「倫理的消費」調査研究会傍聴~動物への配慮についても意見が!

先日、消費者庁に対し要望を行ったことをご報告した「倫理的消費」調査研究会の件ですが、第5回が12月15日に開催されたので傍聴してきました。

内容は、

・国内団体のヒアリング
・海外のエシカル消費についての調査の結果発表
・中間とりまとめの論点たたき台についての議論
・環境イベントで開催された「エシカルラボ」の報告

などでした。

海外調査の報告では、イギリスの倫理的消費の原点として、反アパルトヘイト・脱フロン・動物実験フリーの3点があったということがまず発表されました。しかし、「めざす最終目標は法規制とされている」という説明があったにもかかわらず、実際に法的禁止に至った化粧品の動物実験について、成功例として報告がなかったのは残念です。「最も成功しているエシカル消費はフェアトレード」とされていましたが、これは「法的義務がないもののうち」という意味になると思います。

まだまだ世界中で問題が横行していたとしても、法的に禁止された国では消費者の目の前から問題のある商品が消え、過去の問題になってしまう……という温度差の問題をここでも感じました。

日本の消費者運動からの発表では、エシカルの認知度が思ったより低いことを感じました。しかし、動物の問題についても、実態に驚いたことに言及してくださり、とてもありがたかったです。

一方で、やはり日本にグリーンコンシューマーの流れが入ってきたときに、動物の観点が完全に抜け落ちていたことを改めて実感しました。また、企業による一連の偽装・不正事件が倫理的でない例として挙げられていましたが、これについても、やはり日本の消費者運動が考えている「不正」の範囲が狭すぎるのではないか?と感じます。

倫理的消費というのは、裏返せば倫理的でない商品・サービスが存在するということだという意見は全くその通りだと思うのですが、普通に問題ないものとして流通している商品にこそ、実は不正義が常在しているという認識を持たずにエシカル消費について議論しても意味がないと思います。

違和感を感じてくださった委員の方はやはりいらして、「論点が違うのではないか」という指摘もありましたが、事務局サイドが根本的な違いについて理解をしているかどうかというのは一抹不安です。

エシカル消費の最終目標は法規制という話も出ていたとおり、今ある法律で罰したり流通を止めたりできるものだけが非倫理的な商品なのではありません。未だ法規制に遠いもの、あくまで普通に流通している商品こそ、環境を破壊していたり、人権を侵害していたり、動物を虐待していたりするのです。そのことについてもっと目を向けた議論をしてほしいと過去の議事録を読んだときから思っていました。

この日は、中間とりまとめの論点整理の文書も出てきましたが、「倫理的消費」を「おかげさま消費」と言い換える等、何か別の方向に向かっているのではないか?と思われる記述が幾つかあります。「和製エシカルでもいいではないか」という意見もありましたが、「日本の消費者の関心は自分の安心安全。海外はそうではなく、自分以外のものへの関心だ」という鋭い指摘もありました。

ぜひ、何に対して倫理的でありたいのか、自分だけ(消費者だけ)よければいいという意味になっていないか、吟味しながら中間とりまとめとしてほしいと感じます。

最後になってしまいましたが、足立直樹委員(株式会社レスポンスアビリティ代表取締役)から、海外での動物関係の法規制一覧について委員限定で資料配布があり、「動物への配慮についての議論が欠けていたのではないか」との指摘がなされました。心より御礼申し上げます。

参考:

ethical

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