マーモセットの脊髄損傷、学会発表で疑問…実中研から回答

動物実験用のケージ(ケージは本物です)
動物実験用のケージ(ケージは本物です)

10月9日~10日に開催された第49回日本実験動物技術者協会総会に参加してきました。

その中で、公益社団法人実験動物中央研究所(実中研)からの口頭発表「コモンマーモセットを用いた脊髄損傷モデルの作製」(西中栄子氏ほか)を聞き、疑問に感じることがありました。

実中研でコモンマーモセットの脊髄損傷実験が行われていることは知っていましたが、脊髄損傷を負わせた場合、何らかの治療に関わる実験に使っているものと思っていました。しかし、この発表では、単に脊髄損傷を負わせて経過を見たことが発表され、質疑応答では全て安楽殺を行ったとの説明がありました。

ということは、この発表のためだけにマーモセットたちは脊髄損傷を負わされたのでしょうか? マーモセットは霊長類ですし、一般に湯水のように使われているマウスやラットとは、それなりに扱いは違うはずだと思っていたので、疑問がわきました。

ちなみに、使われたのは雄7匹、5~10歳齢です。インパクターという、衝撃を与える専用の機械を使って脊髄を損傷させ、障害を負わせますが、実中研の苦痛度に関するリストでは、苦痛度はDとなっています。

しかし、実験に用いる目的で作成する脊髄損傷モデルでデータをとればよいのであって、わざわざこのためだけに脊髄を損傷させたのであれば、使用数の削減(Reduction)の観点から問題があるのではないかと思い、2015年11月2日づけで同研究所の実験動物委員会宛に質問書を送りました。

それに対して回答をいただきましたので、全文を下記のページに掲載いたします。正直、こちらが知りたいことについて回答があったようには思えません。やはり、このためだけの実験で動物実験委員会を通るということではないかと感じます。事実関係としては、苦痛度E(動物が耐えることのできる最大の痛み、あるいはそれ以上の痛みを与える実験)の実験は行われていないということだけがわかったような印象です。

ちなみに、質問書でマーモセットの入手についていろいろ尋ねているのは、動物愛護法の見直しのために開催されていた環境省の小委員会で実験動物について検討された回のとき、傍聴席に「マーモセット余ってるんだけど、いらない?」と話していた男の人がいたと聞いたからです。もちろんだれかはわかりませんし、ペット関係者かもしれないですが、マーモセットが余るほどいるところはどこだろうか?(しかも動物実験関係者の傍聴が多かった回で)と思っていました。

質問に書いた日本クレアは実中研の収益部門を独立させた企業であり、マーモセットは900匹以上は飼育しているはずです。

このような発表が行われるのは、もしかして余っているマーモセットがいるために逆に実験が行われていたりしないだろうか?という疑念が根底にあって聞いた質問でした。回答をいただけなかったことは非常に残念です。

医学目的とはいえ、疑問のある実験は様々あることを皆様も拡散していただけたらうれしいです。

ただし、今回、回答をいただけたこと自体は注目に値することだということを特記したいと思います。

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