OIEの乳牛生産方式に関わるアニマルウェルフェア基準案

すでに先々月のことになってしまいましたが、平成26年度の第1回国際獣疫事務局(OIE)連絡協議会を傍聴してきました。資料は既に下記のページにアップされています。

OIEは、動物衛生の向上のためにつくられた政府間機関で、各国政府が加盟していますが、機関の目的にはアニマルウェルフェアの向上も掲げられています。

今回の連絡協議会では、アニマルウェルフェアに関し、「乳牛生産方式に関わるアニマルウェルフェア基準」の策定に関することが議題にのぼりました。OIEの基準の策定は、通常2年かけてコード委員会から総会までの1ラウンドを2回繰り返しますが、この乳牛のコードについては、既に1巡が終わっていて2巡目です。

ということで、昨年既に1度、日本政府は案に対するコメントをOIEに対して出しているのですが、そのときはこの連絡協議会にはかる時間的余裕がなかったとのことでした。この日は、今年2回目のコメントに向けての議論がなされました。

案の概要と日本語訳はこちらです。

おどろいたのは、牛が排尿時に体を上げたときに電気ショックを与え、立つ位置を教えるための「カウトレーナー」の使用を禁止している部分に対し、日本政府として削除の意見を送る気配があったことです。

そもそも、牛を身動きできないほどの状態で繋ぎっぱなしにしていること、また、多数の牛を飼っているためにフンの処理や手入れをこまめにできないことが、この通電器具が必要になる理由です。「禁止には、繋ぎっぱなしを止めさせていくようにという意図があるのではないか」とおっしゃってくれた委員の方もいましたが、業界側の委員はもちろん削除提案に賛成でした。ただし「動物は辛いが」とはっきり言っていました。

この件については、NPO法人アニマルライツセンターと連名で、農林水産省に対し意見を送りました。詳細は以下のページをごらんください。

しかしその後、日本政府からOIEには既にコメントが出されており、何と、この部分の削除だけではなく、繋いでいる牛が「転回できるように」となっているところについても削除を求める形になっていました。これは、ぐるぐる回れるようにするという意味とのことで、日本は肉牛のときも削除を求めていました。日本政府がいかに動物福祉の足枷となるようなことをしているかと考えると、非常に愕然とします。

ただし、カウトレーナーについては、昨年も日本政府から削除を求めるコメントが出ていますが、第2案にも残っていたので、今回も日本政府が意見を出したからといって削除になるとは限りません。

各国からのコメントの採用・不採用は、OIE事務局側の裁量です。

最終的に現行の内容で採択されれば、日本でも、禁止はしないまでも、使わないことを推奨しなければなりません。最終案の可決は、来年5月の総会になる予定です。

ちなみに、連絡協議会では、「災害時対策は全ての家畜を対象とした別のコードを作るべきではないか」という意見が出ており、そのことも今回の日本案には反映されていました。

最後になりましたが、今回、農水省への意見提出に際しては、アニマルライツセンターさんの多大なるお力添えがありました。御礼申し上げます。

cowtrainer
ギザギザの歯に電気が通っている。牛は一生この向きで繋がれたまま。

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