アメリカ:ゲノム編集で作出された角のない牛に、意図していない遺伝子が混入

FDA finds a surprise in gene-edited cattle: antibiotic-resistant, non-bovine DNA

ミネソタ州のリコンビネティクス(Recombinetics)社がゲノム編集で作り出した角のない乳牛(除角牛)に、本来牛のものではない抗生物質耐性を持たせるための遺伝子が意図せず混入していることを、アメリカ食品医薬品局(FDA)の科学者が偶然発見した。記事の要点は以下の通り。

実験室段階で、意図せぬ汚染が起きていた。危険な遺伝子ではないが、安全だと誰も保証はできないだろう。

ゲノム編集を疑う強烈な一撃を投げかけており、科学者は未来の食を急ぐことを一時止めるよう呼びかけている。現実にゲノム編集が動物に外来のDNAを導入する可能性があるという発見は、畜産業にとって懸念事項となるだろう。

考えてみてほしい。角のない牛は、通常の交配で産ませることができるのだ。(参考:ゲノム編集をせずとも、突然変異によって生まれつき角が生えない牛は自然に生まれてきており、こういった牛は改良種として既に生産されていることを言っている。角を切る「除角」が牛に強い苦痛を与えるため、そのような牛のほうが福祉にかなうと考えられている。)

それに対して、ウナギの遺伝子を導入されたサケなどというものは実験室でしか生まれない。ゲノム編集で、余計なプラスミド(注:細菌などに存在する、染色体以外のところにあるDNA分子。細胞分裂で受け継がれる)が張り付いたのはこれが初めてではない。科学者がわかっていないことはまだあり、ゲノム編集は育種選択を単に早めるだけの技術ではないことは明らかだ。

ゲノム編集はできたばかりの技術であり、まだ改善が続いている段階だ。予期しない悪いことが起きるかもしれないし、それが常に検出されるわけではない。したがって、追加のリスクや安全性の懸念がなかったとしても、確認するためには調べなければならないと考える、とFDAの担当官は述べている。

要点は以上だが、こういったコンタミが完全に避けられるとは思えない。ゲノム編集とは別の問題として片付け、問題を矮小化しようとする態度は疑問である。

何より、効率一辺倒で動物のことを顧みず驀進してきた畜産業が到達した利己主義的な技術だ。このような生命操作も不要だが、畜産業自体も不要なのである。

元論文はこちら:
Template plasmid integration in germline genome-edited cattle
L. Norris, S. Lee, Kevin J. Greenlees, Daniel A. Tadesse, Mayumi F. Miller, Heather Lombardi
doi: https://doi.org/10.1101/715482

追加情報

AFPが報じた記事によると、このゲノム編集牛は殺処分になるとのことです。人間が勝手にいじっておいて、酷い話です。

また、この問題についてリコンビネティクス社はFAQをサイトにアップしています。「ブリ」とは、ゲノム編集された牛の名前(固有名詞)です。

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