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<アメリカ動物実験代替動向>
規制上の毒性試験を最新化するための新たな試み

米国国家毒性プログラム(NTP)のサイトから翻訳

アメリカの国家毒性プログラム(NTP)は、発がん性物質の評価で知られていますが、そのほかにも工業、農業、医薬化粧品、食品添加物等で使われる化学物質について、毒性に関する知見の収集や試験法の研究開発などを担っている省庁横断的なプログラムです。

つまり動物実験とも深いかかわりがありますが、近年、動物によらない毒性評価について取り組みが進んでいます。

その状況を知ってほしく、昨年2016年11月の「アップデートニュース」から記事を翻訳をしました。ぜひお読みください!


規制上の毒性試験を最新化するための新たな試み

Ernie Hood

9月27日の会議で、代替試験法に関する科学顧問委員会 (SACATM) は、薬品や環境化学物質に関する毒性試験の新規の国家戦略のための提案を全面的に承認した。

その戦略は、より速く、より緊急で、近年の方法よりも高価でないのはもちろんのこと、より人間に関わる新しいアプローチに焦点を当てるだろう。その新規な、もしくは代替的な方法により、毒性試験において動物の利用にとって代わるための取り組みにも拍車がかかるだろう。

代替法評価に関する毒性学プログラム省庁間センター (NICEATM) の代表であるWarren Casey 博士は、代替法の採用を誘導するための計画の必要性を強調している。彼は、アメリカ国立衛生研究所の代表 Francis Collins 医学博士の「10年以内に、動物を使った環境化学物質や薬物の安全性試験の大半は、新しいチップ上の臓器や細胞ベースの試験技術にとって代わることだろう」という最近の予言を引用している。

真のパラダイム・シフト

このゴールに到達するために、Casey は真のパラダイムシフトが必要になると述べた。彼は、科学諮問委員会に、近年の毒性試験への動物に基づいたアプローチを根本的にどう変えたらいいかについて意見を求めるよう依頼した。代替法は、ヒトの生物学を予測するよりよい方法であり、農業用であろうと、医薬用であろうと、工業用であろうと、規制化学物質全体にわたって関わってくるであろう。

Caseyは「科学技術は自分だけで実施するものではない。そして、障害物は自己で解決するものではない」と述べた。彼は、動物を用いた試験に制度的に依存している状況について、連邦機関と規制産業の両方による劇的な変化の必要性を強調した。

Caseyは、「科学はもはや、ヒトが関わる新しいアプローチを実施するために制限された要素ではない」とも言った。「我々は、ここ100年近い間に存在したシステムの変化に関わる法的な、政治的な、社会的な、経済的な挑戦を乗り越えなければならない。」

代替試験法に関する科学顧問委員会の一員であり、ダウ・ケミカル社の Pamela Spencer 博士はこれに同意し、「我々は、この移行期間について語り合っている。これは方向性を変えるというものではない」と述べた。

真の成長

ワーキンググループはすでに様々な方法に取り組んでいる。そのミーティングで出された1つの取り組みには、6つの最も一般的な急性毒性試験に代わるものを含んでいる。いわゆる、6つの研究項目 (Acute oral toxicity:急性経口毒性、Acute dermal toxicity:急性皮膚毒性、Acute inhalation toxicity:急性吸入毒性、Acute eye irritation急性眼刺激、Acute dermal irritation:急性皮膚刺激性、Skin sensitization:皮膚感作) は、化学物質の登録処理を担当している連邦機関から要求されている (下記囲み参照)。

例として、アメリカの環境保護庁 (EPA) の農薬プログラム部 (OPP) は、新規の農薬の有効成分の検出が6つの急性毒性の研究項目から置き換わることを望んでいる。農薬プログラム部における科学者、Anna Lowit 博士は「この範囲、つまり農薬の分野における動物の保護は莫大である。」と言った。

Lowit は動物実験代替法に関する多省庁の共同検討組織でも議長を務めている。この連邦機関のグループは、規制により求められている毒性試験において動物の使用を置き換える、削減する、改良する (3Rs) という政府の取り組みをまとめている。

成功を基に

いくつかの新しい、6つの毒性試験の一部分である皮膚刺激性試験の代替法は、近年の動物を使用した集中的な試験よりも、実際に皮膚の刺激性を予測することが示された。

しかし、これらの成果物には、化粧品の材料も多く含まれていた。この年の終わり頃、ICCVAM を援助する役割を担うNICEATM は、産業・農学の化合物にこれらの方法を使うことを拡大するための研究を立ち上げた。

Caseyは、行政機関の指摘は、彼らの研究領域における化学物質に関して広範囲には使用されていなかった新しい方法との組み合わせに対して不満を漏らすかもしれないとしつつ、これらの研究の重要性を強く主張した。

新しい取り組み

新規の方向性を支持するために、ICCVAMは、ワークショップの議題についての背景の情報を共有するためにワークショップの前にオンラインセミナー(Web上で開催されるセミナー)を開催し始めた。「この新規のモデルは、ワークショップの準備と開催中両方で、我々参加者全員の変わらぬ支援を奨励するためにデザインされた」とNICEATM の副所長を務めるNicole Kleinstreuerは発言した。「そしてそれは、より生産的な会議で結果がもたらされる」とも言った。

同時に、ICCVAMは今や公開討論会を開催している。その内容は、SACATM の会議の前の構成省庁からの更新情報である。この公開討論会は、決断や計画を遂行することに焦点を当てたSACATM の議事録も公開している。

(Ernie Hood は、国立環境健康科学研究所におけるコミュニケーション・渉外局の契約書作成者である。)

吸入毒性試験の課題に取り組む専門家達

Catherine Sprankle

9月22日、23日の専門家会議では、吸入毒性試験において動物の置き換えを行うことに焦点があてられた。その会議は、NICEATM と PETA 国際科学連合によって協賛されていた。

この一連の試験は、代替的な試験に置き換える6つの毒性試験の最も挑戦的なものになりうる可能性を秘めている。呼吸器系は複雑であり、多くの異なった組織と細胞種で構成されている。さらにその上、吸入化合物の投与量は体内の部位によってかなり大きく異なる可能性がある。

Bethesda におけるMaryland会議「世界的な規制および非規制的なデータ要件に取り組む急性吸入毒性試験のための代替的な試み」では、専門家が吸入毒性試験に求められている実験動物の削減および置き換えに必要とされる4つの項目を同定した。

  • 存在している毒性データのデータベースの確立
  • 吸入毒性を起こす、そしてそのような危険物を同定するための有効な動物を使用しない方法を同定するための年次科学評論の用意
  • 試験の必要性を同定するのを助けるコンピューターモデルの発達
  • 動物を使用しない検査方法のための実演可能な研究の設計

参加した機関の中には、国防総省、消費者製品安全委員会、食品医薬品局、環境保護庁および国立環境衛生科学研究所を含め、SACATMの会議にも代表を送っているところもあった。

この会議は、学術界、動物を使用しない試験方法を開発しようとする企業、そして最終的に規制上の要件に向けての試験を使用する予定の化学会社からの代表も含まれていた。

これらのイベントは、背景や前後関係を提供するようなNICEATM と PISC によって提供された一連のWeb上で開催されるセミナーに続いて起こった。SACATM の会員である Catherine Willett 博士は、アメリカのHSUS(全米人道協会)から来て、会議に参加し、新しいWeb上で開催されるセミナーやワークショップの体制を支持している。

(Catherine Sprankle はNICEATM 協会の専門家でありNICEATMを支持する請負人であるILS で働いている)

原文は、国立環境衛生科学研究所のニュースレター「環境因子」からの転載:
http://ntp.niehs.nih.gov/update/2016/11/sacatm/index.html

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