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「農地を守る」放牧シンポジウム~国も放牧推進の取組み

放牧シンポジウム先月16日、農林水産省が「農地を守る」と題した放牧シンポジウムを開催しました。荒れる耕作放棄地の解消を目的とした放牧の話にテーマは限定されており、アニマルウェルフェアの観点はほとんど語られませんでしたが、国がこういった課題に積極的に乗り出しているのはとてもうれしいことです。

繰り返し出てきていたのは、大型の家畜を緩衝地帯に放牧することで獣害対策にもなる点でした。また高齢化がすすんでいるため、放し飼いによって労力の軽減につながることも放牧に期待される大きな要因となっていました。

耕作放棄地の所有者が必ずしも積極的とは限らず理解を得ていく必要があること、放牧地が飛び飛びとなっていてまとまった広さになっていないこと等、課題はあるようでしたが、これまで牛舎で飼育されていた肉牛が外へ出られるようになるのは歓迎できることだと思います。

農水省では、ウェブサイトに放牧のコーナーを新設するとのことで、これもうれしい動きの一つです。既に下記のURLでオープンしています。

また、当日用紙に書いた質問は取り上げられませんでしたが、後日回答がもらえるとのことで、以下の3点を教えていただきました。

●農水省が放牧のモデル事業を予算化

当日、農水省が「地域づくり放牧推進事業」を新設したことについて説明がありました。シンポジウムは耕作放棄地対策としての放牧がテーマだったために肉牛中心だったのですが、酪農についてもこの事業でモデル事業に予算を出すとのこと。詳細は以下の図の通りです。(パンフレットより)

「地域づくり放牧推進事業」予算額は、国産粗飼料増産対策の595百万円の内数になっているとのことで単独でどれくらいになるのか不明ですが、農林水産省がこのような取り組みに予算を割いてくれるようになったのは、素晴らしいことだと思います。

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●消費者へ向けた取り組み

消費者に対するアピールも放牧推進のためには必要なことだと思います。これについては、(一社)日本草地畜産種子協会が、放牧を取り入れた畜産を普及推進するため、放牧畜産基準を制定しその認証制度を創設したとのこと。農林水産省も、「放牧畜産共通の認証マークの表示を通じて、この制度が広く消費者から支持が得られるとともに、放牧畜産によって生産される畜産物の生産がより拡大し、ひいては放牧畜産の普及推進につながることを期待しています」とのことです(回答より)。

●獣害対策としての効果

獣害対策の効果として具体的に金額等が数値化されたものは特にないようですが、「平成18年度 食料・農業・農村白書」よりイノシシ、サルの農地への出没がほぼみられなくなった事例、放牧により獣害が皆無となったと報告されている以下の事例を教えていただきました。


<追記>
2015.10.14 その後、農林水産省のページに当日の資料が掲載されました。下記リンクをご参照ください。

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