動物とヒトのキメラ(8) 動物性集合胚、作業部会はあと1回?

20日は動物性集合胚に関する文科省の作業部会でした。テーマは、臓器再生研究の現状についてと、人畜共通感染症についてです。

●臓器再生研究の現状

ヒト×ブタのキメラの作成で考えられることとして、ブタにヒトの細胞を打ち込む時期が早ければ早いほど全身キメラ率が上がるとの説明がありました。つまりブタの新生仔や胎児にヒトの細胞を打つより、より受精卵に近い段階の胚胎胞に打つ方が全身がキメラになるということです。

質疑応答では、動物性集合胚となると、とにかくヒトの細胞がブタの全身に回るが、分化誘導がどうなるかわからないし、思考につながるかどうかもわからないといった話も出ました。

また、キメラなので100%動物とふれていない臓器を作ることはできない、つまり異種移植としての問題は残り続けるという問題があることが示されました。

さらに、いつまでもブタを使い続けるのかという倫理的問題についても話が出、肝臓についてではありますが、細胞シートを積み重ねる「脱細胞グラフト」という方法で、体外で臓器を構築する研究が行われていることについて説明がありました。

こういった方法は、今はブタを使っていますし、科学的には完成までの道のりが遠そうに見えますが、異種移植が乗り越えなければならない道を考えると、むしろ実用化においては早く人で試せる可能性があります。ヒトの細胞で実用化できれば、ブタの犠牲も伴いません。

●人畜共通感染症について

ヒトと動物のキメラを作る際の感染症の問題については、実験する人に対する新たな危険性については考えられず、通常と同様の配慮で構わないだろうとのこと。しかし、豚から人に異種移植するとなると話は違うし、規制もシビアになります。

ブタでプリオンはありえるかという質問のときには、「経済動物は発症するほど長く生かさない」という話もでました。

●今後について

この作業部会は、開始当初からずっとスケジュールが示されておらず、いつ終わるか明言はされていませんが、そろそろ座長も終わりを示唆しはじめてきている感じがあります。ただし、そもそもヒトのiPS細胞にはキメラを形成する能力がないと考えられる点について議論しておいたほうがよいのではないか、サル×ブタでやらなくていいのかといった論点が出され、もう1回開催されることになりました。

キメラを形成する能力については、第1回の議論の時から現状ヒトでは無理であることが強く示唆されており、なぜ規制を変えてまで実験する意味があるのかはなはだ疑問ですが、動物性集合胚の研究によって、ヒトiPSにキメラ能があるかないかを知りたいという意味合いもあるようです。

しかし、メディアや一般向けには、さも実用化が目的であるように言われているわけですから、「実は研究をやってみたいだけ」などということが許されるのか、文科省にも委員の方にもきちんと考えてほしいと感じます。

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