環境省が全国自治体に通知「動物園等における安全確保等について」

環境省の「動物の飼養及び保管に関する通知」のページに、今年3月15日に出された「動物園等における安全確保等について」という通知が掲載されています。

全国の自治体へ向けて通知されたものですが、確かに去年から思い出しただけでも、動物園での大型の特定動物による負傷・死亡事故が相次いでいます。

  • 群馬サファリパーク(2016年8月16日、クマによる、死亡)
  • 富士サファリパーク(2016年12月10日、サイによる、重傷)
  • 湘南動物プロダクション(2017年1月23日、ライオンによる、重傷)
  • 小諸市動物園(2017年2月27日、ライオンによる、重傷)
  • アドベンチャーワールド(2017年3月12日、ゾウによる、死亡)

こうやって並べてみると、通知が出たタイミングはアドベンチャーワールドの死亡事故の直後です。

通知の内容は下記の通り。

ちなみに、施行規則も細目も、「観覧者等」の安全には言及しているのですが、従業員についてはこれまで明示はされてきませんでした。この通知で、従業員の安全もカバーするということがはっきりしたと思います。

(追記:↑のように書いたのですが、群馬サファリパークの事故の後、8月18日に出された通知に既に「従業員」と入っていました! 環境省から、法令はあくまで観覧者等しか言及していないと言われていたのですが。)

ちょうど滋賀県のショッピングモール「ピエリ守山」にある「めっちゃさわれる動物園」について公開質問状を送ったところですが、この中でもマニュアルは作られているかなどを質問しています。


動物園等における安全確保等について

環自総発第1703152号
平成29年3月15日

環境省自然環境局総務課長から
各都道府県・指定都市の動物愛護管理主管部(局)長あて

最近、動物園等の第一種動物取扱業者の飼養施設において、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)第26条第1項に基づき許可を受けて飼養又は保管されている特定動物による飼育員等の重大な人身事故が複数発生しております。

そのため、特定動物を飼養又は保管している動物園等の第一種動物取扱業者に対し、特定動物に触れる飼育員や従業員の安全確保等について、展示動物の飼養及び保管に関する基準(平成16年環境省告示第33号)も踏まえつつ、下記の点に注意して、指導、監督等を徹底いただくようお願いします。

また、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)第17条第1号ロただし書及び同号ハただし書並びに特定動物の飼養又は保管の方法の細目(平成18年環境省告示第22号)第3条第3号ただし書に基づく、動物の生態、生息環境等に関する情報の提供により、観覧者の動物に関する知識を深めることを目的として展示している特定動物であって、観覧者等の安全性が確保されているものとして都道府県知事が認めた場合についても、最近の事故を踏まえ、観覧者等の安全性の確保について、再度、確認いただくとともに、必要に応じて、指導、監督等を徹底いただくようお願いします。

  • 観覧者等の安全のみならず、日常的に特定動物等に触れる飼育員や従業員の安全確保についても十分に考慮した、危険を恒常的に回避するためのマニュアル等(以下「安全対策マニュアル等」という。)の整備
  • 動物の種類による、それぞれの特性や危険性に配慮した、飼養又は保管に係る作業の手順や注意事項の順守の徹底
  • 安全対策マニュアル等に即した作業手順に係る研修や訓練の実施
  • その他安全確保に必要な対策

以下は参考:

動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(許可の基準)
第十七条  法第二十七条第一項第一号 の環境省令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一  特定飼養施設の構造及び規模が次のとおりであること。

ロ 申請に係る特定動物の取扱者以外の者が容易に当該特定動物に触れるおそれがない構造及び規模であること。ただし、動物の生態、生息環境等に関する情報の提供により、観覧者の動物に関する知識を深めることを目的として展示している特定動物であって、観覧者等の安全性が確保されているものとして都道府県知事が認めた場合にあってはこの限りでない。ハ イ及びロに定めるもののほか、特定動物の種類ごとに環境大臣が定める特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目を満たしていること。ただし、動物の生態、生息環境等に関する情報の提供により、観覧者の動物に関する知識を深めることを目的として展示している特定動物であって、観覧者等の安全性が確保されているものとして都道府県知事が認めた場合にあってはこの限りでない。
特定動物の飼養又は保管の方法の細目第3条 規則第20条第4号の環境大臣が定める飼養又は保管の方法の細目は、次に掲げるとおりとする。

三 第三者が容易に特定動物に接触しないよう措置を講じるとともに、当該特定動物が人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物であり第三者の接触等を禁止する旨を表示した標識を、特定飼養施設又はその周辺に掲出すること。ただし、動物の生態、生息環境等に関する情報の提供により、観覧者の動物に関する知識を深めることを目的として展示している特定動物の飼養又は保管をする場合であって、かつ、観覧者等の安全が確保されているものとして都道府県知事が認めた場合にあっては、この限りでない。

特定動物飼養者に対する指導、監督等について

環自総発第1608181号
平成 28 年 8 月 18 日

環境省自然環境局総務課長から
各都道府県・指定都市の動物愛護管理主管部(局)長あて

今般、群馬サファリパークにおいて、営業時間内に一般車も進入可能なエリア内で従業員が特定動物に襲われ、死亡する事故が発生した旨の報道がありました。

他の施設において同様の事故の発生を防止するため、都道府県知事(地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては、その長。)が許可している、いわゆるサファリパークに係る特定動物飼養者に対して、特定飼養施設の構造及び規模並びに特定動物の飼養又は保管の方法について、動物の愛護及び管理に関する法律施行規則(平成18年環境省令第1号)第17条、第20条等に照らし、観覧者、従業員等の安全の確保等の観点から再度確認し、指導、監督等を徹底する等の適切な措置をお願いします。

▼群馬サファリパークのクマ(2015年)

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