千葉地裁 千葉地方裁判所

「和名の存在しないサル」等の密輸事件、運び屋の判決は26日。求刑は懲役6カ月、罰金20万円

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「新種」の可能性などとさかんに報道されたガラゴ等の動物を密輸しようとして成田で発覚した事件の裁判が7月17日にありました。当日閉廷後にツイートを連投しましたが、本日、同じ事件の主犯(密輸を依頼した人物)と幇助犯の裁判が開かれるので、まとめを改めてブログにも投稿します。

裁判では「新種」と報道されたサルは、単に「和名の存在しないサル」とされていました。途中で証拠の変更について話が出てきていたので、恐らくこの部分が変更になったのではないかと思います。

コビトガラゴ(デミドフ)かどうかは裁判傍聴では確定できませんでした。しかし新種ではないのは確実なので、訂正の報道が何らかされるとよいなと思いましたが、今のところ裁判の報道はされていないかと思います。マスコミが数社来ていたので、継続して取材してほしいなと思いました。

密輸された動物は、ほかにコモンマーモセット、アカテタマリン、タケネズミ、アフリカヤマネ、ケヅメリクガメ、フトアゴヒゲトカゲ、計17匹です。

裁判は即日結審し、求刑は懲役6カ月、罰金20万円。ほかに密輸しようとした動物の没収と、主犯から運び代としてもらったのと同じ10万円を追徴。弁護側は控訴事実は認めて情状を訴え、執行猶予と罰金を軽微にと求めました。

判決は8月26日(月曜日)午後3:10~ 813号法廷です。

事件の概要

起訴状の読み上げや被告人質問等の内容から概要を再構成すると、だいたい以下のような感じでした。個人名はLINEアカウント以外は全て実名出ていましたが、ここでは略称にします。運搬を依頼したMSのことも、裁判で主犯とは言っていないのですが、便宜的に使います。

裁判登場人物

被告人  中野区塗装業TK
主犯   水戸熱帯魚センター経営者MS(起訴済)
主犯知人 M➡名字しか出ていなかったかと思いますが密輸で執行猶予中のMAと思われます
主犯知人 LINEアカウント「まさ」➡ほう助で起訴済の当別町自転車電装業TMか?
主犯知人 暴力団関係者IT、被告人の友人(同級生)

概要

被告人は、MSの運び屋をやらされた中野区の男性TK。ふつうに真面目そうな感じの青年に見えます。当初、断っていたのに、友人のITから誘われ、報酬10万円で動物をタイから成田空港まで運んだ。

その友人ITは、平成25年頃、やくざとしてみかじめ料がどうとかの犯罪で勾留されていたときに、主犯のペットショップ経営者MSと一緒になり、親しくなった。MSのお店にも遊びに行ったりする仲だった。またITの知り合いに被告人がいるということを主犯に連絡し、事件に関わった人物として、レッサースローロリス4匹の密輸(関税法違反)で執行猶予中の人物(MSの運び屋として知られる人物、タイに91回渡航と報道されていた)の名前Mも一瞬出ました。

被告人TKは、主犯とは、タイに行く前に上野で打ち合わせた。動物を運ぶということもわかっていた。主犯は、バレたら自分で飼うと言え、自分の名前は出すなと言っていた。

報酬10万円は主犯とタイの空港で落ち合ったときにもらった。財布に入れたままで何となく生活費につかってしまった。

渡航費は主犯もちだった。渡航費用の振り込みについては、LINEアカウント「まさ」に予約番号を伝えると航空券代が支払われた。代金が振り込まれたコンビニはファミリーマート竜ヶ崎馴駒店。

タイではMSが動物を買いに行くのにも付き合った。主犯とは別のホテルだったが、主犯のホテルの部屋でスーツケースにサルを詰めるのを手伝った。トカゲなどはよく売られているがサルはペットショップで売られていないし、マズそうだと思って運ぶのは嫌だと言っていたのだが、主犯に大丈夫と説得されて、流されてしまった。

成田空港税関でバレたとき、タイで主犯と一緒に買い付けた動物より多い数、スーツケースに入っていた。(ひどい)

発覚後、サル、トカゲ、ネズミ、それぞれ1匹ずつ死んだとのこと。税関の人からサルが死んだと聞かされて、かわいそうなことをしてしまったと思ったという話も弁護人が聞きだしていました。

密輸された動物の販売価格の評価は計270万円。一部聞き取れていないかもしれないですが、アカテタマリン80万円が一番高そうでした。

差し押さえ物件(動物)の保管場所についての証拠も出されていましたが、どこなのか名前は出ていません。動物については、没収予定のものがあるからということで、写真で1件1件被告人に確認していました。写真は傍聴席に見えないようにしていましたが、被告人は写真1枚1枚、うなづいて認めていました。

当初断っていたのに、友人のITから「これが成功すれば120万の借金返すから」と言われ、お金が返ってくるならいいかなと思い動物を運ぶのを手伝ってしまったという話が最後のほうで出ました。きちんと仕事をしていて収入もあったのに、事件に関与して逮捕されたことで収入が途絶えて既に制裁を受けているという情状路線を弁護士はとっていました。

前科はないので、執行猶予つくだろうと思います。刑期が長くつくより、むしろ執行猶予期間が長いほうが友達ITらを遠ざけるにはいいのかもしれないとも感じました。先日のコツメカワウソの事件も同様でしたが、運び屋をやらされた若者は被害者の側面もあるように思ってしまいます。

高い金を出して珍しい動物を買う馬鹿者のために、まじめに生きられたはずの若者が食い物にされ、前科がついてしまう構図です。許されないでしょう。

本日8月21日は主犯の裁判ですが、一緒に裁かれる北海道の自動車電装業の男の名前が、この日の裁判は出ていませんでした。ただ、下の名前から、LINEアカウント「まさ」がこの幇助犯なのかもしれないです。本日確認してきます。

この密輸一派の悪行の全貌が明らかになったら、日本のエキゾチックペット業界は壊滅的打撃を受けるでしょう…とTwitterには書いたのですが、裁かれるのはあくまでこの事件についてだけなので、日ごろどれくらい密輸しているのかという話は出てこない可能性が高いです。

また、この事件で拘留されていた、主犯知人の龍ヶ崎市動物取扱業IWの名前は裁判に登場しませんでした。当初、報道では数人逮捕とあったので、ほかにも逮捕された人はいるかもしれないですが、わかりませんでした。これらの人たちとは別に動物を売るルートやほかの運び屋もいるでしょうから、密輸に関わる人間がいかに多いかと感じます。

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