PEACE活動報告ブログ

科学技術イノベーション総合戦略公表と第5期科学技術基本計画

「科学技術イノベーション総合戦略」は、国の科学技術基本計画を受けて毎年策定されるもので、科学技術に関する重点政策が具体的に列挙されているものです。直接反映されるものとしては、来年度の予算があります。

先日、その2015年版が公開されました。

動物実験が主に関係して来るのは、「II.国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現」ですが、動物実験せよと言わんばかりのものが数多く並ぶ中に、「2020 年頃までの達成目標」として「iPS細胞技術を応用した医薬品心毒性評価法の国際標準化への提言」が含まれていました。これは、厚生労働省が動物実験の代替法の研究開発として現在すでに予算を出しているもので、その実用化がめざされていることがわかります。

しかし、日本の科学技術政策において、動物ではない方法でヒトでの作用を直接予測するような新しい試験方法の開発というのは、重要な位置を占めていないことも、また実感します。EUが、科学技術政策「ホライズン2020」に基づいて多くの予算を動物実験代替法のプロジェクトに配分していることとは対照的です。

● 第5期科学技術基本計画に意見を送ろう!

意見をお送りください詳細はまた追ってご報告しますが、日本では現在「第5期科学技術基本計画」の策定も進んでいます。上記の「科学技術イノベーション総合戦略」にも影響を与え、日本の科学技術政策の方向性を決める5カ年計画です。

現在、中間とりまとめの公表の段階まで来ており、前回の検討では、「科学技術イノベーションと社会」についての議論が行われました。しかし、このための検討会が別途立ち上がって検討されていたことなども事後報告であり、本当に市民の声を聞くシステムが作られているとは言い難い状況にあります。

PEACEとしてではありませんが、代表の東が個人的にコンサルタントをしている国際団体”Humane Society International (HSI) “では、先日、下記の提言を内閣府に提出しました。動物を用いない科学の実現へ向けて、下記の提言も参考に、ぜひ内閣府へご意見をお送りください。

意見送付先:

参考:
PDF HSI:動物を用いない革新的なツールによる安全科学と保健医療分野の研究の進歩

日本において、安全性科学と保健・医療研究の革新を促すための提言

日本の第5期科学技術基本計画は、その基本理念や検討課題において、本報告書において挙げられたような社会的課題に対応するためのアプローチを認識しており、グローバルな社会の発展に貢献しうるものである。したがってHSIは、日本政府及び民間の関係者に対して下記の点を提言する。

  • 経済協力開発機構(OECD)とその加盟国との連携のもと実施するヒト疾患や有害性転帰経路(AOP)の発見やカテゴリー化作業、動物を用いない安全性試験の基盤となりAOPの鍵となる事象における化学物質の影響を評価することのできるインビトロやコンピューターを活用したツールの開発に対する、EUやアメリカに相当する、日本の保健・医療関連の予算の投資(約350億円 )
  • 特定の疾患(例:喘息、アルツハイマー病、自閉症、免疫学等)に特化した、AOPを基盤とした研究の前進と、日本の保健・医療分野の研究における、ヒト生物学を基盤とした高度なツールや技術の戦略的活用を拡大するための開発ロードマップの作成の優先
  • 人間の健康に関するアウトカムに対する動物モデルの妥当性の主張の根拠や、動物の種類にかかわらず、動物に「中程度」以上の苦痛を与えることが予想される脊椎動物を用いる全ての実験における遡及的評価や体系的な解析を要件とすることを含む、動物を用いる新たな実験計画に対する、さらに厳格かつ透明性のある倫理審査と科学的メリットに関する審査のプロセスの設立
このエントリーをはてなブックマークに追加