6月1日、改正種の保存法施行。これにより動物愛護法も一部改正されています

SNSで触れただけでブログには載せていませんでしたが、今年6月1日、種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)の改正が施行されました。

動物福祉については全く無関係となってしまいましたが、認定希少種保全動植物園の制度が発足し(つまり認定されたからといって、よい状態で動物を飼っているわけではない)、環境省のサイトに説明ページもできました。施設間で希少野生動植物種を譲渡する際、認定を受けている側の施設であれば許可手続きが免除されるなどする制度です。

特定第二種国内希少野生動植物種の制度も創設されましたが、これは主に昆虫が想定されているそうです。子どもの虫捕り等まで罰則の対象にするのは厳しいと思われる種に緩めに規制をかけるのが主旨とのこと。

また、取引禁止には程遠い改正ですが、象牙製品等を扱う事業について届出制から登録制への変更がありました(5年ごとの更新あり)。象牙製品等を扱う事業者は、特別国際種事業者として登録しなければならないことになり、陳列・広告時には登録番号等の詳細を掲示しなければならない等、義務事項もふえたというのが政府側の「売り」です。制度自体は、業務停止や登録取消の仕組みもあるなど、第一種動物取扱業の枠組みに少し似たところがあります。

しかし、象牙は買ったり売ったり自体がダメ! これが既に世界の流れです。

最後に、ワシントン条約(CITES)付属書I掲載種と二国間渡り鳥等保護条約(協定)通報種が対象になる国際希少野生動植物種の取引について、一部、動物愛護法が同時に改正施行されているので、少し詳しくご紹介します。

国際希少野生動植物種のうち、生きている個体の登録について制度変更がありました!

環境省から許可を受けて行っている動物園間の取引は別として、商業的目的で繁殖させた個体であるなど合法に取引できる国際希少野生動植物種の生体については個体ごとの登録制になっており、登録票の添付がなければ取引ができません。

しかし、死んだ個体の登録票を密輸個体に付けて売る等の抜け穴がガバガバなのは知られた話で、一度国内に入った密輸個体を流通の過程で摘発することは困難でした。既にどれだけ効果があるか疑っていますが、少しはこの問題に対策をとろうとしているのが今回の改正です。

  • 生きた動植物の登録票に有効期間(交付日より5年間)が設定され、更新が必要になる。
    • 更新を行わなかった場合は、登録は失効し、有効期間満了日後は譲渡し等ができなくなる。
    • 既に登録を受けている生きた動植物の登録票にも有効期間が設定される。
      登録(交付)日有効期間の満了日
      平成20年(2008年)5月31日以前平成31年(2019年)5月31日
      平成20年(2008年)6月1日~
      平成27年(2015年)5月31日
      平成32年(2020年)5月31日
      平成27年(2015年)6月1日以降登録(交付)を受けた日から起算して5年を経過する日
  • 一部の個体に個体識別措置が義務付けられた。※個体識別措置が必要な種と法令で認められた個体識別措置方法
    対象種個体識別措置
    哺乳綱のうち、水生生物以外マイクロチップ
    鳥綱全種マイクロチップ又は脚環
    (クローズドリング、3桁以上の識別刻印)
    爬虫綱のうち、最大体長が一定の
    大きさ以上のもの
    マイクロチップ
    オオサンショウウオ属全種マイクロチップ

マイクロチップ埋込み部位については下記参照。

※詳細は登録業務を行っている一般財団法人自然環境研究センターにお問い合わせください。

これに伴い、動物愛護法もほんの少しだけ改正されました

昨年改正され今年施行された種の保存法の第21条第6号によって、国際希少野生動植物種の登録における個体識別措置が義務付けられ、第63条第6号で罰則(30万円以下の罰金)が設けられました。

これに伴って、動物愛護法も改正がありました。

条ズレ以外で内容にかかわるような改正はわずかに1か所だけですが、動物愛護法第12条に定められた第一種動物取扱業の登録の取消の要件のうち、種の保存法違反に該当する部分に、この個体識別措置をとらなかったことにより有罪になった場合が追加されました(第1項6号)。

これは去年(平成29年)の国会で、あまり知られないまま改正がなされていたものです。

種の保存法改正そのものに効力がどの程度あるかはわかりませんが、営業できなくなることとリンクしていれば、表向きはきちんと営業しようとしている業者に対してであれば、少しは抑止力にはなるのかもしれません。

といっても個体識別措置をするだけの話ではあるのですが。

この点についてはなぜか不思議と同時改正になりましたが、種の保存法違反についてはなぜか重大な違法行為が第一種動物取扱業の業の登録取消とリンクしていないので、今度の法改正でリンクさせるよう、関係議員等に要望を行っています。

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