PEACE活動報告ブログ

平成24年度第1回外来種被害防止行動計画策定会議 傍聴報告

12月12日に、環境省が主催した「平成24年度 第1回 外来種被害防止行動計画策定会議」を傍聴してきました。

外来種被害というと大変広範囲の環境や生物などに関係があるため、検討委員並びに参加者には、農水省、国土交通省、環境省、様々な大学、行政、に加え水産総合研究センター、森林総合研究所、琵琶湖博物館などの方も入っていました。

外来種被害防止行動計画の作成を検討するに至った指摘事項として、次のような事柄が挙げられています。

  • いまだ外来種に関する理解や問題意識が十分でない面があり、関係業界等における自主的取組等が促進されるよう、働きかけを進める必要がある。
  • 計画的な防除のためには、対象となる外来生物毎に当該防除の位置づけを明確にすることが必要である。
  • 全国的な分布拡大を防止できていない事例などもあり、効果的に防除を進めるために課題がある。
  • いまだ外来種に関する理解が十分とは言えず、広報や学校教育効果を定期的・客観的に把握しつつ、効果的・効率的な取組を進める必要がある。
  • 外来生物の新しい確認情報の収集と共有を進め、侵入初期段階での防除を促進する必要がある。
  • 国内の在来種であっても国内移動の外来種問題を引き起こすことの認知度を上げ、未然防止が安価で効果的な対策であることを周知する必要がある。
  • 寄生生物・人畜共通感染症の扱いについても検討すべきである。

など。

これらによりこの行動計画作成の目的を次のようにしています。

外来種被害防止行動計画(仮称)は、愛知目標を踏まえた2020年までの特定外来生物も含めた外来種全般に関する中期的な総合戦略として、我が国の生物多様性の保全等を推進するための外来種対策の指針となるものである。

国・地方自治体・民間団体等の役割と外来種対策における優先度の考え方、非意図的に導入された外来種や国内由来の外来種の対策の基本的な考え方を整理したうえで、侵略的外来種リストの作成方針を示し、保護地域における外来種対策、水際におけるモニタリング、予防・早期防除等の対策、普及啓発の推進、等の施策の実施方針を明らかにしていき、より一層の取組が必要な対策の実施に資するものとする。

行動計画の骨子案は大変多岐に渡った内容ですが、いくつか抜粋してお知らせします。

まず、「外来種問題の基本認識」として、

  • グローバル化の進行に伴い、新たな外来種が移動定着する機会がこれまで以上に増大していることを認識。
  • 外来種による脅威により生物多様性が危機的状況にあることを具体的事例を交えて記載。
  • 定着段階が進むにつれて対応が困難になることから、「入れない」「捨てない」「広げない」の外来生物被害予防三原則に則って対策すべき。
  • 特に「捨てない」については、「ペットや観賞用の生物を野外に放つこと」や「外来種がいることで種数が増えること」がよいことと考える誤解があるため、適正飼養の重要性と野外に放つことの影響についての普及啓発の強化が重要。

というものがあります。

日頃から、ペットとして購入された様々な生き物が、飽きたり飼いきれなくなって捨てられ、何とか環境に適応し生き延びても害獣などとして駆除されることなどがとても多いことに憤りを感じていますので、この問題についてはまず「入れない」を確実に実行してほしいと思っています。

一番は輸入や販売を禁止することで、またそれ以外に本当に「入れない」効力を持つものはないと思います。しかし現在の日本ではそのような規制はとても難しいのが現実ですので、委員からも指摘がありましたが、「入れない」具体的方法についても記載するべきだと思います。

次に、「外来種対策の理解と協力を得るための普及啓発の推進」として

  • 外来種対策の主流化を推進するため、外来種に係る教育、普及啓発の強化が必要。
  • 関心を呼びやすい農林水産業や人の生命身体への影響のみでなく、生態系被害についても国民の理解の向上が急務であり、さらなる対応が必要。

とあります。

子供への教育から広く一般へ認識を広げることが急がれると思います。またそのためには環境省だけでは到底難しいので、他省庁との連携も検討要という意見が出ていました。

次に「外来種対策の優先度の考え方」として、

効果的、効率的な対策を実施するため、対策の優先度を踏まえて、優先度の高い種や地域を選定し、予算と人的資源を集中させることが必要。まず外来種による影響(生態的特性、定着、被害の状況)とその対応を評価するため情報を収集し、「被害の深刻度(質)」と「被害規模(広がり)」等から評価し、対策必要性を判断する。

とあります。

被害の深刻度は次の3つの観点から判断します。

  • 保全対象地域の重要性(原生自然環境保全地域、国立公園地域、世界自然遺産地域、希少種生息地域など)
  • 対象種の侵略性(在来生物の捕食、在来生物の駆逐、生態系基盤の損壊、交雑による遺伝的攪乱、繁殖能力の強弱、定着可能性の有無、競合種の有無)
  • 緊急性(現在の侵入・定着・被害段階、想定される侵入・経路・被害段階の移行速度

外来種被害についてはすでに緊急の対策を要する状況が多々あります。在来動植物の絶滅も危惧されており、早急に優先度を判断し対策を講じてほしいと思います。

次に「非意図的な導入に対する予防」として

  • 現状(輸入品・国内物流における車両や資材への付着・混入、バラスト水、船体付着等)の全体像を説明。
  • 輸入品等の付着・混入については、経路の特定に伴う輸入品の生産、移動段階での予防的対策として、「どこから、どうやって、何が侵入してくるか」を特定して、生産、輸入業者対してどのような配慮を求めることが可能かを分析することが重要。
  • 通関で特定外来生物が確認された際の駆除方法のガイドラインの作成が必要。

とあります。

現在海外からの資源や物質の輸入にあたっての税関への申請件数は年間2000万件ほどあり、そのうち食品衛生などの法令手続きが必要なものは約220万件(約11%)で、さらに植物・動物検疫の対象となるものは約47万件(約2%)とのことです。この2%についてサンプリング検査が実施されています。生物に関する詳細な検査が行われるのはわずかであり、常に輸入品への混入による非意図的な侵入の危険性にさらされているのが現状です。

また、税関を通らない荷物や植物への、虫や両生類等の付着や、海洋生物の船体への付着やバラスト水への混入があります。バラスト水とは、貨物船などが無積載で出港する際、船を安定させるために出港地にて積み込む海水で、多くの水生生物が含まれることがあり、積荷港で排出することで外来種を移動させることから、地球規模での海洋生態系の攪乱が危惧されているものです。このため2004年にバラスト水管理条約が採択され、その発効が待たれています。

最後に、行動計画素案には様々な対策について理想的な計画が並べられてはいるが、誰がやるのか具体的な主語がないので主体を記載することが必要だという意見が出されていました。問題が大きく難しいため、国・地方自治体・教育機関・NPO等・市民などが協力しそれぞれの役割を担っていくことが必要だと思います。

外来生物対策では、入ってきてしまったものについては、駆除という方法がとられます。確かに在来生物の絶滅や生態系の破壊を防ぐためには仕方がないことなのかもしれませんが、彼らも遠い生息地から捕獲されたり持ち込まれてしまった被害者です。どちらの犠牲もなくすためには、やはりまずは特定外来生物以外の、輸入が野放しになっているペットの輸入を規制することが必要だと思います。

(T.T.)

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