JAXAの動物実験計画書の審査に疑問…!? 回答をいただきました

宇宙航空研究開発機構(JAXA)のウェブサイトの「『きぼう』での実験」の中に「動物実験委員会 」のページがあり、議事録が公開されています。

簡易な議事録しか作成しない研究機関もある中、個別の審査内容について簡単な記述があることは評価できると感じましたが、問題点を指摘しつつも是正を確認しないまま承認に至っていると思われる部分が散見されましたので、質問書を送付しました。

そもそも宇宙空間での動物実験は必要性が大いに疑問ですが、質問書ではそのことには触れてはいません。動物実験委員会の承認システムに欠陥があるのではないかという疑問をあえてぶつけました。JAXAには膨大な国家予算が投下されており、「夢」を売っているからといって免罪されるわけはなく、説明責任があると思います。

回答全文は下記のページに公開しましたが、「再審議が行われていたが議事録上それが読み取れなかったので改善する」というのが主旨でした。

若干補足をすると、回答中の「国際的なガイドライン」とは、JAXAウェブサイトで和訳が公開されている「COSPAR Policy and Guidelines for the Utilization and Care of Animals Used in Space Research(宇宙実験における動物の使用と管理に関するCOSPARの規範および指針)」であるとのことでした。

また、「『きぼう』での実験」のページの中に動物実験に関するページがあったので、「きぼう」での実験に限定した審査が行われているのかと思いましたが、現在は、地上で行うその他の動物実験についても、審査を行っているとのことです。毒物劇物にあたる化学物質の開発も行われているのは驚きました。

具体的な審査例としては、山梨大学・若山照彦氏の実験計画について「麻酔薬の選択については、所属機関の動物実験委員会の専門家にご相談すること」との記載があるにもかかわらず「承認」となっており、特に疑念を抱かせるものでした。麻酔薬について審査しないのなら動物実験委員会の存在意義はありません。回答には、医薬品が差し替えられたことを委員会として確認した旨、書かれていました。

ちなみに、計画書には「医薬品レベル以外の麻酔薬」が書かれていたとのことでしたが、具体的にはアバチン(トリブロモエタノール)だったとのこと。アバチンが動物実験に適さない理由は、東北大学が今年1月づけで公表している「動物実験において忌避すべき麻酔薬」がわかりやすいので下記枠内に該当箇所を引用しました。

国際的には、医薬品ではない薬品(試薬や工業用化学物質等)を苦痛除去や安楽死に用いないことがスタンダードになってきていますが、日本は主要な研究機関でも対応が遅れているのではないでしょうか。

該当の機関が山梨大学かどうかを聞いた部分には回答がありませんでしたが、所属の機関で使用が許されていたからこそ計画書への記載があったではないか?と疑わしく、所属の機関へ判断を戻すのはやはり誤りで、JAXAとしてきちんと指示すべきであったと思います。

東北大学動物実験専門委員会「動物実験において忌避すべき麻酔薬」(2016年1月)より

2.アバチン(トリブロモエタノール)
アバチンかつてはマウスの麻酔薬として腹腔内投与により用いられていましたが、現在では下記のような副作用が認められています。
1)特に高用量や高濃度、繰り返しの使用で刺激性があり、腹腔内に投与すると腹膜癒着を起こす可能性がある。特定のマウス系統では、腹腔での炎症により死にいたる重篤な副作用を発生しうるという研究がある。
2)熱で容易に分解し、分解産物は腎臓や肝臓に毒性をもつ。分解したアバチンを投与すると外科手術24時間で死に至る場合がある。
3)投与数週間後に腸閉塞を起こしうる。腸運動を止め、死に至ることもある。またアバチンを光や熱のある場所で貯蔵したり、推奨量や推奨濃度以上で貯蔵すると、より起こしやすくなる。
4)16日齢より幼弱なマウスや炭水化物代謝異常症、例えば糖尿病や肥満のモデルマウスなどは予期しない効果が発生しうる。

アバチンは、現在医薬品として市販されていません。従って麻酔薬として使用する場合は、研究者自ら非医薬品グレードの化学薬品から調整しなければなりません。しかし、麻酔薬等の動物実験に用いる薬品は、研究対象の薬品以外は、医薬品を用いるべきです。
国際的にもアバチンの使用については疑問視されていることから、研究成果の国際ジャーナルへの投稿に際して、アバチンを用いた研究報告は不採択のリスクを伴います。

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