」メールフォーム
https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail/getmail.html

総合科学技術・イノベーション会議
基本政策担当:03-6257-1330 FAX:03-3581-9790
御意見・御要望メールフォーム
https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0001.html

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