PEACE活動報告ブログ

<翻訳掲載>小さなケージで不活発になる実験用ラットたち

日本の動物実験施設のラットケージ

日本の動物実験施設のラットケージ 本文中に出てくる海外のサイズと同じくらいかそれより小さい

実験用ラットたちは、通常、体に対してとても小さなケージで飼育されています。飼育環境について最低限の基準をつくるのはよいのですが、そのサイズが健康状態に影響があるほど小さいものであった場合、かえって問題があるのではないでしょうか。

これも動物実験ではありますが、ラットを広い飼育環境で飼った場合と通常の環境で飼った場合とで比較した論文について書かれた記事が「サイエンス」のサイトに載ったので、翻訳してみました。

はたして現在のケージサイズは最適なのか、ぜひ見直しをしてほしいと思います。


小さなケージで不活発になる実験用ラットたち

(翻訳:tuar ceathaさん)

誰もが、ときには身体を伸ばす必要があるが、ほとんどの実験用ラットは、その機会を得ることがない。新しい研究によると、ラットは窮屈なスタンダードサイズのケージに閉じ込められ、自由に動くことができず、健康状態や実験の結果に影響を及ぼす可能性がある。

科学者チームは、実験用ラットのケージが、げっ歯類の生来の習性にまったく適していないと認識し、もう少し自由に動けるラット群の行動観察をはじめた。

米国やカナダ、EUで、実験用ラットの多くは、ルール上、高さが最低18~20センチメートルのケージに入れられている。だが、成長したラットは、立つとその2倍ほどの高さである26~30センチメートルにまで達する。科学者らは、新しい実験で、高さ125センチメートルの、基準よりかなり広い、多層のケージの中でラットを観察した(訳注:右下写真参照)。ratcage-F1

窮屈なケージに入れた立つことのできないラット群と比較して、生後3か月のラット群は、一日に平均178回立ち上がり、生後13か月のラット群は、一日に平均73回立ち上がった。しかも、いっそう活発だった。

生後3か月のラット群は、一日に平均76回登るようすが観察され、全年齢層のラットが一日に20~30分間ほど穴を掘った。こうした行動をするスペースのない窮屈なケージのラット群は、大きなケージに入れたラット群よりも9倍多く頻繁に伸びをし、窮屈さをカバーしようと身を伸ばしているようすだったと、科学者らは”Royal Society Open Science”で報告している。

その発見は、基準となっている実験用ケージが、どのようにラットの正常な行動を妨げる可能性があるか、という研究へのほんの手始めに過ぎないと彼らは語っている。このことがどのように、医学や心理学といった分野における実験結果に影響を及ぼす可能性があるかを解明するには、さらに多くの研究がなされる必要があるとしている。

原文:Tiny cages make for sluggish lab rats
※読みやすくするため、改行を入れました。

写真は元論文より引用:
The importance of burrowing, climbing and standing upright for laboratory rats
I. Joanna Makowska, Daniel M. Weary, 2016, Royal Society Open Science DOI: 10.1098/rsos.160136

日本の動物実験施設のラットケージ

日本の動物実験施設のラットケージ

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