獣医学教育の改善は、4月にパブリックコメント

火曜日に、「獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成23年度~)」の第11回がありました。「これまでの議論の整理(案) ~教育改革の進捗状況と獣医師養成の在り方について~」というドキュメントが配布され、4月に、これに対するパブリックコメントが行われるとのことでした。

「調査研究協力者会議」の名前の通り、あくまで関係者のみが議論して作った素案です。ぜひ獣医療のユーザーである一般の方々からも意見をお送りください。

結局、「動物福祉・倫理」という言葉は1カ所入りましたが、獣医事法規や疫学、野生動物学などと並んで、「(これらの新規科目については各大学で)非常勤講師等の活用による対応が検討されている」という現状報告がなされているだけです。(しかも、検討されているだけの段階です) 

そもそも教える人がいないという現状が反映されているとも言えますが、これでは事態は全く進まないのではないでしょうか。大学で動物福祉など習ったこともない世代が、次世代をつくる議論をしているのだから仕方ありませんが……。

また、「新しい生命科学の発展に対応した教育研究の充実」といったものまで導入される一方、実験動物福祉や3R(特に動物実験の代替)といった内容には一切触れられておらず、非常に懸念を感じます。

要するに、この会議に専門家がいる分野は手厚くなり、委員のいない分野は手薄になるということではないかと思いますが、今回の議論では、「あまり獣医師の利益相反を全体的に感じさせるものはよくない。国民的視野で、どうやったら国民の健康に役立てられるかということをにじませる必要があるのではないか」といった意見が出ていました。

パブリックコメント時に委員の意見の反映されたバージョンが公開されると思いますが、項目だけ先にご紹介します。

「これまでの議論の整理(案) ~教育改革の進捗状況と獣医師養成の在り方について~」

1.教育改革の進捗状況のフォローアプと今後の推進方策について
【調査結果を踏まえた獣医学教育の改善充実の現状と課題】
【モデル・コア・カリキュラム導入に伴う教員体制の整備】
【共同教育課程の推進】
【臨床教育の充実について】
【国際的動向を踏まえた獣医学の改善・充実について】

2.公務員・産業動物分野の獣医師の育成に向けた今後の獣医師養成の在り方(入学定員の在り方を含む)について
(1)獣医師の職域ごとの状況
【伴侶動物獣医師について】
【産業動物獣医師について】
【公務員獣医師の確保方策】
【研究職獣医師について】

(2)今後の獣医師養成の在り方
【計画的養成の在り方について】
【抑制方針について】
【定員の在り方について】
【獣医系大学の地域偏在について】

3.獣医学分野における教育者・研究者養成の在り方について
4.おわりに

また、この日の議論で出てきた話で印象に残ったものには以下のようなものがあります。

  • (臨床教育の部分で)獣医師法17条の記述は削除したほうがいい。(「獣医師でなければ診療行為をしてはならない」という条文と臨床教育の関係は明確にしたほうがいいと思いますが、委員からは削除の意見が出ていました)
  • 参加型実習の範囲がどこまでなのか、もう少し議論が必要ではないか。
  • 欧米のアクレディテーション(外部評価・認証のこと⇒OIEも世界獣医師連盟も、獣医師養成機関の認証制度を重視していますが、日本にはそういうものはありません)を受けろという意味か。
  • 獣医学と無関係な職種に行くことに何か問題があるのか。医者の場合、金融に行けば、それはそれで医学に利益をもたらす。
  • そういうレアケースもあるかもしれないが、獣医学で問題になっているのは、獣医学に関係していない人が多すぎる点だ。4000人から5000人の中には、家庭に入った女性が多いと思われるので、再雇用・再教育などの記述にしてはどうか。
  • 国の政策がライフサイエンスにめぐってきているのに、獣医は伴侶動物の獣医療にシフトしてしまっている。薬学は、学生数を増やして、定員割れや偏差値低下など問題も多いが、力は伸ばした。バイオロジーも強くなってきているが、獣医師は目立たない。歯学は歯科医療しか行く道がないが、薬学は範囲を広げている。
  • 産業動物分野は、TPPの影響も出るかもしれない。
  • 地域枠ではなく、分野枠にするべき。
  • (もっとライフサイエンスに行ってほしいのに)基礎獣医学の学位取得者がこんなに少ないのかという意見に対し、ライフサイエンスに行く人は畜産分野が多いので、その認識は違う。競合より共存を考えるべき。
  • 獣医学は、教員の出身は獣医学だけ。もっと他から取り入れて活発化させるべきでは。
  • しかも、教員は自大学出が多く、男ばかり。
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