学問の自由は人権ではない 科学研究の規制と法

「科学研究の規制と法~『研究不正』をどう扱うべきか?~」という公開シンポジウムが東京大学で開催されました。研究不正がテーマであり、その部分は動物の扱いと直接関係するわけではないので割愛しますが、学問の自由に関して興味深いお話があったのでご紹介したいと思います。

憲法が専門の長谷部恭男・早稲田大学教授によれば、学問の自由は、人が生まれながらに持っている人権(human right)とは異なるとのことで、むしろ高等教育機関のメンバーに認められる特権ではないか、とのことでした。少なくとも現代社会ではその性格が強く、社会全体の公益に大きく資することが学問の自由を保障する根拠ではないか?という見解を示されていました。

それが何を意味するかというと、つまり、十分な理由付けは必要だが公益の観点からの規制がありうるということです。

また、学問の自由と表現の自由も性格を異にするため、別個の権利ととらえるべきではないかとのことでした。表現の自由については内容規制は原則禁止だが、学問の自由についてはそうではなく、内容規制しかあり得ないとおっしゃっていました。

ただし、逆に「研究の内容で規制してはいけないが、手続きの規制はありうる。手続きは、むしろ明確化されていたほうがよい場合もある」と言っていた方もおり、イベントは全体に「規制によって研究の自由が阻害されてはいけない」という論調を大きく感じました。「学問内部で自律的に規律を持つ」ということが非常に重要視されるわけですが、「規制が学問を委縮させると言うが、それが本当なのかという問題もある」という発言もあり、法的規制を完全に否定するものでもなかったと思います。

本筋とはずれるか?とも思ったのですが、人間の臨床試験の話だけが出て、動物が被験者の場合が完全に無視されているように感じたので、動物実験についても規制は必要ではないかと質問をしたのですが、そのことについては「声はとても大きい」と町野朔・上智大学名誉教授が答えてくださいました。

ちなみに、イベントの主催は東京大学・科学研究費補助金基盤研究(A)「生命科学研究の規制と支援の法制度に関する包括的研究」、東北大学・科学研究費補助金基盤研究(A)「科学技術の不確実性と法的規制―学際的観点からの包括的制度設計の試み」でした。

(S.A.)

2014-09-28

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