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人と動物のキメラ:「社会的不利益・動物福祉」の文言は入ったが…

動物性集合胚(人と動物のキメラ作成)について文科省で検討が続いていますが、先日開催された特定胚等研究専門委員会(第97回)において、社会的・倫理的検討が終了しました。

結局のところ、座長は人と動物のキメラ作成を推進する立場を常に明確にしており、反対の立場のヒアリングは一つもなく、委員にも反対意見の委員も一人もいませんでした。

福祉についても専門家らしい具体的な話はなく、形だけで意味のない(いつもの文科省&業界発信と同様の)話で終わった割には、最終的な文書に「社会的不利益・動物福祉」についても一定程度文章が割かれているのは、ほぼ奇跡のように感じます。

まだ最終版が公表されていませんが、当日の配布資料です。

科学的検討が終了した後も研究に動きがあったためか、これからまだ継続して科学的な検討を行うとのことです。

※追記:アメリカNIHでは、モラトリアムではありますが、現時点では全ての脊椎動物の胚に人の多能性幹細胞を入れる研究への資金提供は停止されていますので、そのことが書かれていないのはおかしいのではないかと指摘しました。(アメリカの状況についてはこちら

◆傍聴したスタッフの感想

話し合いはいつもと同じような感じでした。今回はヒアリングもありませんでした。

委員からの意見は、もうやってもよさそうな方向になっているのだから、今後の総合的な検討の論点は、もっと減らした方がよいとか、国民の理解を得る方法を話し合った方がよいとか、マスコミにはポジティブキャンペーンをしてもらうように働きかけた方がよいとか、決まった後にどのように運用していくかもこの委員会で話し合えたらよいと思うができるのかといったような議題とは離れたようなものばかりでした。

今回も倫理的観点に関する意見は何も出ず、整理内容を見ても倫理的観点に関する議論がほとんどされていないことが分かります。

そもそもこの委員会の委員たちは倫理についてどこまでわかっているのか倫理ということについて真剣に考えたことがあるのかと疑問に思います。

こんな大事なことがこのような人たちのお粗末な議論によって決まっていくのかと思うと
怒りがこみ上げてきます。

◆参考

そういえば倫理的検討なのに倫理の人が呼ばれていないと思い、不思議に思ったのですが、考えてみると意識調査に偏重したヒアリングだったのだと思います。こういう立場の人は呼ばれないのです。

「いのちを“つくって”もいいですか?」(島薗進 NHK出版)より

 しかし、安全性の問題だけではありません。ここにはきわめて大きな倫理的問題があります。そもそも、「人間と豚のキメラをつくる」などということが許容できるのでしょうか。豚の胚に移植される幹細胞は、まぎれもなくその人自身(の一部)であり、また豚の体内で育つ心臓は、その一部は“人”であると言えるでしょう。そのような存在を自由に操作することは、果たして倫理的に容認できることなのでしょうか。

 また、このようにしてさまざまにキメラを作製し、研究や医療への利用が進んで行くとすると、一体どこまでが人でどこまでが動物なのか、“種”の境界が揺らいでしまうのではないでしょうか。そうするとやがて、「人とは何か」という理解までもが怪しくなってくるかもしれません。

※注:この部分の前段に、患者本人の幹細胞を使って健全な臓器(ここでは心臓が例)をつくるので拒絶反応もないと考えられているという下りがあるのですが、科学的検討を行っていた作業部会を傍聴した限りでは、下記の2点が指摘されており、科学者によるミスリードを信じた記述と考えられます。

(1) どう努力しても豚の細胞が完全に紛れ込まない臓器をつくることは不可能と考えられ、この方法による移植は、どこまで行っても異種移植である。

(2) 本人の幹細胞を使えば、作った臓器には本人の遺伝子とともに同じ病気が引き継がれる可能性があり、他人の幹細胞を使うことが検討されている。

この2点ある限り、拒絶反応がないということは考えられません。

オンライン署名にご協力ください!人と動物のキメラを胚の段階から作成し誕生させることを解禁しないでください

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