国民生活センターのウサギを用いた残酷な動物実験       

今年4月、独立行政法人国民生活センターが「 液体の入ったスマートフォンケースからの液漏れに注意」というリリースを出しました。

そこに書かれていたのはウサギを用いた残酷な動物実験(皮膚一次刺激性試験)の結果です。研究者が「昔の写真のような動物実験は行われていない」と言っていることと大きく矛盾する内容でした。やはり現在でも、以前の写真のような痛ましい動物実験は行われていることがはっきりしました。

いや、写真より酷いかもしれません。

試験された4銘柄のうち3銘柄で強い刺激性があると判定されており、その内容は、皮膚への塗布1時間後から72時間後まで継続して皮膚の壊死瘢痕(傷跡)といった深部損傷がみられ、浮腫(やけどの水ぶくれ)も48 時間後までみられるといった内容でした。

この動物実験に用いられた液体は、すでに消費者から、右肩がかぶれたて1週間経ったが治らない、腕にやけどを負った、太ももにこぼれ痛みがあった等の申し立てがあり、人間で強い症状が出ることは分かっていました。なのに動物でなぜ改めて行う必要があるのでしょう。

しかも、人体に触れる化粧品等のためには、既に国が認めた代替試験法もあります。人工的に作られた皮膚で行えば十分わかることです。

実際に用いられたのは医療機器のための規格による試験ですが、スマホケースは医療機器でも何でもありません。

医療用品どころか、ヒトの被害と試験結果からいえば劇物指定できそうなレベルですが、そもそも販売者も成分を知らず機器分析でも成分不明という怪しい液体なので話にならず論外であり、劇物指定が想定されていたはずもありません。

危険性があると断じるにはin vitro試験で十分であり、もし動物でないとだめだというのなら、それは既に宗教に近い何かが判断させているでしょう。

しかも当たり前ですが、あくまで動物での結果にすぎませんから、人について断言はできるわけではありません。リリースでも、人間に対して皮膚障害を生じる「可能性」としか書いていません。

にもかかわらず、要するにこれまでの慣習に従って、また普段こういった試験をいつも行っている試験受託会社の提案に従って、不必要で残酷な動物実験が選択されたのです。

用いられたのは原液であり、この濃度で動物実験を行うと決めたのも、動物で試験を行うと決めたのも国民生活センターです。しかし、実際に試験を行うのは外注先のため、国民生活センターには動物実験委員会は設置されていません

実質的な内容の判断をしたのは国民生活センターであるにもかかわらず、です。

やはり日本には、動物実験委員会の決定を経ず、担当者個人の判断で実施されているような、苦痛度の高い動物実験があるのです。

国民生活センターに動物実験委員会がない根本的な原因は、所管庁である消費者庁が動物実験指針を持っていないことにあるように思えますが、そもそも省庁別に指針をつくるような日本の体制が間違っています。(参考:参議院の質問主意書

「液体の入ったスマートフォンケースからの液漏れに注意」より試験結果該当部分

(1) 皮膚への刺激性

封入された液体について 、3銘柄が「強い刺激性」「皮膚腐食性あり」 、 1 銘柄が「中等度 の刺激性」と評価されました

各検体に封入された液体が皮膚に付着した際、発赤や化学やけどなどの皮膚障害が発生す る可能性があるかについて、皮膚一次刺激性試験を行って調べました (詳細なテスト方法は 参考資料参照)。

各検体に封入された液体をガーゼに均一に塗布し、試験動物の無傷皮膚に貼付して4時間放置し、除去後1 、24 、48 、72 時間後に貼付していた部分の皮膚の観察を行って刺激反応を評価し ISO 10993- 10(注3)の方法に従って、一次刺激性インデックス(P.I.I.)を算出して 刺激性の評価を行いました(図1) 。

その結果、No.1~3の3銘柄は、1時間後から72時間後まで継続して壊死(注4や瘢痕(注5)といった深部損傷がみられ、浮腫(注6)も48 時間後までみられ「強い刺激性」と評価されました。

またNo.4 も、1 時間後から72 時間後まで継続して壊死がみられましたが、浮腫は48時間後以降ではみられず「中等度の刺激性」と評価されました。さらに、観察を継続したところ、No.1~3の3銘柄については、除去した14日後でも、組織として再生しない皮膚症状が残っていたため、皮膚腐食性があると評価されました。

(注3)ISO 10993 -10(Biological Evaluation of Medical Devices – Part 10) : Tests for Irritation and Skin Sensitization : 医療機器の生物学的評価 – 第 10 部 : 炎症及び皮膚感作性の試験)
(注4)一部の細胞や組織が死ぬことで、物理的・化学的傷害等によって生じる。
(注5)やけどや外傷などが治ったあとにできる傷跡。
(注6)皮膚の下などの組織間隙かんげきに水分がたまった状態。

国民生活センター

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