現状成功していない動物性集合胚~作業部会第8回

先日、文部科学省の動物性集合胚の作業部会の第8回が開催されました。既に資料が文部科学省のサイトにアップされています。

●人と犬のキメラ化!?

今回は、科学的観点からの調査・検討事項の整理に関する表について、さらに議論を深めるような内容でした。

実は、「研究進めるべき」の意見が以前にもまして強くなってきているのを感じたのですが、人とのキメラをつくる対象の動物として「イヌはどうか」といった意見まで出てきていたのは非常に驚きました。

もちろん、広く親近感を持たれている犬が実際に対象とされる可能性が高いとは思えませんが、なぜ今回雰囲気が変わったのか?と考えると、理由として、現行の規制下で動物性集合胚の研究を行うことを唯一届出ている東大医科学研究所・中内啓光教授の研究について、進捗状況に関する報告が出たことがあったのではないかと感じました。

(現在の規制でも、原始線条が現れるまで、もしくは14日目までであれば、人間と動物のキメラ胚をつくる研究をすることはできます)

●成功しないからこそ研究したい……

結論から言ってしまうと、報告の内容は、マウスと人間で胚をキメラ化させることには現在成功していないというものでした。

ではなぜ規制緩和を進める議論をまだするのか?と思われるかもしれませんが、科学者は「だめだったのだからもうやらなくていいよね」という判断の世界には住んでいません。むしろ、不成功であるがために、もっと研究しなければという欲求が高まっているように感じました。

例えば、「ホスト胚がヒトと進化的にかけ離れているマウス胚であることが原因なのか、他のホスト胚が選択できない以上は結論が出せない」などといったことが報告の最後に書かれています。そうなると「では、やってみなければ!」となるわけですが、実は同じ報告書の冒頭には、ブタ胚・サル胚よりマウス胚のほうが先に進める可能性が高いからマウスとのキメラ化を選んだことがはっきり書かれています。

最近、研究の潮流は明らかにiPS細胞から臓器を構築する方向に流れていっており、動物性集合胚ではない方法についても今後ヒアリングもするとのことなので注目したいと思っていますが、いろいろと理由をつけて、とにかくだれもやったことがないことをしてみたいのが研究者だということを改めて実感しました。

※参考:これまでの議論はこちらからたどれるようになっています。

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