ゾウにがんが少ない本当の理由? 論文撤回には至らず……

論文撤回情報を扱うブログ「Retraction Watch」に興味深い事例が載りました。

日本でも報道された、ゾウにがんが少ない理由を遺伝子解析によって分析した米国医師会雑誌(JAMA)の論文に対し、アニマルライツ団体PETAが撤回を求めていたが、認められなかったという件です。

この論文で用いられたデータは全て飼育下のゾウのものですが、野生であれば寿命70年のゾウたちは、飼育下では、結核や関節炎、慢性の足の問題、ストレスに起因するヘルペスウイルスによる死亡などで若くして亡くなっており、ゾウのがんが少ない理由は、がんになる前に、他の理由でゾウたちが死んでいるからだとPETAは主張しました。

論文の主要部分はゾウの遺伝子解析であり、データの偏りをもって不正とは認定されませんでしたが、この指摘については全く的外れというわけではなく、論文のディスカッション部分でも触れられています。

ジャーナル側によれば、論文の受理前に、飼育下のゾウのみ(すなわち若いゾウのみ)のデータを使うことの信頼性と限界について述べるよう、著者に修正を何度も求めたとのことでした。(ちなみに論文では、逆に人間は人工的に寿命が引き伸ばされており、がんの危険性をます喫煙などの習慣に晒されていることも指摘されています。)

しかし、この論文にサーカス団が運営するリングリング・ブラザーズ・ゾウ保護センターのサーカス引退ゾウが用いられていることや、この論文がゾウ調教用の手鉤(ブルフック)利用の言い訳として宣伝されていることなどの倫理的理由については、紋切り型の対応となっており、全く考慮されなかったという印象です。

2000年以降アメリカ動物園水族館協会(AZA)公認施設で死んだ76匹のゾウの半数以上が40才にさえ達していなかったとするデータは下記に掲載されています。新生児~2歳までの死亡を除いても平均は37歳程度のようです。

ちなみにPETAが論文を撤回させた事例もあります。

はな子 

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