<EU>動物実験によらない「複合汚染」の評価手法に関する報告書

化学物質がどのような作用を持つかについては、通常、単独の化学物質に関してしか試験や評価は行われていません。

○○という化学物質の毒性については、○○についてだけ動物実験が行われていて、他の××や△△と一緒に暴露したときどうなるかについての評価というのは行われていないわけです。

この複数の化学物質による複合作用について、動物実験を行っていくことはほとんど不可能と言われています。ある種、動物実験の限界です。

しかし一方で、かつて有吉佐和子が『複合汚染』で指摘したように、実社会では、人も環境も化学物質の複合作用に晒されているのが現実です。

合成化学物質を多種・大量に使い続ける現代社会にとって、この問題をどうするかは非常に大きな課題ですが、EUでは、10月に欧州委員会共同研究センター(JRC)が、動物実験によらない複合影響の評価手法に関するレビュー調査報告書を公表しました。

手間もお金もかかり種差も存在する動物実験のような試験法ではなく、よりハイスループットかつ科学的に化学物質の複合作用について予測するための手法として、以下のようなものが挙げられています。

  • in vitro試験法……培養細胞などを用いた、動物を使わない試験法。
  • オミクスアプローチ……DNA、メッセンジャーRNA、タンパク質などの生体内分子の計測によって生命現象を理解しようとする学問領域。(名称に-omicsがつく学問分野)
  • (Q)SAR モデル……構造活性相関。化学物質の構造から作用を予測する手法。
  • 読み取り法(Read-across)アプローチ……データのない化学物質について、同一カテゴリーに属する他の物質で入手可能なデータを用いる手法。
  • PBTKモデリング……生理学的毒物動態モデル。化学物質の吸収、分布、蓄積、代謝、排泄などの体内動態を、時間的な経過も含めて予測するための数理モデル。
  • TTC アプローチ……暴露閾値(TTC値)に基づいて評価する手法。
  • AOPs……有害性転帰経路。分子・細胞・臓器・生体等の各レベルで化学物質がどのようなメカニズムで作用しているかを整理し、因果関係を経路として表したもの。
  • DEB モデル……個体レベルから集団、社会での影響へと外挿する予測モデル。
  • IATA……試験及び評価に関する統合的アプローチ。どのような試験法の組み合わせで化学物質の毒性を評価するかまとめたもの。

単独の試験法・予測法で予測できるということではなく、それらの組み合わせでどう評価していくかというのがトレンドになります。JRCによるリリースと報告書のデータは以下の通りです。

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