PEACE活動報告ブログ

<シマウマの死>大阪市の動物愛護行政から天王寺動物園に指導

岐阜のゴルフ場内で捕獲作業中に死んだシマウマのバロンに関連して、もう1件ご報告があります。

逸走当日(死亡の前日)にシマウマを放出したばかりだった天王寺動物園を運営する大阪市に抗議書を送り、天王寺動物園から回答があったことは今朝ご報告しましたが、それとほぼ同時に大阪市の動物愛護担当部署からも回答をいただいていました。

天王寺動物園は動物愛護法上の第一種動物取扱業登録業者でもありますから、当然、業規制も受ける立場です。4月11日に大阪市動物愛護相談室は天王寺動物園に立入し指導したとのことで、その内容は以下の通りだったとのことです。


動愛法施行規則第八条第五項のイからソの情報を十分に提供すること。
② 特に、シマウマといった一般に飼養機会の少ない動物を払出しするにあたっては、仮に相手先が類似種のウマの飼養に精通しているといった場合であったとしても、相手先に対して、野生動物と家畜の違いなど、同項ソのその他当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項を説明すること。特に、飼養及び保管が技術的に困難な販売動物に関しては、情報の提供は詳細に行うこと。

つまり、いわゆる「販売時の説明責任」に関する事項の遵守を求めた形です。繁殖について、細目違反ではないかと指摘しましたが、通常の繁殖の範囲内という意味の回答だと思います。

回答全文は長くなりますが、以下の通りです。
※読みやすくするために当会からの照会部分の改行をなくし、見出しの文字を大きくするなどしています。


平素は大阪市政にご理解とご協力を賜り、厚くお礼申しあげます。
メールにてお問い合わせのあった件につきまして、第一種動物取扱業の登録・監視を担当しております大阪市動物愛護相談室より回答いたします。

【件名】

天王寺動物園

【内容】

愛知県で逸走、岐阜県内で死亡したシマウマの件で、先日大阪市宛に添付の抗議書を送りました。
天王寺動物園の問題として抗議したので、動物愛護行政に書面が回ってくるかどうかわからないとも思ったのですが、念のためご連絡いたします。

譲渡先がシマウマを飼育できる施設かどうか確認しなかったことについては、本当は動物商も問題があると思うのですが、動物園に問い合わせても関与した動物商がどこかがわからないので、できれば動物愛護行政が関わって指導していただけないかとは思いました。

また、繁殖については、細目違反ではないかと思っています。

【動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目】
(動物の管理)
第五条 動物の管理は、次に掲げるところにより行うものとする。
三 動物の繁殖は、次に掲げる方法により行うこと。
ロ 販売業者、貸出業者及び展示業者にあっては、販売、貸出し又は展示の用に供するために動物を繁殖させる場合には、みだりに繁殖させることにより母体に過度な負担がかかることを避け、飼養施設の構造及び規模、職員数等を踏まえて、その繁殖の回数を適切なものとし、必要に応じ繁殖を制限するための措置を講じること。

捕獲に関与しなかったことについては、天王寺動物園から所有権が離れた後かとは思うので、法令違反に問うのは難しいかとは思ったのですが(正確にいつ譲渡だったのかは未確認ですが)、道義的にどうなのだ?と感じます。(愛護団体が里親さんに譲渡したばかりの犬や猫が逃げたら、捜索は里親任せにはせず、団体も必死に探します。天王寺動物園がそういう気持ちにならなかったのが不思議です)

市のほかの部局を指導するというのはあまりないことかもしれませんが、札幌市の愛護部局が円山動物園に改善勧告を行った事例もありますので、できる限り対応をしてくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

【回答】

平成28年4月11日に大阪市動物愛護相談室は、天王寺動物園に立入し、指導を行いました。また、御指摘のありました点について、次のとおり回答します。

・譲渡先がシマウマを飼育できる施設かどうか確認しなかったことについて

動物の愛護及び管理に関する法律 (昭和四十八年十月一日法律第百五号。以下動愛法と略す)では、動物の各流通段階において、動物取扱業者が購入者に対し、適正飼養に必要な情報提供を対面で行うこととなっています。

(動物販売業者の責務)
第八条 動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の種類、習性、供用の目的等に応じて、その適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明をしなければならない。

今回の事例にあっては、天王寺動物園が最初に払出しした第一種動物取扱業者(以下Aとします)に適正飼養に必要な情報提供を対面で行い、次にAがシマウマを最終的に飼育するところ(以下Bとします)に、適正飼養に必要な情報提供を対面で行うことで、適正飼養の仕組みが担保されます。

しかし、AやBがシマウマの飼育に必要な事項を熟知していないことは考えられますので、相手の知識に合わせた情報提供を行うよう、第8条には第2項が規定されています。

第八条の2 動物の販売を業として行う者は、購入者の購入しようとする動物の飼養及び保管に係る知識及び経験に照らして、当該購入者に理解されるために必要な方法及び程度により、前項の説明を行うよう努めなければならない。

今回の問題点の一つに、購入者が十分にシマウマの生態、とくに跳躍力や見知らぬ人間からの逃避傾向などの逸走に関する知識を有していなかったことが挙げられるかもしれません。ただし、実際の取引現場にあっては、Aがどの程度シマウマの飼育方法について未知であったかは、Aのみが知ることであり、天王寺動物園側にはわからないことですので、実際はAの側からシマウマの飼育で不明な点について天王寺動物園に尋ねるか、あるいは、初めから流通先としてBへの引渡しが決まっていたのであれば、Bが直接天王寺動物園に説明を求めるよう、AがBに提案する方法も考えられます。ただし、説明は対面が原則ですので、Bが天王寺動物園へ来られない場合は、Aが仲立ちをすることが必要です。

なお、今回の譲渡先がその動物を飼育できる施設であるかの確認は、動愛法に定められておりません。この点に関しては、例えば、ペットショップにおいて、店舗側が顧客の家庭へ行って動物を飼養できる施設があるか確認しないことを想定いただければと存じます。動愛法では、飼養者が動物の習性その他を熟知し、飼養に必要な環境を確保することは、飼養者側の責務としています。

第二条の2 何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。

(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。

しかし、誰しも初めから飼養方法や施設を熟知しているわけではありませんので、動愛法では、先の第八条により適正飼養に必要な説明を販売業者に義務付けるとともに、安易な飼養を抑制することを目的としています。

・繁殖について

天王寺動物園では、5度の有識者会議を経て決定されたコレクションプランに基づいて、212種の飼育動物をカテゴリー分けして、繁殖すべき種を定め、みだりな繁殖を行わないこととしており、シマウマは繁殖推進種になっています。(大阪市ホームページ http://www.city.osaka.lg.jp/kensetsu/page/0000285423.html に会議の経過とコレクションプランが掲載されています)。本プランによると、シマウマの繁殖の目的は展示充実と書かれています。

・捕獲への協力について

「天王寺動物園から所有権が離れた後かとは思うので、法令違反に問うのは難しい」とのご指摘に関しまして、逸走を防止する義務について、法は次のよう定めています。

第七条の3
動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

すなわち、動物の逸走防止対策を行う義務は飼養者にあるとの規定です。であっても、現実には、所有者がその動物の身体能力その他逃走を防止するのに十分な知識を有さないことが考えられますので、前述の飼養管理に必要な情報提供が行われる仕組みとなっています。今回、天王寺動物園とBとで捕獲についての助言や相談が行われたかは把握できておりません。

・指導内容について

以上を踏まえて、平成28年4月11日に大阪市動物愛護相談室が天王寺動物園に立入した際に指導した内容は次のとおりです。

① 動愛法施行規則第八条第五項のイからソの情報を十分に提供すること。
② 特に、シマウマといった一般に飼養機会の少ない動物を払出しするにあたっては、仮に相手先が類似種のウマの飼養に精通しているといった場合であったとしても、相手先に対して、野生動物と家畜の違いなど、同項ソのその他当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項を説明すること。特に、飼養及び保管が技術的に困難な販売動物に関しては、情報の提供は詳細に行うこと。

天王寺動物園側も、指導に従い、今後は適正飼養に必要な情報提供をより十分に実施し、再発防止に努めるとのことです。ご不明な点がありましたら、担当者までお問い合わせください。

今度とも、大阪市の動物愛護管理行政にご理解ご協力をお願いします。


参考:これまでの経緯

nakigoe-shimauma-webimage

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