貝毒検査の動物実験代替に関する要望書

二枚貝が持つことのある下痢性貝毒の検出法として、日本ではマウスを用いる動物実験が公定法として定められていますが、本年12月末日をもってEUがこの試験法を廃止することに伴い、日本でも公定法を変える検討が行われていました。

その結果、食品安全委員会での評価を経て、8月18日に、厚生労働省の「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」でその方針が了承されたとのことです。

この決定によって、多くの動物の犠牲が減ることになります。具体的な通知案については、パブリックコメントが行われる予定とのことですが、ぜひ動物福祉という目的も掲げて改正を行ってほしいと思い、以下の要望書を厚生労働省に送りました。

これまでの経緯は、ブログをご参照ください。

厚生労働省の当日の資料はこちらです。食品安全委員会の評価書の最終版もごらんいただけます。


2014年9月1日

厚生労働省医薬食品局
食品安全部基準審査課 御中

貝毒検査の動物実験代替に関する要望書

 私たちは、動物たちが現代社会の中で置かれている状況に心を痛め、改善を求めて活動している市民団体です。現在、下痢性貝毒の検査に関し、我が国の公定法はマウスを用いる試験法となっているところですが、先月18日開催の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会において、これを機械検出法へ変更する方針が了承されたことを、大きく歓迎いたします。

 貝毒の検査は、数多くの生きた動物の犠牲を伴うことから、機械検出法への代替が国際的にも長らく求められてきました。また、食品安全委員会の評価にもあります通り、毒の種類を特定できず、偽陽性も多い、精度の低いマウス試験法と違い、より正確に毒の検出を行うことのできる機械検出法を公定法とすることは、より一層国民の健康・安全に寄与するものと考えます。

 また、本年末、EUで下痢性貝毒に関しマウス試験法が禁止されることに伴い、我が国においても公定法が改正されることは、国際協調の観点からも極めて重要な決定です。

 しかしながら、これまで我が国では動物福祉の観点からの検討が行われてきたとは言い難く、公定法の通知改正に際し、以下の点についてもお願いをしたく、本書を送付させていただきました。何卒ご検討の上、よろしくお願い申し上げます。

(1) 一刻も早い公定法の改正をお願い申し上げます。国際協調の観点から、EUと同時であることが望ましく、それに遅れることのないようお願い申し上げます。

(2) 新しい公定法が通知される際には、これを採用する理由として、科学的理由のみならず、動物福祉の目的も含めてマウス試験法の代替を行うものである旨を盛り込んでいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
国際的には、機械検出法の採用を押し進めてきたのは、動物実験の代替を求める機運であったことは間違いありません。我が国においても、「動物の愛護及び管理に関する法律」に、できる限り動物実験の代替を行うことが定められており、ぜひ動物福祉の目的を掲げた試験法の変更を行ってほしいと考えております。

(3) 動物の犠牲をなるべく減らす観点から、機械検出法へ移行するための猶予期間をなるべく短くし、すみやかに移行を促すことを要望いたします。

(4) 下痢性貝毒だけではなく、麻痺性貝毒についても、できるだけ速やかに公定法を機械検出法に変更するべく、今後ともご尽力をお願い申し上げます。そのための研究予算措置や体制整備などを期待いたします。

以上、何卒よろしくお願い申し上げます。

以上

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