PEACE活動報告ブログ

環境省で動物園についての検討会開始 内容はかなり心配

日本動物園水族館協会(JAZA)が、ここのところ、動物園法の制定を求めているのはご存知でしょうか。過去に日本でも市民側からそのような要望がありましたが、それは劣悪動物園をなくすためでした。しかし、業界側が動物園法を求める理由は、動物園の設置に根拠を持たせ、それによって予算を得たいからです。関係者が、そのように公言しています。

また、JAZAは、国立動物園の設置も求めています。入場者数が減っている現実をみれば、むしろ動物園は淘汰時代に入るべきで、なぜそのようなときに新しい動物園などほしがるのか、理解に苦しみます。財政難の折、そのような事業には理解は得られないでしょう。

さらに、ここのところJAZAが繰り返しているイベントのタイトルは、「いのちの博物館の実現に向けて-消えていいのか、日本の動物園 ・水族館」。確かに動物園が「見せたい」動物は足りなくなっていくのでしょう。でもそれは、ごく自然なことに思えます。動物園で野生動物を家畜化していくことがいいことだとは思えません。

しかし現実には、エキゾチックペットが売られている場所に行けば、動物園CBの個体(動物園での繁殖個体)が売られています。動物園は余った動物・要らない動物を動物商に売り、悲惨な末路をたどらせながら、一方で動物が足りない、足りないと言っているのです。余剰動物たちの悲惨な末路には責任は取らず、ほしいものだけねだっているのが動物園です。

まさに、「消えていいのか」と言われれば、「消えていい」としか言いようがありませんが、なんと明日から環境省で「第1回動植物園等の公的機能推進方策のあり方検討会」という検討会が始まります。まだ着地点がきまっているわけではないようですが、報道にも「動物園法」の言葉が入っており、方向性としてはかなり危険なものを感じます。

JAZAは、動物愛護法の改正時に「動物取扱業の対象から動物園を除け」というとんでもない主張をしてきていました。今回の動きでも、これを機に、動物福祉行政からの離脱を図ろうとするのではないかと懸念します。

検討会の事務局になっているのは、野生生物課ですから、種の保存や環境教育では親和性は高いと思いますが、そのために動物福祉がおきざりにされないよう、市民が監視する必要があります。JAZAの言いなりの展開にさせてはいけません。(そういう意味では、環境省の良心は、植物も入れたところだと思います。) 

JAZAの主張については、山本会長の原稿が雑誌「世界」6月号に掲載されているので、ぜひお読みください。

また、非常に簡単なメモ状態での公表で申し訳ないのですが、今年2月に東京で開かれたシンポジウムの聞き書きメモを以下にアップします。きちんとした形にする時間がなく申し訳ありませんが、ご容赦ください。

JAZAシンポジウム
「いのちの博物館の実現に向けて-消えていいのか、日本の動物園 ・水族館」メモ

2013年2月2日(東京)
主催:公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)

山本茂行氏(JAZA会長、富山市ファミリーパーク園長)
動物園の実態は、笑いや感動の先にあるわけではない。東山動物園のアジアゾウの出産6例目も、喜ばしいが、戦前から数えても6例目というのはありえるのか。このままでいくと、当たり前の動物もいなくなる。高齢化と少子化が進行しているが動物も同じ。伝えてこなかった、お金もなかった。日本に生息する動物の保全も問題になっている。国策としてどうするか、動物園は影響を与えることができるが、我々の力は弱い。動物園が消えて行ってもいいのか、だめならどうするべきなのか。

きょうのタイトルはアジテーションではない。5年後、10年後の姿である。考えるひとつのきっかけに。

5つの提言

  • JAZAの進むべき将来像
  • 倫理や福祉
  • 連携を強化
  • 人材育成
  • 情報発信を強化

  • 基調講演──1「動物園の現状と飼育動物繁殖の問題点」 

    日橋一昭氏(JAZA生物多様性委員長、埼玉県こども動物自然公園園長)

    動物園が直面している問題。将来の動物の動態予測をソフトウェアで解析。
    西ローランドゴリラ20年後、6頭、ラッコ10頭、アフリカゾウ7頭…など。

    新たな野生動物の入手が困難。生息数の減少、法規制強化(各国の国内法、CITES、口蹄疫など畜産関係、感染症法の届出制(衛生条件が合わないと駄目など)

    日本の動物園は規模がとても小さい。(収容数、面積)
    すぐ満杯になるので繁殖制限をすると、高齢化する。

    アルマイン動物園…アラビアオリックス178頭など。展示していない広いスペースがある。南に野生生物繁殖センターがある。

    展示施設の改善 vs. 収容数 比例しない。
    長屋スタイルは消えていくが、今はこちらの方が数が多い。
    日本でも展示スタイルが変わってきている。
    近交係数の呪縛。掛けあわせで劣化する。近交係数でダメな場合、絶対繁殖しない。Yes か Noかしかない。ノーとは繁殖をやめること。選択肢減る。高齢化、少子化。近交係数がわるいものは繁殖しないという、この方針は見直す。

    たとえばラクダは家畜なので保全の対象ではない。数はどんどん減っている。お金がかかって輸入できない。
    ヒトコブラクダ、三分の一に減っている。動物園にいなくてもいいじゃないかという向きもある。
    タイワンザル、みないない。約30年間に110頭から12頭にへった。逃げて交雑する問題がある。
    飼わないと決めてもいいが、決められないうちにいなくなる。

    カモハクチョウも昭和56年に36羽だったものが1羽に。鳥インフルエンザで入りにくくなっている。

    やればなんとかなるのは、例えば、シシオザル。ブログラムができていて、アメリカから輸入して17頭から73頭にふえた。
    シジュウカラガン CITESI 今117羽にふえている。意識してやれば増える。
    コサンケイも23羽から40羽。ナガヤスタイルのキジ舎がへっている。上野動物園で繁殖プログラム。

    地域収集計画。動物の収集計画を戦略的に。スペースも経費も限られている中で有効に活用し、協力しないと生き残れない。
    保全活動、教育とビジネスの調和。群ごとに情報収集。野生の情報、収容数。
    キジのワークショップ。移動はダンボールでできる。
    種保存会議。種のリストを作る。保全必要か。
    優先順位は、保全、美麗種、文化的側面で決める。どれを残すか。数を減らすためではない。

    ———–
    基調講演──2「水族館の現状と問題点」
    西 源二郎氏(東京都葛西臨海水族園園長)

    水族館は消えるとはあまり考えていない。
    数の推移……90年代まで右肩上がり。今年65館でこの10年間かわりない。停滞気味。

    葛西臨海水族館の開館で、大人も楽しめる水族館という時代に変わってきた。
    水族館のリニューアル。
    大都市にできた。
    それ以降、日本各地に個性的な水族館ができていった。
    2001年からはリニューアルが多く、2005年~2011年まで新築なし。
    95年ころからふえていない。

    ふえたころにあったこと:
    アクリルパネルの発展。水生生物の魅力を見せられるようになった。社会に余力があった。

    展示水槽の発展:
    汽車窓式→オセアナリウム→回遊水槽(外から→内側から)→ブロック型水槽→トンネル
    巨大化、包囲化

    研究活動:
    シーラカンス

    保全に比重がうつっている。
    生息地以外での保全。

    経営の安定も必要。指定管理者制度は不安定。民間だと集客に。
    共通に効果のあるシステム…

    レクリエーションとは?
    野生生物を楽しみのためだけに使っていいのか。ハンティングや毛皮、批判強まっている。

    収集:
    博物館は資料の保護の役割がある。動物園は、繁殖。水族館は野生から捕獲してくる。本来なら自然界で生きていたもの。倫理的によくない。自然からの使者であり、託された資料を無駄にしない接し方が必要。教育や研究をしていくべき。

    教育:
    自然体験の不足。原点に立ち返って正しく伝える教育、研究。フィールドに出て行って自然体験させる。環境教育。

    保全は国際的な視点が必要。
    WAZAの保全戦略「ターニング・ザ・タイド」、水族館戦略。
    保全・繁殖プログラム。
    EAZA(サンゴ礁……研究機関とやる。EUの資金)
    AZA

    淡水魚は繁殖、海水魚は海から取ってきている。

    ヨーロッパは動物園の中に水族館がある(単体ではない)
    日本は養殖技術は優秀。しかし、いつまでもとってくるわけにはいかない。

    ◎パネルディスカッション 
     コーディネーター 木下直之(JAZA広報戦略会議委員、東京大学教授)
     パネリスト:大橋民恵(JAZA広報戦略会議委員、NPO法人市民ZOOネットワーク代表理事)、林良博(JAZA顧問、東京農業大学教授)、西源二郎(東京都葛西臨海水族園園長)、日橋一昭(JAZA生物多様性委員長、埼玉県こども動物自然公園園長)、山本茂行(JAZA会長、富山市ファミリーパーク園長)

    どういう関心が寄せられているのか。
    消えていいのかとはどのような危機感か。
    動物園は、100年以上かけて動物を手に入れてきた。それをどう生かしていくか。
    内向きの組織で外に向かってはやってこなかった。
    資源と経営。

    動物園はどういう方向に向けていくのが正しいのか。
    問題点:
    公立施設ということで、財政・サービスの限界。
    70%が市立。市立動物園は、戦後間もない時期の動物園増を抱えたままで脱皮できていない。自治体の住民サービスであり、保全の問題やグローバルな課題とのギャップがある。
    自治体の外の地域の動物を保全することの意義。

    動物減っている繁殖収集も困難な課題を抱えている。

    福祉の問題も大きくなってきた。
    動物園の社会的地位の不安定さ。教育施設か、娯楽施設か。そもそも何をやる施設なのか。
    博物館法。動物園法も必要では?という声も。

    JAZAの動物園の四分の3は、公立。四分の1が民間。博物館相当施設と比較しても多い。

    どういう時期に開園してきたか。1920年代に少しまとまって。1959年代が建設ラッシュ。1980年代前後は、サファリパークの開園。

    動物はどう減っていくか。
    ゾウ……戦後に来たゾウが死んでいる。健在なのは、ハナ子。円山は、来年度判断。(検討調査、市民アンケート)
    トラ、キリン……1985年くらいがピークで下がっている。
    ゴリラ・ホッキョクク……1990年代後半がピーク

    小田原動物園、何の痕跡も亡くなっている。戦後型動物園の終焉を迎えている。

    上野動物園の在来馬、ツシマヤマネコの繁殖事業、富山市ファミリーパークのヒトと動物の関係を考える、など多様な試み。

    市民ZOOネットワーク 大橋:
    水族館は少し違うんだなと感じた。一般の方からの手紙で多いのは、非常に悪い動物園。何とかできないのか。収集確保は繁殖と同時に各施設で面倒を見て協力してほしい。余剰動物の行き先の現状の改善。この話も同時に進めてほしい。

    林:バイオセラピー学科の学生の50%は動物園に就職したい。
    域内保全と域外保全。大きな動物のインパクト。消してはいけない動物にゾウがあるだろう。
    日本の動物の保全。アホウドリ……域内保全もやっていく必要ある。
    域外保全と手を組んで、両方でやっていく必要あり。
    家畜を保全することもやってもらいたい。FAOの統計では、家畜の絶滅のスピードも速い。

    座長:一般には伝わっていない。動物園の持つ可能性、アニマルセラピー。
    丸山動物園の市民アンケート。ゾウはいるべきか必要ないか。
    動物園が必要かどうか社会の中でもっと語り合う必要があり、ようやくそういう場ができてきた。

    市立の動物が多いことが日本の動物園を形作ってきた。
    日本の問題に取り組むときに、富山市民の税金でやることがいいのか。国と県から離れた存在である。
    予算潤沢ならいいが、日本で行なわれている新しい運動を作っていくべき。
    浄財(寄付)と法律(動物園法)。

    質疑応答:
    ・学生でボランティアをやっている。動物園に出入りしていて思うことは、近親交配が多いということ。
    ⇒輸入できなくなっている。集客のしようがない、金がない。いじめる人がいたり、注意しなかったりする。ゾウは要る。ゾウだゴリラだに頼っている時代ではない。

    ・獣医師だが、大学が研究の依頼をしても基本的に受け入れてもらえない。研究は目的ではないのかもしれないが、教育施設を模索するのも一つの道では。
    ⇒JAZAの中で研究やってますよね? 最近はけっこう動物園でも研究はさせてもらえる。

    ・多摩動物園のボランティアをやっている。「消えていいのか野生動物」という問題がある。供給する国でも野生動物は減っている。数を回復させないと、動物園の存続はありえない。近隣種の放獣(かわうそ、オオカミなど)もやるべきでは。

    ・馬の仕事をしていた。動物園は、毛並み悪い、面積狭い、ストレスが大きく繁殖しにくいということもあると思う。
    ⇒座長:ストレスを受けているのは当たり前。福祉の問題。
    ⇒日橋:動物園で家畜を飼うのは最近のこと。放飼場、手入れ、レベルは上がってきていると感じている。

    ・市立の限界。経営上閉園するところもある。新たに作る動きもないとバランスがとれない。新潟にはないので、つくろうという動きがあるがなかなか。
    モデルなり情報発信ないと、動きは起こらない。動物園は、近年新しくできたところがない。

    ・(NHK)生物多様性、存続するために何をしたらよいのか。手を入れたらいいのか。動物園をバックアップするときに社会が何を求めているのか。どういう動物が必要なのか問われると思う。
    ⇒統廃合で大きくする?
     たくさんの動物を見たい、日本産の動物の場所を確保してね。しかし、日本人の人生と何か関係があるかといえばない。

    林:日本はバックヤードがない。ぎりぎりのことをやっている。繁殖は国レベルでないとできない。法律を整備するべき。
    教育は文科省、保全は環境省、ほか農水省とまたがっているので議員立法が考えられるが、それには国民の声が必要。動物は共有の財産。

    ・動物園は子どものための施設というイメージがある。これからは年寄りが増える時代。移動も大変、動物園まで足を運ばない。行くのに足が必要なところにある。年よりも楽しめるようにしないといけないのではないか。

    ・子どもが生まれても、かわいい時期に見せてくれない。見せてくれる動物園もあるのに。

    ・野生動物の保全に動物園が本当に有効なのか。
    ⇒日橋:有効と認められてきたのは最近。動物園の技術が飼育下繁殖に反映されている。
    シフゾウの野生復帰、モウコウマ、ライチョウ。

    ⇒海の生き物はふえているのか減っているのかわからないものが多い。
     野外放流の例は思いつかない。

    林:カワウソの復帰の話があったが、マングースの例もある。100年後に影響する。
    繁殖技術と治療技術は、日本では動物園にしかない。

    外国産から日本の動物への優先順位。最期まで看取る、福祉の話、高齢化。

    大橋:技術の積み重ねはかなり進んでいると思う。余剰動物の流通、加盟館の現状とレベルが全然違う。そこまでJAZAは面倒を見るべき。

    市立の限界、市の施設だからといってサービスを受けるのは市だけか?
    市立は言い訳。ここ10年の変化は、市の人も受け入れてきたから、変わっていけるはず。

    座長:理念を共有する法律が必要。

    ・具体的に動く所管はどこなのか?
    ⇒山本:危機はチャンスである。加盟していない園館を切り捨てることはない。責任を取らなければいけない。システムを必要としている。
    ライチョウを始めて、域外と域内の融合、環境省と飼育開発、展示の整備をやっていきたい。
    全体のシステムをメリット・価値の共有。

    動物園法もあるが、新たな法律には、目的が国民に受け入れられるものでなければならない。市民とどう関係していくべきか。

    (以上)

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