PEACE活動報告ブログ

今のところ動物実験実施の命令は出ていないが…化審法施行状況

一般化学物質に関する規制を定めた化審法は、2009年に大きな改正があり、法制定以前の約2万の既存化学物質(審査されていない)も含めた化学物質の評価を行っていくことが決まりました。

その評価の中で判断に足るデータがないとされた場合に、その物質の使用状況などを加味検討して、新たに国が動物実験を行うよう命令をする可能性があります

EUでREACH制定のときに、何万匹が犠牲になると推定値をもとに議論されていたのとは裏腹に、日本ではどれくらいの物質がその対象になり、どれくらいの命令が出されるのか見当もつきませんが、そのような仕組みが新たにできました。

その化審法改正の施行状況の検討が現在進められており、先日開催された第2回はリスク評価の進捗状況がテーマだったので聞いてきました。この検討会は、いわゆる5年後の見直しとして行われており、結果によっては再改正に至る可能性もあります。

この第2回で公表されたデータによれば、今のところ新たな試験指示をするかどうかを決める評価Ⅲまでいった物質(下記の工程図の黄色で囲った部分)はなく、動物実験を行うように命じられた物質はありません。ただし、7,699物質の評価を2020年までに行うとされており、今後どうなるかはまったくわかりません。進み具合は遅いと言われています。(図中の優先評価化学物質は、今後まだ増える可能性があります)

化審法 評価の進行状況

この評価においては、国は事業者に対して有害性に関する情報(動物実験の試験結果等)の提供を求めていますが、持っていれば必ず出さなければいけないものではなく、強制力を持たせるべきではないかとの意見もありました。

また気になったのは、このために新たに動物実験を行うことが禁じられているわけでもないということです。EUのREACHでも似たような形で情報の提供を求めていますが、「動物実験の重複を避けるため」(新たに動物実験を行わないため)という目的がはっきりしています。日本ではそういう観点はなく、業界から懸念を感じさせる発言もありました。

日本も、不要な動物実験の重複は避けるということをもっと明確な形で打ち出してほしいと思います。非GLP試験でも使えるデータは使っているとのことですし、過去のもので使えるものは全て生かしてほしいと思います。

参考:
PDF「スクリーニング評価・リスク評価に係る有害性情報の提供に御協力お願いします」【Q&A】よくある御質問(Q&A)

Q4:試験結果を所持していない場合、試験する必要がありますか。
A4:提供依頼のために、試験を実施する必要はありません。この提供依頼は試験の実施を求めるものではありません。

ちなみに、提供を求めているデータは下表最左列の枠にかこまれたもの、試験を命じることになるのが真ん中の列です。

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また、検討会では、化学物質の構造から毒性を予測するQSAR等の活用についても議題になっていましたが、今のところ結果が芳しくなく、もう少し改善の余地があるのではないかという話になっていました。このあたりの研究開発にも是非力を入れてほしいと思いました。

※資料中の「リスク評価において現在検討中の課題」より(抜粋)

●有害性評価における不確実性の低減
【現状】評価Ⅱの段階においても、評価に必要な有害性情報が十分でなく、不確実性が大きいまま評価をせざるをえない物質が存在。
【課題①】事業者に対して有害性情報(QSARやカテゴリープローチにより予測した毒性値や非GLPデータを含む。)の追加提出を求めるなどにより、より多くの有害性情報を生態影響の評価に活用を可能とする取組が必要。[3省合同審議会、環境省専門家会合]
【課題②】法第10条第1項に基づく有害性情報の求め等を行うためのスキームの検討が必要。[3省合同審議会]

●構造活性相関(QSAR)やカテゴリーアプローチ等の活用(再掲)
【現状】専門家判断に資するため、実験値と比較可能な形で国内外のQSARツールでの計算結果を審議会資料として作成(生態影響)。
【課題】推計精度や有効範囲等を検証した上で、どのような場面で活用可能か等を早急に検討し、活用可能と考えられる場面から試行を目指すとともに、必要に応じて一層の技術開発を進める。[3省合同審議会]

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