<ワシントン条約>移動展示のために規制緩和!? パブコメ実施中【終了しました】

※この記事に掲載しましたパブリックコメントは既に終了しています。


5日、アメリカのリングリング・サーカスがゾウの利用を2018年までにやめると公表したとのニュースがあり、サーカスサイトへ情報を追加しました。

 日本でもNHK等で報道されるほど大きなグッドニュースですが、全世界的に野生動物のサーカス利用が廃止の方向にあるにもかかわらず、日本では今現在、サーカスや移動展示での絶滅危惧種の利用について、規制緩和がなされようとしています

 3月26日締切でパブリックコメントがかかっており、付属書Ⅰの動植物について、サーカス・移動展示等の目的で輸入する場合の条件が現在3年までであるものを、生体に限り、条件を満たせば1回延長して6年にできるという制度に変更されようとしています。

 3年で期限が切れた後、一度輸出国に戻し、再輸入することで生体に負担がかかるというのが理由だそうですが、結論として優遇されているのは業者の利益です。そもそも、ワシントン条約の条文ではサーカス・移動動物園について下記のように定められており、加盟国は移動展示ついて特例を設けることが「できる」となっているだけです。

七 管理当局は、移動動物園、サーカス、動物展、植物展その他の移動する展示会を構成する標本の移動について第3条から第5条までの要件を免除し、許可書又は証明書なしにこれらの標本の移動を認めることができる。ただし、次のことを条件とする。
(a)輸出者又は輸入者が、標本の詳細について管理当局に登録すること。
(b)標本が二又は五のいずれかに規定する標本に該当するものであること。
(c)生きている標本の場合には、管理当局が、傷を受け、健康を損ね若しくは生育を害し又は虐待される危険性をできる限り小さくするように輸送され、かつ、世話をされると認めること。

 また、パブコメ案を見ると、条件として「適切に管理されていることを証する書類」が必要とされているのですが、そもそもサーカス・移動展示では適切な飼育ができるはずがなく、矛盾を抱えています

 さらに、日本国内の実態として、実際には移動展示ではないにもかかわらず、「サーカス・移動展示」の区分で承認手続きをし、付属書Ⅰの動物の幼い子どもをふれあい的な目的で利用している施設があります。ただし、移動展示といっても、必ずしも国内で移動をしなくてもよいそうですが、この制度を利用すれば、繁殖・研究でなければ輸入できないはずの付属書Ⅰの動物を単なる展示目的で輸入できてしまいます。 今はCITES上の許可証の年限3年で区切っていますが、日本政府が独自にそれを6年延長にした場合、ますます単なる購入と近づいてきます。

(上記の個体の輸出元の国の施設も娯楽施設であることは変わりませんが、少なくとも母親がいるはずで、WAZA加盟園でもあることから、日本で問題のある利用をされ続けるよりは、帰国した方がよいのではないかと思われます。野生であれば母親とすごす期間を、引き離されて日本でふれあいに使われているのは問題です。

 そもそもCITES上の許可証の年限が3年であるのに、同じ個体を帰国後すぐに再輸入できる運用がされていること自体おかしいですが、赤ん坊をふれあいにもちいている事例などは、6年になった場合、商業的に利用価値のある幼い期間をずっと日本で利用されることになり、まるで商業利用目的で輸入できたのと同じような収益を上げることができてしまいます。付属書Ⅰの動物は商業利用できるのだと人々に教えているようなものです。

 また、野生動物の扱い方として不適切な行為を、多くの人にまるでやってもよいことのように教育するのは、長期的に見て種の保存に悪影響を与えることでしょう。

 ぜひ、サーカス、移動動物園など、娯楽目的の移動展示のために付属書Ⅰの動植物を輸入することができる制度は廃止するよう、意見を送ってください。 6年への延長は国際希少種の取扱いとして不適切であり、むしろ3年で帰国後は再輸入できないようにしてください。

平成27年3月26日(木)締切
※FAX、電子メールの場合は午後5時まで、郵送の場合は終了日必着です。
※メール送信フォームは、下記の意見募集ページの一番下からリンクされています。

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木下サーカスのアジアゾウ

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アジアゾウの飼育舎(移動用コンテナを兼ねる)

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