命の犠牲をふやして知らんぷり? 理研のマウス誤提供

先月22日、理研バイオリソースセンターが実験動物などを提供している事業において、注文とは違ったマウスが提供されていたことが新聞報道されました。「41機関に注文とは異なる計178匹の遺伝子組み換えマウスが提供され、なかには実験データが使えず、研究に支障が出たケースもあった」とのことでした。

記事には、時間が無駄になったとの発言が載っていましたが、命の犠牲をふやしたことについて、誰も何も感じないのでしょうか? とても疑問に思いました。

そして、この件について、理研からは「ウェブサイトへの掲載に向けて調整中」との回答はいただきましたが、その後、詳細な調査結果は公開されていません。出ているのは、これだけです。

STAP問題には関係ないとのことでしたが、これでいいのでしょうか?

このマウスがどのマウスだったかが、使った研究者にしか知らされていませんが、それでは不十分に思います。

理研から連絡はあったが、研究結果は無駄にしたくないから公開しよう。
もしくは、公開してしまった研究成果を取り下げるのは嫌だ。
理研が公開していないのだからどうせばれないさ。
そして、その間違った研究成果を見て、他の人がまたマウスを犠牲にする。

……という悪循環が生じているかもしれません。

また、マウスの誤提供に気が付いたのは海外の研究機関ばかりで、日本では気づかず使っていたのも気になります。もしかして、生産会社から誤ったマウスが来ていても、普段からだれも気がついていないのではないでしょうか? そうなると、研究結果というものは信用できるのでしょうか。

そして、問題が起きても隠蔽する体質……。

こんな状況でも、「動物実験は適正に実施されている」などと言えるのでしょうか?

理研からの回答は以下の通りでした。

国内の研究者が間違っていた分については、確かに理研の責任ではないかもしれません(ただし、検査で判明しなかった理由は明らかではありません)。しかし、このような形で迷惑をかける研究者については、論文撤回が周知されるのと同じくらいのペナルティがあっていいと思います。

つまり、マウスの系統を即刻、公開すべきです。

7/10追記:
また、公開された文書では、誤りは2件から3件に増えており、ふえた1件は明らかに理研のミスと思われます。自らの責任について、言及がまったくないのもおかしな話です。

11/30追記:
その後、情報公開請求をしましたが、マウスの系統は非開示となりました。提供先に関しても、国名だけです。一覧表はこちら


【理研からの回答全文】

 本件は2種類あり、一つは2007年に国内研究機関の研究者から寄託されたマウスです。
寄託された後、BRCで遺伝子検査を行った後に国内外の研究者に提供しました。
その後、2013年に寄託者から寄託したマウスが別の系統であるとの連絡があったため
BRCで詳細な遺伝子検査を行ったところ、間違いが認められました。
現在は、再発防止策として遺伝子検査の拡充とアレル特異的な遺伝検査を実施しております。
 もう一つは、2008年から2011年にかけてBRCと国内研究機関で共同開発したマウスです。
BRCでは、共同開発機関の遺伝子組み換え情報に基づいてPCR検査を実施後、
国内外の研究者に提供しました。2013年に海外の利用者から遺伝子組み換え情報にない
遺伝子が含まれている可能性が指摘されたのを受け、詳細な解析を行ったところ、
その遺伝子が認められました。この件についての再発防止策として、
開発者からの系統に関する正確な情報収集、当該遺伝子を含め遺伝子検査の拡充を行っております。
 なお、BRCでは利用者に対して、お詫び状の送付、代替マウスの提供、返金などの対応をし、
理解と納得を得てまいりました。
 また、本件についてはウェブサイトへの掲載に向けて調整中です。

理研筑波バイオリースセンター
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