PEACE活動報告ブログ

<動物愛護法改正動向>自民党はマイクロチップ装着義務化の検討…

超党派の殺処分ゼロ議連では動物愛護法改正の検討が進められており、骨子取りまとめが佳境に入ってきました。

一方、共同通信が報じている通り、今のところ自民党で動きが見えているのはマイクロチップだけです。公明党も委員会が動いているようですが、やはりチップです。

記事より:
自民党どうぶつ愛護議員連盟のプロジェクトチーム(座長・山本幸三衆院議員)は、迷うなどして保護された犬や猫の殺処分を減らすため、飼い主を特定する個体識別用マイクロチップの装着を義務付ける動物愛護管理法改正案の骨子案をまとめた。関係者が28日、明らかにした。

●一般家庭の犬猫については、義務化ではなく努力義務に緩和を求めます

15桁の番号が記録されており、皮下に注射方式で埋め込むマイクロチップは、犬や猫がいなくなったときに戻ってきてほしい飼い主にとっては、その可能性を上げてくれるツールです。情報の登録から番号読み取りまでの体制が万全かというと現状問題もありますが、装着を推奨すること自体に反対はしていません。ただ、あまねく飼い主に義務化することが現実的なのか、言われているような遺棄防止効果はあるのかというと、やはり疑問です。

狂犬病予防法に基づく畜犬登録や鑑札の装着義務すら守られていない状況で、マイクロチップを義務化にしたところで守られるのかということは誰しもが思うことだと思います。義務化されても、まずチップを入れるのは、犬や猫がいなくなったときに戻ってきてほしいと願う、いわば「良い飼い主」でしょうし、犬や猫を飼っているが大して大事にも思っていない遺棄予備軍が、急に義務化されたからといって、お金や手間暇をかけてまで個体識別措置をするかどうかは疑問です。そういう飼い主のところへ動物を戻すのがよいことなのかどうかジレンマもあるかもしれません。またチップをいれるはずがないので、生まれた子猫・子犬の遺棄防止に有効な手段ではないのは明らかです。まさかとは思いますが、違反取り締まりに行政等のリソースを割くようなことになったら費用対効果的にどうなのかとも思います。

さらに義務化で特に懸念が出るのは猫で、屋外に所有者不明の猫と所有者のいる猫が混在して多くいる現状を考えると、マイクロチップが義務化されていることを理由に「チップがない=所有者がいない=殺処分してよい」と自動的に判断されるようになったりしないかという懸念もあります。体に異物を入れたくないとか、法律を知らない、お金がないといった理由で所有者・占有者がチップを入れていない猫も出てくるはずですが、チップが入っていないことをもって自動的に「所有者・占有者なし」と判断されて、殺処分されてしまっては問題です。

また義務化となると飼い主の意思でやっていることではなくなりますから、万が一健康被害が起きたときや、チップの位置がずれてしまったために起きた見落とし等による殺処分などについて、補償や対策等はどうするのか議論が必要なのではないかと思いますが、そこまで検討がなされているのかどうか、詳細は見えてきません。

災害時等のことを思うと、チップという手段はもっと体制が整備がされる必要はあると思いますが、様々な懸念点から、PEACEもJAVA、ARCとともに、与党に対し「一般家庭の犬猫は努力義務に緩和」を求めていくつもりです。

(現時点での問題点は、今改正で協働で動いているJAVAさんが詳しく調査されているので、こちらをご参照ください)

●今現在、動愛法附則に入っているのは犬猫の販売時の義務化のみ

少なくとも、前回の改正の時の積み残し課題となっていたのは、犬猫の販売時の義務化だけです。一般の飼い主全てという話にはなっていませんでした。

そして、この点についてすら、2013年の改正法施行後、これといった大きな動きはありませんでした。複数の登録団体が並行して存在する状況は変わらず、附則14条に書かれた「識別に係る番号に関連付けられる情報を管理する体制の整備」が進んだとは到底思えません。流通を含めたトレーサビリティがとれない状況も変わりません。

「必要な規制の在り方について」検討もされていませんし、環境省が行ったと報告しているのも、各自治体とのモデル事業のみです。こちらで報告されていますが、要するに実態調査と課題の洗い出しにしかすぎません。

この状況では、本当は犬猫販売時の義務化についても実施ができるのか疑問です。もし万が一、今改正で義務化をするなら販売時にとどめるよう要望をしていきますが、業規制とのリンクについて議論が十分とは思えず、懸念があります。

動物愛護法附則 抜粋

(マイクロチップの装着等)
第十四条 国は、販売の用に供せられる犬、猫等にマイクロチップを装着することが当該犬、猫等の健康及び安全の保持に寄与するものであること等に鑑み、犬、猫等が装着すべきマイクロチップについて、その装着を義務付けることに向けて研究開発の推進及びその成果の普及、装着に関する啓発並びに識別に係る番号に関連付けられる情報を管理する体制の整備等のために必要な施策を講ずるものとする。
2 国は、販売の用に供せられる犬、猫等にマイクロチップを装着させるために必要な規制の在り方について、この法律の施行後五年を目途として、前項の規定により講じた施策の効果、マイクロチップの装着率の状況等を勘案し、その装着を義務付けることに向けて検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。

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