PEACE活動報告ブログ

加計学園・新獣医学部の実験施設設計図のおかしさ? それとも?

昨日は、国立感染研の安全性を考える会の総会があり、元国立感染研主任研究官でありバイオ予防市民センタ一代表の新井秀雄さんの記念講演を聞いてきました。加計学園・新獣医学部の施設の安全性などについてのお話でした。

結論から言ってしまうと、開示されている資料が少なく、なんとも言えない部分もかなりあり、とにかく情報を開示すべきだとのこと。

いま市民団体が公表している資料を見ると、BSL3の実験室は5階にあるが感染動物の飼育室1階にある設計。BSL3の部屋で調整したものを一般人も通るような場所を通ってエレベーターを使って1階まで持っていくことになる。5階に先生たちの研究室の部屋があるので、便利なように近いところにしたのではないかとのこと。

こういった封じこめ施設ができはじめた昔ならいざ知らず、今新設するなら独立の建物でつくるべきで、WHOでもそうすることになっているが、この加計学園の施設は一般の人も入れるような普通の建物のなかにつくっている。

バイオ予防市民センターとしては、こういったレベルの実験室はあちこちにつくるのではなく、研究者が施設のあるところに移って研究するようにすべきだとの考え方だそうです。

また、この施設を維持するための資金がどこから来るのかについては、いろいろ懸念が持たれているようでした。例えば、急に金額を伸ばしている防衛関連の研究費とか…
(ただ、当会では以前質問をして、防衛省の競争的資金から動物実験には資金提供していないことは確認しました。参議院で提出された質問主意書の答弁書からもそのように読み取れます。金額が変わるとまたわかりませんけど… (あくまで競争的な研究費のことであって、防衛医大では動物実験してます。誤解なきよう))

しかし結局、加計学園でどんな研究がなされるのかは、誰が雇われるのかによってくるので、そこがわからないと何をするかについては何とも言えないのだな・・と思いました。

不思議ですが、設計図では1階の感染動物の飼育室にはBSL3相当となっているところはないそうです。

加計学園側が当初説明していた、患畜からBSL3相当の菌が分離されたときだけBSL3実験室を使うという説明なら、動物への感染実験しないと受け止められますから整合性ありますが(⇒追記:学部設置の申請書類上も感染実験はしない内容になっていました)、それだと最先端の動物実験(って何だ?)をするかのような政府側のキラキラしい売り文句とは随分違ってきます。

広さは、2、3人が実験作業できる程度。学生皆に使わせる広さではないですね。(広くなくていいですけど)

獣医学部は学生が犠牲にする動物の数が格段に多いですから私たちとしては新設はもちろん反対ですが、「欧米並み」が指すところが何なのかなど、虚飾ではない説明がほしいところです。

既にご存知の通り認可についての結論は11月に持ち越されています。

追記:

11月14日に大臣認可が出ました。それに先立ち文部科学省の大学設置室が公表した「面接審査意見への対応を記載した書類(9月)」という資料には下記のように記載されており、動物への感染実験は行わない形で認可となっていることがわかります。(in vitroは生体を使わない試験法を指します)

目的
本獣医学部に設置されるBSL3 施設は、獣医学教育病院に来院する動物や野生動物などの検体がBSL3の病原体に汚染されている可能性のある場合のリスクを考えて設置しているものである。従って、病原体分離のための施設で、その使用目的はin vitro での細菌、真菌、ウイルス等の分離・同定である。
【加計学園獣医学部で分離される可能性のあるBSL3病原体】
以前、加計学園の吉川泰弘・新学部設置準備室長から直接聞いた、患畜から分離する可能性のある病原体のリストを載せていましたが、上記資料のほうが詳しいため、差し替えます。日本ですぐ疑い例が出る可能性は低そうなものから、ありえそうなものまでいろいろあります。

細菌:炭疽菌、ブルセラ属菌(Brucella abortus、B. suis、B. melitensis、B. ovis、B. canisなど)、Q熱(Coxiella burnetii)、野兎病菌、牛型結核菌、結核菌、ツツガムシ病菌(Orientia tsutsugamushi)、リケッチア属菌(Rickettsia felis、R. Japonica: 日本紅斑熱など)他

真菌:ブラストミセス菌(Blastomyces dermatitidis)、コクシディオイデス菌(Coccidioides posadasii)、ヒストプラズマ属菌(Histoplasma capsulatum 他),ウイルス:コウモリリッサウイルス属、豚コレラウイルス、口蹄疫ウイルス、ハンタウイルス属(腎症候性出血熱ウイルス他)、高病原性鳥インフルエンザウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス、アレナウイルス属(リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス他)、小反芻獣疫ウイルス、狂犬病ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、重症熱性血小板減少症(SFTS)ウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、西ナイル熱ウイルスなど

*炭疽菌、野兎病菌、SARS ウイルス、ボツリヌス菌(毒素)は、第2種病原体なので、BSL3 施設のない獣医系大学で所持することは違法となる。第2種病原体等を所持するときは,機関の長を通じて,厚生労働大臣へ申請し許可を受けなければならない。また,病原体等の取扱い者は,法律及び省令等に定めがない限り,第2種病原体の譲渡及び譲受をしてはならないとされている。

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