統計:動物愛護法違反人員数(検察庁)と動物虐待事犯数(警察庁)

動物虐待として摘発された事件・人の数を知るには、検察と警察の2つの統計があります。

  • 動物愛護法違反⇒検察が受理した人員数や起訴・公判請求した人員数などを統計で公表しています。⇒こちら
  • 動物愛護法違反のうち動物虐待事件のみの数⇒警察が毎年公表を行っています。⇒こちら
動物の殺傷は、動物愛護法違反としてではなく、器物損壊で立件されてきたものもあります。その数を統計で拾うことはできません。2019年の動物愛護法改正により、ようやく動物虐待罪が器物損壊罪より重くなったので(詳しくはこちら)、2020年の施行後は、器物損壊罪ではなく動物虐待罪で処罰されるようになると考えられます。

検察の統計:動物愛護法違反人員数

法務省「検察統計年報」各年版より、検察が動物愛護法違反で受理した人員数、起訴した人員数等に関する統計をまとめました。最初の改正動物愛護法が施行された2000年以降、2021年までのデータです。(2023年7月現在で最新)

受理人員数、起訴・不起訴の人員数ともに増えていますが、実際の事件数が増えたわけではなく、動物虐待や遺棄についても警察が動くようになってきたため、送検される数が増えてきたことが背景にあります。

検察統計各年度より 動物愛護法違反▲クリックで拡大

注意事項

  • この統計は、事件を受理した時の被疑者の罪名によって計上されています。あくまで動物愛護法違反全てなので、動物虐待だけではなく、例えば特定動物の無許可飼育等の事例も含まれます。虐待罪での摘発数については、下記の警察の統計を参照してください。
  • グラフの「その他」は、他の検察庁に送致、家庭裁判所へ送致、未済(翌年へ繰越)の計です。つまり、受理された人員数のうち、他の検察庁から送致されてきた分については、二重にカウントされていることになります。
  • 公判の結果については罪名別の統計が出ていませんので、有罪となった人員数がわかりません。ただし、日本では起訴されれば99.9%有罪になります。執行猶予がついた場合のみ、この統計に出てきますが、わずかです。公判請求自体がごくわずかであり、ほとんどが略式命令請求であることから、多くは罰金刑であると推定できます。
  • 「動物の保護及び管理に関する法律」が「動物の愛護及び管理に関する法律」に変わる前は、動物虐待・遺棄は罰金3万円が上限でした。この時代は、法律の実効性がほとんどなかったため、動物愛護法に改正されて以降の統計を集計しました。

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2021年

PEACEでは検察が動物愛護法違反で受理した人員数や起訴・不起訴とした人員数の統計を法務省が公表している検察統計から集計し、こちらのページに掲載していますが、最新の2021年版統計までの情報を加えました。グラフにすると一目瞭然ですが[…]

2018年

過去のデータです。最新の情報はこちらをご覧ください。昨日は、警察の統計から動物虐待事犯についてまとめたものをアップしました。今日は、法務省の「検察統計年報」から、検察が動物愛護法違反で受理した人員数等に関する推移をグラフにしまし[…]

2014年

過去のデータです。最新の情報はこちらをご覧ください。先日、「警察が昨年、動物愛護法違反容疑で逮捕・書類送検したのは63人(前年比11人増)で、統計が残る2010年以降、最も多かった」との報道がありました。(朝日新聞「動物虐待容疑で逮捕・[…]

警察の統計:動物虐待事犯

警察庁では毎年、「生活経済事犯の検挙状況について」という統計資料を公表しています。平成22年から、この統計のとり方が変わり、動物虐待事犯(第44条違反)のみの数がわかるようになりました。推移をグラフにしました。

警視庁 動物虐待摘発件数 統計 ▲クリックで拡大

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各年の主な事件等を含めた詳細はブログの以下の過去記事をご覧ください。

2022年

警視庁は毎年、生活経済事犯に関する統計で動物虐待事犯の検挙件数等を公表しています。今年も3月に令和4年の統計が公表されました。「動物虐待事犯の検挙事件数は166事件で、大幅に増加した前年(170事件)とほぼ同数」と報告されています。[…]

2020年・2021年

過去のデータです。最新の情報はこちらをご覧ください。令和3年(2021年)度の動物虐待事件の検挙数が警察庁から公表されました。 警察庁:令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について「動物虐待事犯の検挙事件数[…]

2019年

過去のデータです。最新の情報はこちらをご覧ください。新聞・テレビ各社が、動物虐待事件の年間の摘発件数が初めて100件を超えたと報道しました。事件の発生そのものがふえたというより、警察が検挙する数がふえただけかと思いますし、警察が[…]

2016年

去年の動物虐待事犯での検挙が「過去最大」と報道されていましたが、元ネタである統計が警察庁のサイトで公開されました。 平成27年における生活経済事犯の検挙状況等について代表的な事例として、今回は動物虐待についても取り上げられ[…]

※統計の取り方が変わる前からのデータは以下の通りです。

動物虐待事件 摘発件数 データ 2022年まで

 

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