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種の保存法見直しの答申について パブコメ結果も公表

1月30日、環境省の野生生物小委員会が開催され、パブリックコメントの結果等が反映された種の保存法見直しの答申案について審議されました。

最終的な答申とパブコメ結果は、下記のサイトで公開されています。

※答申は出ましたが、法改正そのものや、それに伴う施行までの政省令等の整備はまだまだこれからですから、継続して環境省へ意見を送りましょう。

象牙規制

象牙については、当会も「昨年のワシントン条約締約国会議での決議に従って、日本でも国内取引禁止を検討するべき」との意見を送りましたが、やはり最も多かった意見は象牙の市場封鎖でした。

確か検討会でも意見は出ていましたが、世界的に象牙の取引禁止が拡大すると、合法に流通させることのできる日本が密猟象牙の市場として狙われる可能性は十分にあります。取引停止は、以前にもまして現実的な問題になってきているはずです。

検討会での検討の結果としては(といってもほとんど時間は割いていなかったように思うのですが)、事業者の届出制を登録制にするだけであり、動物取扱業が届出制から登録制になったときに「登録の取消ができるようになる」等随分言われたものの今に至っても実効性が上がっていないことと考え合わせると、どれだけ意味があるのかは疑問です。ただ、わずかではあっても、これまでの日本政府の態度が変化したことは驚きではありました。

パブコメ案からの修正の量も多く、今まさに動いている問題であることを感じます。

付属書II掲載種

この最後のタイミングになってもまだ「CITES付属書IIの掲載種についても国内流通を規制するべき」という意見が1件ありますが、これを送ったのは当会です。日本国のワシントン条約締約国会議での失態に責任をとるべきと考えたのが理由です。

付属書Iで提案されていた爬虫類について、日本が付属書IIに下げさせたために、既に輸出国では違法な状態で日本に輸入されてきていた個体について、日本国内での流通を阻止することができなくなってしまったからです。(確実というわけではありませんが、付属書Iであれば、合法性が立証できない個体について登録を阻止できる可能性がありました)

以前から問題が指摘されていた種にもかかわらず、環境省の職員は、当会が指摘するまでこの点に気が付いておらず、付属書IIで十分だと主張していました。一体どうして、こう業者に都合よくことが運ぶのでしょうか。(おかしいですね)

動植物園の認定制度

「動植物園等の公的な機能」という記述の前に追記があり、「生息域外保全等に関する動植物園等の公的な機能」という限定的な表現になりました。

行動の自由を発現できる広さがあるかや、異常行動が見られないかなども認定の条件に入れてほしいと書きましたが、その部分はカットされ、「動物福祉」の言葉でまとめられてしまいました。

しかし、行政が回答でも「動物福祉」の言葉を使っていて、この語が公文書で使われ始めたのは注目に値するかもしれません。

この制度については詳細がどうなるのかまだわかず、不安が残ります。
(現時点で表に出てきている内容はこちら

▼パブコメ案にここまで修正が入ることは珍しい。

パブコメ意見

[意見]
1 該当箇所

8ページ (3)稀少野生動植物種の流通強化

2 意見内容

昨年のワシントン条約締約国会議での決議に従って、日本でも国内取引禁止を検討するべき。

3 理由

アフリカゾウの密猟による数の減少が深刻であることは既に周知の通り。国際的にもアメリカ、中国が取引禁止の方向にあるが、海外でのマーケットが狭まることによって、日本へ密猟象牙の流入がおきるのではないかと懸念する。取引禁止について、日本も海外に足並みを揃えることを真剣に検討しなければならない時期が来たのではないか。
特に牙について「規制前のものだ」と言えば登録できてしまう状況については、やはり登録の中止(売買禁止)しかないのではないか。
日本政府も象牙市場を封鎖するという意思表示をしてほしい。

環境省の回答
我が国の象牙市場は適切に管理されており、また、象牙の密輸出先や密輸の経由地になっているとの報告もされていないため、国内取引を禁止する必要はないと考えていますが、国際的な象牙の流通管理の強化の要請等を踏まえ、事業者管理制度の強化を検討する必要があると考えています。

——-
[意見]
1該当箇所

8ページ (3)稀少野生動植物種の流通強化

2 意見内容

CITES付属書IIの掲載種についても国内流通を規制するべき。

3 理由

昨年の締約国会議において、付属書Iで提案されていたミミナシオオトカゲについて、日本政府の意見によって付属書IIに下げられてしまったと伝え聞くが、このことにより、輸出国側の規制に違反して密輸されていた可能性が高い個体(※)について、流通を阻止することができなくなってしまった。付属書Ⅰであれば、輸入時の合法性に疑いがある個体について登録しない対応ができたのではないか。これは、明らかに日本政府の失態であり、付属書IIについても国内流通をきちんと規制し、合法性を証明できない個体の流通を阻止できる仕組みを早急につくるべき。

※補足:業者は合法と訴える書類を公開しているが、最も疑わしい時期の書類ではない。

環境省の回答
ワシントン条約附属書IIについては、現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、国際取引を規制しなければ絶滅のおそれのある種となりかねない種を掲載していますが、商業目的の国際取引が可能であり、また、外国為替及び外国貿易法による水際規制が実施されていることから、国内流通規制の必要性は低いと考えています。

—-
[意見]
1 該当箇所

7ページ
(2)動植物園等と連携した生息域外保全等の推進

2 意見内容

生息域外保全に取り組む動植物園の認定制度について、動植物園全体の優良認定であるかのような誤解を生じさせないようにするべき。具体的には、
・名称を、生息域外保全活動限定のものだとわかるような名前にすること。
・広告規制を設けること。

また、認定に当たっては、動物福祉についても一定程度考慮すべき。行動の自由を発現できる広さがあるかや、異常行動が見られないか、動物取扱業の登録事業者であるか、展示動物の飼養保管基準等を遵守しているか等を選定基準に含めるべき。

3 理由

動物園はそもそも野性動物を飼育環境と切り離して飼育する施設であり、本来の生態の完全な再現は不可能。つまり全ての面で優良といえる動物園は存在しえず、動物園の優良認定だと誤解されるような制度をつくるべきでない。

また認定に当たって、動物福祉が全く配慮されていないのは問題。動物福祉自体は動物愛護法に基づいて担保されるべきだが、同法にのっとっているかどうかも認定の条件とするべき。認定施設であるのに、飼育状況が劣悪というのはありえないのではないか。

環境省の回答
ご意見は今後の施策の参考とさせていただきます。
なお、動物福祉の観点については、動物愛護管理行政の中で対応を検討する必要があると考えています。

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