PEACE活動報告ブログ

未来が見えない動物実験関係者連絡協議会シンポジウム

一去年のシンポジウムのレポートもできていないうちに、あっという間に1年が経ち、昨年末にも動物実験関係者連絡協議会(動連協)のシンポジウムがありました。動物実験関連団体を中心に、関係者が集まるNPOが毎年開催しているシンポジウムの第5回目であり、去年のテーマは「『動物愛護管理法』の過去・現在・未来」でした。

これまで非常に保守的で後ろ向きの発言を繰り返してきた理事長の坂東武彦氏が、冒頭の挨拶で「次の改正の参考になれば」と述べたので、一瞬期待をしましたが、終わってから一言で内容を言ってしまえば、「未来」については何の話し合いも展望もなく終わった印象でした。

JaCVAM(日本動物実験代替法評価センター)の小島肇氏が、3Rセンターができることが大事等の提案を述べましたが、それ以外はあまり具体的な話はなかったように思います。

また環境省から動物愛護管理室長が登壇しており、パネルディスカッションで「30年先を見越したビジョンを持って今の政策を考える必要がある」といった主旨のことをコメントされましたが、動物実験関係者は30年後についてはイメージがわかないのか、考えたくないのか、この話が大きく展開することはありませんでした。

今現在、日本で動物福祉関係で何か新しく動いているような話が出たのは、環境省の実験動物の飼養保管基準について、解説書を新たにつくっているという話くらいでしょうか。

昭和55年につくられて以来まったく改訂もされていなかったので、新しくするのは歓迎ですし、むしろ遅いくらいですが、これをやった後に、「だから法改正は要りませんよね~」と言い出すのではないかと気がかりです。

(また、現行の基準の内容以上のことは書けないとも聞いていますので、そうなるとあまり大した内容も期待できないような気がして心配しています。)

CIOMSの原則についても、法改正に関係するのは動物実験の監督制度について書かれたX(10)番だという話が出ましたが、ここで述べられている監督制度は日本では基本指針が該当するという、何ともご都合主義な解釈が披露され、本当にガッカリしました。

それでも、医学生物学以外の分野では取り組みが進んでいないといった問題があることを認める発言があったり、基本指針は食品や農水関係の企業をカバーしていないといった話も出ましたが、やはり最後の最後にはいつも通り、適正にやっていると発言する人がいて終わるのです。

なので、また思わず挙手で発言してしまいましたが、理研のSTAP細胞問題子宮頸がんワクチン研究などで動物実験計画の審査を受けずに動物実験が行われており、社会的にも大きな関心を呼ぶような研究でそのような実態があるのは、やはり何か問題があるのではないかと思います。

人間の臨床試験のほうも倫理審査を集約化する動きがありますが、やはりその背景にあるのは、「自分の施設で倫理審査をしたって身内が身内を審査するのだから身びいきの甘い審査になるし、バラつきも出る」という不信感です。全く同じことが動物実験にも言えるのではないかと思い、例に出しました。

他には、やはり動物側の立場から、計画書の審査のときにどの程度代替法が検討されていたらよしとしているのかという質問が出ていました。JaCVAM小島氏の答えでは、欧米では動物実験の前にin vitroで確認するという方向性にあるが、日本の動物実験委員会で「まずin vitroを」と指摘しても、結局その分の研究費を取っていないからできないという話になってしまうという話でした。

それこそCIOMSの原則では、お金がないことは言い訳にならないと言っているわけですが、この日のシンポジウムでは、ではそういう日本の実態をどうするのかという方向性は見えないままでした。

いくら「あれは代替できない・これは代替できない」と言ってみたところで、欧米は着実に動物実験は減らす方向であり、化粧品では社会的要請から動物実験ができなくなってしまっています。(シンポジウムではそのことをネガティブに言っているようだったのが引っかかりましたが!)

2回も動物愛護法改正があって動物実験について全く何も変わらないなどということが起きたら、もはや日本は先進国ではないと感じますし、大丈夫なのか?と思いますが、業界は結局相変わらずのように見受けられました。いつまでも古参の人たちに任せていて大丈夫なのでしょうか。


第5回シンポジウム内容

「はじめに」浦野 徹(動連協 理事、生理学研究所特任教授)
「動物愛護管理法の歴史的経緯」 則久 雅司(環境省 自然環境局総務課動物愛護管理室 室長)
「医薬品食品領域での動物愛護管理法の現在と未来」 小島 肇(国立医薬品食品衛生研究所 安全性予測評価部 第二室 室長)
「実験動物領域での動物愛護管理法の現在と未来」 八神 健一(動連協 理事、筑波大学特命教授)

第4回シンポジウム内容

ちなみに、一昨年の内容は以下の通りでした。

第一部 トピックス「日本医療研究開発の新しい体制と方向性」
「日本医療研究開発機構の役割」 菱山豊 (日本医療研究開発機構(AMED) 執行役)

第二部 シンポジウム「動物実験に関する法体系を考える」
「動物実験の法規制を考える視点―比較法学者が科学者に教えてほしいこと」 青木人志(一橋大学 教授)
「医薬品開発における動物実験の法規制 <現状と今後>」渡部一人(日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 基礎研究部会長)
「動物倫理に関わる研究体制の現状と展望を考える」 板東武彦(動連協 理事長、新潟大学名誉教授)

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