第一種動物取扱業を営む者が広告を行う場合、以下のことを守らなければいけません。
第6条 第2条から前条までに掲げるもののほか、第一種動物取扱業は、次に掲げるところにより行うものとする。
一 第一種動物取扱業の実施に係る広告については、次に掲げる方法により行うこと。
イ 氏名又は名称、事業所の名称及び所在地、第一種動物取扱業の種別、登録番号並びに登録年月日及び登録の有効期間の末日並びに動物取扱責任者の氏名を掲載すること。
ロ 安易な飼養又は保管の助長を防止するため、事実に反した飼養又は保管の容易さ、幼齢時の愛らしさ、生態及び習性に反した行動等を過度に強調すること等により、顧客等に動物に関して誤った理解を与えることのない内容とすること。
「イ」は、消費者にとって、合法な業者かどうかを知ることのできる重要な情報であり、「ロ」は、「販売店が安易な飼育を促している」という長年の批判が反映された項目です。
しかし、特に爬虫類・エキゾチックアニマル系を販売する事業者で、これらのことは守られているでしょうか。「ロ」についても問題はあるかとは思いますが、イエス・ノーがはっきりわかる「イ」の項目について、ウェブサイトをチェックしてみました。(ウェブサイトも広告に該当するとされています。)
対象にしたのは、昨年9月に神戸で開催された爬虫類等の展示即売会で開催4日前までに参加が公表された事業者です。動物取扱業の対象外が7業者、サイト不明が4業者がいましたが、生体(哺乳類・鳥類・爬虫類)を扱っている事業者は41あり、以下のような結果となりました。
- 第一種動物取扱業の登録情報を表示していない事業者は約4分の1(24%)。
一部の項目を載せていないのも約4分の1(24%)。合わせて約半数が表示が不適切といえる。 - また生体の通販が行われている、もしくは購入可能と思われる表示があるものが約3割(27%)。
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ちなみに登録年月日と登録の有効期間はいずれかがあれば表示有とするなど、チェックは若干緩めにしてこの結果です。
法改正によって対面で確認が行われていない個体については通販できないことになりましたが、生体が通信販売されていた事業者や、通販可能と思われる表示のある事業者もいたので、そのことも併せて自治体に通報をしました(オレンジ色の事業者のみ)。指導が行われたはずですが、今現在も表示がない、もしくは生体の通販表示がある事業者がいます(濃いオレンジ色の事業者)。(通販を行っている事業者の宣伝になるのは問題なので、事業者名は伏せました。業者の順番も主催者公表とは変えてあります)
半数が不適切となると「一部の業者が悪い」とは言えない状況です。とはいえ、ある自治体では、逆に半数に表示があったことを職員の方が驚いていました。表示している事業者がそんなにいるのかという意味です。動物取扱業が登録制になり広告規制ができてからも随分経ちますが、こんなに事業者の法令違反が横行している法律は他にあるのでしょうか。
ちなみに、展示会そのものも1日のみの開催であれば登録は必要なく、どれだけ事業者が集まるイベントでも自治体は開催を把握できません。この展示即売会の場合は、主催者も登録事業者ではなく、1年に何度繰り返していても動物取扱業者に該当しないというのもおかしな話です。
こういった展示会が放置される動物愛護法には、まだまだ穴があります。
※写真は別の開催地のものです。
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