かわいそうな動物園の動物がいたら、動物愛護行政へ通報を~「国立動物園をつくる会」シンポジウムを聞いて

2019年7月23日一部修正:記事公開当時、主催の団体名等を伏せていましたが、広く問題を知っていただく必要性を感じるに至りましたので、一部の記載を具体的なものに変更しました。


先日、国立の動物園の設立を求める動物園関係者らの団体である「国立動物園をつくる会」が開いたシンポジウムに参加してきました。

これで第5回とのことでしたが、初めて行って驚いたのは、現状の法律についての認識が支離滅裂に感じられたことです。

特に「動物園と動物を取り巻く法環境の現状と課題そして法政策学的展望」と題して話した神奈川大学・諸坂佐利准教授の講演は、自分たちの都合のよいように解釈するのが専門家なのか?と非常に疑問に思いましたし、「日本に動物福祉を扱う法律はない」という発言まで出ていたのは、非常に驚きました。いくら動物愛護法の実効性が弱いとしても、これは理解されない発言でしょう。

また、現行法でも動物園は動物愛護管理法の規制下にありますが、そのことについての現状認識も非常に弱いように感じました。イギリスの動物園法の許可制や、アメリカの動物福祉法の登録制と同じような制度(登録制)は、既に日本の動物愛護管理法の中に定められていますが、そのことには触れずに、まるで別物のように教えるのは疑問です。

日本の動物愛護法の中の動物取扱業の部分は業法に当たる部分だと一般に解釈されていますし、第一種動物取扱業の登録制度は「実質許可制に近いから、わざわざ許可制にする必要はない(許可制にするとすれば、それ相応の理由がいる)」と言われてきたことなど、これまでの改正の歴史も一切ご存じないのではないか?と思いました。

しかし、そういう目で改めて動物愛護管理法の施行規則にある第一種動物取扱業者の遵守基準を見ていると、確かに販売業者のほうが守るべき項目が多く、展示業者(動物園など)は規制が緩い現実はあります。基準が弱いので、欧米に達しない感があることは事実でしょう。

これでは、動物園関係者が「動物愛護法はペットの法律」などと、間違ったことを言いだすのも無理はないのかもしれません。お目こぼしをしてもらっていて、自ら法律をないことにするのは、都合が良すぎるとしか思えませんが……

そこでふと気が付いたのは、動物園の動物の取扱いが酷いと思っても、普通は「そんなものか」とあきらめてしまって、なかなか保健所・動物愛護センターに通報して立入してもらおうとまでは思わないかもしれないということです。それによって動物園が指導される立場であるという認識が持ちづらいのではないか?と思いました。

私たちも、動物園の不適切飼育についてあきらめず、問題があれば通報、立入・指導を常に行ってもらうことが必要なのだと思います。それによって規制強化につなげなければいけないのだと思いました。

どうか、問題があったときは、その動物園のある自治体の動物愛護行政に苦情を寄せてください。下記のリンク先で苦情を受け付けてくれる保健所や動物愛護センターの窓口を教えてくれます。

ちなみに、このシンポジウムのパネルディスカッションでは、自ら行った動物実験の話もした東京大学農学部の真鍋昇名誉教授が「実験動物は動物愛護法の対象ではない」とも発言。これも、最近の教育を受けていないことの証です。今どき、まだ第41条を知らない研究者がいること自体、あり得ないようにも思いますが、そもそも私たちが会うような研究者は動物実験の3Rに取り組んでいる方の場合が多いので、バイアスがかかっていたのかもしれません。

国立の動物園が必要かどうかと言えば必要ないですが、そのこと以上に驚くべきことがいろいろありました。アライグマがペットショップで売られているなどと、一体いつの時代の話か?外来生物法を知らないのか? 非常に疑問でした。

どれだけ有名人が率いていても、現状の法律の認識が間違っていては、現実の法制度を変えることはできないでしょう。

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動物園の余剰動物のエルク。特定外来生物だが、譲り受けた移動動物園は、知らなかったとして無許可飼育をしていた。では、手放した側の動物園は規制を知らなかったのか? それとも伝えなかったのか? 動物園の法律に関する知識は、実は非常に乏しいのかもしれない。

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