ご紹介が遅くなってしまいましたが、雑誌「法律時報」2016年3月号(通巻 1096号)に去年7月の動物と法シンポジウムの内容がまとめられています。
従来、日本では「ペット法」との言葉が広く拡散してきており、法律の問題がいわゆるペット問題に矮小化されてきたきらいがありましたが、諸外国でAnimal lawの言葉が使われている通り、動物への「虐待」(苦痛を与える行為)はペットに対するものに限られるわけではありません。
むしろ、畜産動物や実験動物など、直接・間接に彼らを利用する人間の目の届かないところで苦しんでいる動物たちの問題のほうが規模が大きいことは間違いがないでしょう。
昨年、日本学術会議の講堂で開催されたシンポジウムは、基礎法学系の6学会と日本学術会議法学委員会が合同で開催するという専門家による硬派な企画でしたが、まさにそういった利用される動物たちのことも対象に「人間中心主義は超えられるのか」も考える画期的な内容でした。
といっても動物愛護万歳ばかりではなく、イギリスで動物愛護に対する揺り戻しが起きている話などもあり、今後私たちが歩むべき道について考えさせられる内容となっていました。
参加報告ができないままでしたが、下記資料にて詳細を知ることができますので、ご紹介します。
■小特集
動物と法――基礎法学からの考察
企画趣旨……浅野有紀
動物保護の法理を考える……嶋津 格
動物、生類、裁判、法――日本法制史からの俯瞰と問い……新田一郎
野生動物法とは――人と自然の多様な関係性を託されて……高橋満彦
ドイツ憲法から動物保護と法を考える
――動物実験規制と人間中心主義克服を中心に……浅川千尋
動物保護法の日英比較――とくに動物虐待の訴追をめぐって……青木人志