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動物実験施設監視業務の問題点を勧告

動物福祉法の執行に関する監査報告書

 アメリカでは、連邦法である「動物福祉法(AWA, Animal Welfare Act) 」に基づき動物実験施設は登録制となっており、動物実験委員会の設置や、最低年1回の査察、年次報告書の提出などが義務付けられています。そして、実際にその査察などの監視業務を行っている国の機関が実際にきちんと法を執行しているかどうかについても国が監査を行っており、その最新の報告書が昨年(2014年)12月に出されました。

 監査は、アメリカ農務省(USDA)の監査部門である監査総監室(OIG, Office of Inspector General)によるもので、調査結果及び勧告内容と、その勧告に対する担当部門の対応が記載されています。

 法の対象となる動物が使われていない実験施設を査察していた(ただし、アメリカの動物福祉法が実験用のラット・マウス・鳥類を除外している点は要注意)、罰金が低く見積もられていたなど、ずさんとも言える指摘されていますが、動物実験施設への査察等そのものが存在しない日本に比べると、やはり格段に進んでいるように感じてしまいます。

 冒頭のまとめ部分のみですが、翻訳でご紹介します。(一部、読みやすいように改行を入れました)

 アメリカの動物福祉法の制度がそもそもどうなっているかが書かれた部分は、下記のページに掲載していますので、ご参照ください。

<参考> 関連する組織は以下の通りとなっています。(監査は別ラインです)

農務省(USDA, U.S. Department of Agriculture)
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動植物検疫局(APHIS, Animal and Plant Health Inspection Service):動物福祉法を所管
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調査執行部(IES, Investigative and Enforcement Services):重篤な問題が見つかった場合に対処
アニマルケア(AC, Animal Care):実際の査察と、重篤でない場合の指導


アメリカ農務省

APHIS(動植物検疫局)による研究施設監視
監査報告33601-0001-41

2014年12月9日

OIG(監査総監室)の目的は何だったか

 我々の目的は、研究施設に関する獣医官(VMO, Veterinary Medical Officer)および動物実験委員会(IACUC, Institutional Animal Care and Use Committees)の審査の妥当性を評価し、執行措置を課す調査執行部(IES)の役割の有効性を判定し、アニマルケア(AC) 部門の業務遂行に極めて重要な新情報システム「アニマルケア情報システム(Animal Care Information System)※1」の信頼性と整合性を査定し、さらにAPHISが以前の監査勧告を実行に移す補助をすることであった。

OIGは何を審査したか

 APHISは平均して毎年1,117の登録済み研究施設について査察を行っている。我々はこれらのうち29か所に立ち入り検査を実施した。会計年度 (FY) ※22010年から2012年の間に動物福祉法違反に対して支払われた罰金(規定)について再検査をおこなった。

OIGはどんな勧告を出したか

 APHISは、稼働中の研究施設が動物の利用や売買、輸送をしたことがない場合、より簡略な査察で済むように、その査察基準を修正できるかどうかを決定しなければならない。当該機関はまた、罰金の査定方法を定める公式文書を作らなければならない。

 OIGはAPHISの監査を行い、当該機関が諸研究施設を適切に監督してきたかどうか、および動物福祉法を有効に運用していたかどうかについて判定した。

OIGは何を見つけたか

 会計年度 (FY) 2001年度以降、APHISのAC部門は、規制対象の動物を過去2年間、使用、売買、輸送したことのない研究施設に対して、少なくとも107か所、500件の検査を実施していた。そのため、ACは本来なら繁殖業者や販売業者、展示業者などのより問題の多い施設に割くことができたであろう限られた人材の最善な活用ができなかった。

 さらに、調査執行部 (IES) の部隊がACやAPHISの他のプログラムと協力して当機関の全体にわたり2,000件に上る未処理業務を削減した。しかしながらACは、たとえば墓地(動物が死んだ場合など)や福祉違反の繰り返しなど少なくとも59件について、自身が定める事例対応終了の基準に従っていなかった。

 IESは、動物福祉法で認められた違反ごとの罰金の最高額に対し平均で86%に減額した罰金を言い渡していた。その結果、2012年には我々が検査対象とした30件の違反のうち、26件から罰金を受け取っていたが、その総額は、我々が2010年の監査の際に効力を与えたワークシートを適用した場合に受け取ったであろう金額よりも少なくとも272,298ドル少ないものとなった。

 我々はまた、我々が再検査を実施した4件で、何らメリットがないのに誠実さが認められるとして減額したり、実際よりも違反数を少なく数えたりして、33,001ドルに上る罰金額が過小評価されたことを突き止めた。

 最後に、APHISの獣医官 (VMO) や、研究施設が確実に動物福祉法を守ることに責任を持つ監督機関である動物実験委員会(IACUC) が、動物実験計画について常時の適切な監視を怠る場合があった。その結果、ACは正規の実験計画が適切に実施され承認され忠実に守られているかどうか、また動物たちが常に最低限の人道的なケアや取り扱いを受けているかどうかの確認を疎かにしていた。

 ACの業務に重要な情報システムに関しては我々は何の問題も見つけていない。

 APHISは我々の勧告のすべてに同意している。

 

※1 登録施設の情報を管理するためのコンピューター・システム。データベースは公開されている。

※2 アメリカ政府の会計年度(FY)は、10月1日から翌年の9月末日まで。


報告書本文より参考図表

研究機関が動物を使用していなかった期間

動物実験委員会の違反

※注:国の査察は最低年1回だが、施設の動物実験委員会による査察は年2回である。

原文

PDF Animal and Plant Health Inspection Service Oversight of Research Facilities Audit Report 33601-0001-41

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