PEACE活動報告ブログ

「次の法改正はこのままでいいのか」 日本実験動物学会総会

5月の末に、日本実験動物学会の総会があったので、参加してきました。日程の都合上、初日の朝に開催されていた製薬協の第三者認証のセッションを聞くことができず大変残念でしたが、最終日の動物福祉のセミナーなどを聞くことができました。

しかし全体に、新しいゲノム編集技術であるCRISPER/Cas9で盛り上がっている感じが非常にしました。平たく言うと、「これからもじゃんじゃん動物モデルを作りましょう!」ということです。ただし、CRISPER/Cas9のシンポジウムで話した外部の専門家は、ヒトの患者由来の細胞を扱う方など、2名も動物を使わない方々がいて、この技術についても動物の人たちが試したがり過ぎなのではないかと感じます。

法規制問題については、アジア各国の制度の状況が日本を追い越してきていることなどが報告され、「(日本の)次の改正はこのままでいいのか、考えたほうがよい」といった論調に変わってきています。ただ、まだ論点として、透明性の部分に話がとどまっている印象はぬぐえません。関係者の意識も、事後の情報公開にしか向いていないように思います。これではとても3Rすべてを推し進める体制の実現には程遠いと感じます。

 
◆「マウスはヒトの炎症モデルになる」に垣間見える動物実験のご都合主義

また、興味深かったのはPNAS誌上で熱く議論が戦わされている「マウスはヒトの炎症モデルになるか」問題です。「モデルになる」と主張して論文を出しているのが日本人研究者であることは知っていましたが、そのご本人の講演がありました(藤田保健衛生大学・宮川剛氏)。やはり直接聞いた方がわかりやすいとは思ったのですが、内容はかなりご都合主義に感じました。

そもそも議論の発端となった海外の論文は、ヒトに対してマウスはどの程度共通なのかを見ており、「マウスはよいモデルではない」としたものですが、日本人研究者は、人とマウスで共通の遺伝子のみを最初にピックアップし、その動きのみを解析して「マウスは炎症モデルになる」と論じています。もとから都合がよさそうなデータだけを選んでいれば、都合のよい結論が出るのは、ある意味、当たり前ではないかと思いました。動物実験が、都合のよいデータの選択によって「動物は使える」との論拠を得ていることを実感しました。

炎症については、150もの化合物が「マウスで効くのにヒトで失敗」のルートをたどってきていますが、マウスと共通ではない部分が作用している可能性について完全に無視した議論をするのでは、また失敗は繰り返すのではないかと思います。

◆ニワトリとのキメラで脳にマウスの細胞が分布

畜産草地研究所と農業生物資源研究所の研究者によるポスター発表では、異種間キメラによる幹細胞の多能性評価についてのものがあり、ニワトリ胚にマウスの細胞を入れたところ、ニワトリの頭部(脳)や頸部(筋)にあたる部分にマウスの細胞が分布したとありました。

文科省の作業部会では、人と動物のキメラ解禁へ向けて議論が進んでいますが、ほんとうに大丈夫なのでしょうか?

ほか、動物園・水族館についてのセッションがあったことなど、いろいろ疑問に思いつつの3日間でした。

jalas2015

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