PEACE活動報告ブログ

動物愛護管理法の運用に関するアンケート結果をもとに環境省に要望

※2016.01.09追記
1件回答差し換えの連絡があり、修正版をアップいたしました。それに伴い、記事中の表記についても修正をしました。

※2016.03.28追記
アンケート結果について、時事通信からの配信で各紙報道されましたのでご報告いたします。

長野日報 2016年2月10日(水)
琉球新報 2016年1月22日(金)
山口新聞 2016年2月 9日(火)
岩手日日 2016年2月21日(日)
神奈川新聞 2016年3月27日(日)


~犬猫等販売業者定期報告届出書を全国で少なくとも2,202事業者が未提出、など

今秋、改正動物愛護法の施行から2年を機に、動物取扱業に関する業務を所管する全国の自治体にアンケート調査を行いました。

生体の移動展示販売や短期間のふれあいイベント等において動物の取扱いに問題が起きており、これまで自治体に指導等を要望してきた中で、第一種動物取扱業の登録に関する運用が自治体によってまちまちであることを実感してきたためです。

また、改正法で新設された犬猫等販売業の規制に関し、運用実態を知るための指標として、犬猫等健康安全計画や犬猫等販売業者定期報告届出書の提出状況等についても聞きました。

犬猫等健康安全計画は、販売する幼齢の犬猫等の健康・安全を保持するための体制等について業者自らが書き記し自治体に提出する書類で、それに則って営業を行うよう法律で定められているものです。この計画書の内容が基準に合致しない場合には、業の登録の取消ができることになっているのが、2012年の改正の目玉の一つでもありました。

犬猫等販売業者定期報告届出書は業者が毎年自治体に提出するもので、これによって年間を通しての犬猫の取扱いについて、行政が状況を把握することができます。

◆アンケート結果概要

実施期間:2015年9月14日~11月11日
集計対象自治体数:98自治体(動物取扱業に関する業務を所管する自治体すべて)

結果概要(主なポイント):

  • 犬猫等健康安全計画を、全国で少なくとも180事業者が未提出。
     (4分の1は廃業・休業もしくはその可能性が高い)
  • 犬猫等販売業者定期報告届出書を、全国で少なくとも2,202事業者が未提出。
     (平成26年度分、5月30日提出締切)
  • 第一種動物取扱業の登録に関し、自治体間に運用の違いがある。
    • 立入検査後に登録となるかどうか
    • 土地・建物の権原を有することの確認方法
    • 2日以上の短期間営業(展示・販売)について、動物取扱業の登録を求めるかどうかに自治体間に解釈の違い
◆アンケート結果をもとに環境省に要望しました

このアンケート結果をもとに、先日、環境省に要望書を提出しました。概略は以下の通りです。

1. 第一種動物取扱業の登録に際しては、立入検査による現地確認を必須に

立入検査で現地確認が済んでから正式に登録するとしたものが48自治体(49.0%)、その他例外があるとしたのが46自治体(46.9%)でした。例外として、短期間の営業等に便宜が図られている実態があります。いずれの場合でも、立入の結果によってはイベント当日開催できない可能性もあるにもかかわらず、立入及び登録を受けていない段階で必ず開催されるかのような広告が打たれており、問題があります。

2. 土地・建物の権原を有することを証明する書類の提出を義務に

土地・建物の権原を有しているかどうかの確認のために、書類の提出を不要としている自治体が約3分の1ありました。土地・建物について権原を有することは、商売を行うにあたって当然のことであり、不適切な動物の取扱いを防ぐ意味でも大きな意味を持ちますが、本当に権原を有するかどうかの確認が必ずしも行われていないことは問題です。

3. 既に他の事業所で動物取扱責任者となっている者が重複して責任者になることのないよう、確認を

動物取扱責任者は業務の性質上、常勤である必要があります。また、複数の施設で兼務することは不可能と考えられますが、イベントで1か月、2か月、不在になるような事例もあります。他で責任者になっていないか確認しているとした自治体が67 (68.4%)、なることはできないが他で責任者になっていないか特に確認はしていないとした自治体が28(28.6%)ありました。

4. 2日間以上の営業となる展示・販売について、業の登録を必須に

現在、一定の時間(概ね24時間)を超える営業活動が発生している場合に業の登録が必要と示されている見解について、自治体間で解釈にばらつきがありました。営業が2日間にわたる場合、「登録は必ず必要」とした自治体は58(59.2%)でしたが、一方で「登録しなくてよい例外がある」とした自治体が39(39.8%)ありました。

登録不要とする例外は、「夜間動物を連れ帰っている場合」「夜間動物を連れ帰り、なおかつ施設が撤去される場合」「営業が合計24時間を超えない場合」「夜間動物を連れ帰り、なおかつ営業が合計24時間を超えない場合」等に解釈が分かれています。業者側から見て、対応の厳しい自治体と緩い自治体があることは問題です。

国として、2日間以上の営業で要登録との見解を改めて出すことを要望しました。

2日間以上にもかかわらず業の登録なしで営業されていた例(そもそも広告の表示義務も守られていないのだが…)
横浜ハウススクエア

 
5. 土地・建物の権原を喪失した事業者に対しては、廃業させるか業の取消を行う

短期間のイベントの登録でも5年間の有効期限で運用されています。土地・建物の権原を喪失しているにもかかわらず放置もしくは例外扱いとなっている事例はごくわずかしかありませんでしたが、要件を満たさなくなった事業者についても登録が継続するのはおかしな話ではないでしょうか。

6. 法令を遵守しない犬猫等販売業者に対し厳しい対応を

施行後3か月の経過措置期間が終わってからも随分時間が経つにも関わらず、未だ犬猫等健康安全計画を提出していない事業者が少なくとも180あることがわかりました。そのうち約4分の1は既に営業実態がないものと思われる回答が付されており、これについては円滑に登録抹消できる仕組みの検討が必要かとは思いましたが、実際に犬猫の販売を継続しつつ、義務となっている書類を提出してない事業者が存在することは問題です。

計画は、そもそも自らが行っている事業についての概要説明のようなものであり、もし書けないのであれば、そのこと自体が不適切な営業実態があるからではないかと疑う根拠になりうると思います。勧告・命令を含め、全国の自治体に対応を指導するよう環境省に要望しました。

定期報告届出書については、もっと多い約2,200事業者が期限を半年過ぎても出していない実態がありました(件数が書かれていない自治体もありましたので、実際にはもっと多くなります)。環境省の平成25年度の統計によれば、全国で15,974事業者が犬猫等販売業者として登録を受けており、そのうち12,085事業者が繁殖を行う者となっています。1割以上が未提出というのは、業界全体の意識に問題があるのではないでしょうか。

ただし、聞くところによると、施行後初めての報告届出書の提出の際は自治体も頑張って提出をさせたが、今年は2年目であり、多少気が緩んだのもあるのではないかとのこと。せっかくの制度が実態を伴わないものになってしまわないよう、毎年きっちり提出をさせてほしいと思います。届出書は、指導を行うための基本的なデータとなるものです。

事業者が犬猫等健康安全計画を遵守しているかどうかの確認について、届出書の内容と照合していると回答した自治体が少なかったことも(30自治体(30.6%))、残念でした。

その他、第一種動物取扱業の登録業者一覧のインターネット公開についても要望をしました。爬虫類やエキゾチックアニマル系の販売業では、未だにホームページ等に動物取扱業の登録に関する情報が載っていない、もしくは不十分である事例が多々見受けられ、合法な事業者かどうかをすぐに確認できる手段が必要だと思います。

アンケート結果全文は、下記をご覧ください。

最後になりましたが、ご回答をくださいました全国の自治体の皆様に御礼申し上げます。


2016.1.21追記:一部要望が通った部分について、下記に掲載しました。

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