<シマウマのバロンの死>天王寺動物園からの回答と動物商の問題

愛知県の乗馬クラブから逃げ出し、岐阜県内のゴルフ場で捕獲作業によって死亡したシマウマのバロンの件について、本日、朝日新聞が背景を詳細に報じています。ぜひご覧ください。

日大生物資源科学部の村田浩一教授(動物園学)のコメントがとてもありがたいです。

「シマウマの事件は、特定の動物園の問題ではない。日本のすべての動物園・水族館が抱える構造的な問題の結果だ。動物園は、他園に渡すにしろ、仕方なく動物商に渡すにしろ、余剰動物の行き先に責任を持つべきだろう」

天王寺動物園からの回答

ところで、この件については、当会から大阪市宛に送った抗議書に対し天王寺動物園から回答が来ていますが、「増えるにまかせての自然繁殖ではない」等、やはり納得のいかない部分がありました。

そのため、回答への返信として再度要望を送りました。ブリーディングローンだからむやみに繁殖したわけではないというのは言い訳に感じます。ブリーディングローンによって余剰動物を出しているのは、なおのこと悪いのではないでしょうか。

返信の際、上記記事中にある動物商(詳細はこちら)に対しても今後取引を止めるよう、要望しました。

天王寺動物園からの回答

天王寺動物園に対する回答書への返信

2016年5月9日

天王寺動物園
園長 牧 慎一郎 様

PEACE~命の搾取ではなく尊厳を
東さちこ

回答への御礼

動物保護団体のPEACEです。先日は、グラントシマウマ「バロン」の死亡について、当会からの抗議書にご回答をありがとうございました。

今回の場合、正確には二次販売先だけではなく、さらに二次販売先がバロンを預けようとした先にも問題があったということになりますが、今後動物の交換や譲渡を行う際、情報収集に努めていただけるとのこと、大変感謝しております。業者の適性はもちろん、実際に飼育する場所の確認等、ぜひよろしくお願い申し上げます。

一点疑問に思いましたのは、バロンの出生はブリーディングローンによるものであるから自然繁殖に任せたものではないとのご見解についてです。ブリーディングローンであったにもかかわらず余剰個体を生んでいるのは、なおのこと悪いと感じます。

本来計画的に行うべきはずのブリーディングローンでなぜこのようなことが起きたのか、今後の計画については一層のこと慎重になっていただきたいと存じます。グラントシマウマは日本動物園水族館協会の血統登録の対象になっていないとも聞いており、責任はやはり当事者である園館にあると感じざるを得ません。

また、追加で要望をお送りいたしました名古屋市の動物商・坪井靖幸氏との今後の取引に関しましても、解消をご検討いただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

天王寺動物園と動物交換を行いバロンを入手、移動動物園へ売却した動物商については、名古屋市に対し以下の質問をし、回答が返ってきています。その後、既に本人に対する指導は行われており、質問1の回答にある変更届の提出については、取扱数が多いとは言えないため今回は見送られているとのことです。

登録の申請書に書いた動物種だけしか扱えないという法制度にはなっていないため、シマウマを扱ったこと自体は法令違反にはなりません。この点についても、今後厳格な運用ができるような法令の改正が必要だと思います。

また、その後この動物商の著書(昆虫に関する本)のプロフィールを確認しましたが、愛知県内の複数の爬虫類ショップで働いていた経験があるようです。反省はしていると聞いていますが、そもそもシマウマやカリフォルニアアシカなど、大型の哺乳類を扱うような知識があったのかどうかは疑問です。

動物取扱責任者になればどんな動物でも扱えるという制度自体、見直していく必要があるのではないでしょうか。

質問と回答

1. 動物商・坪井源幸氏(第一種動物取扱業登録番号:販売0710030、名古屋市中川区高畑三丁目51番地)の登録簿の内容によると、主として取扱う動物の種類及び数は「犬(2)・猫(2)猛禽、オウム等(20)ヤモリ・カメ・ヘビ等(30)」となっており、大型の哺乳類を扱うことにはなっていません。同氏は、以前にも天王寺動物園からカリフォルニアアシカの譲渡を受けており、登録にない動物種を常に扱っているものと思われますが、このことを名古屋市として把握されているでしょうか。また、このことに問題はありませんか。

回答:登録簿には、登録申請時の登録に係る内容が記載されています。登録申請書には、「主として取り扱う動物の種類及び数」を記載するよう定められており、今後仮にシマウマが主として取り扱う動物になるようであれば、変更届の提出等を指導していきます。


2. シマウマを飼育できる施設を持たないところへの移動を良しとしており、不適切な取引を行ったことは明白だと思います。また、同氏が関与する動物の取引の最中にシマウマが逃げたとも考えられますが、警察等が上手く対応できておらず、捕獲についての知識もなかったのではないかと想像されます。取引の実態を把握するとともに、今後、登録にない動物種については扱わないように指導・勧告をしていただくことはできないでしょうか。

回答:動物取扱業を営むにあたって関係法令等に違反している事実が確認できましたら、指導を行っていきます。

3. 坪井氏の著書等を見るに、専門は昆虫のようです。そもそもどうして動物取扱責任者となることができるのでしょうか。

回答:動物取扱責任者になるためは、研修を了すだけでく実務経験の有無や、資格の有無等要件や、資格の有無等要件も満たさなければりません。これらの要件を満たしてい る場合、動物取扱責任者になことが可能です。


2016.06.01追記 大阪市の動物愛護行政からの回答は別途こちらに掲載しました。

2016.06.19追記:天王寺動物園が譲渡・交換を行った動物たち(2014~15年度)を掲載しました。他にどんな動物たちが放出・交換されているのかはこちらのページをご覧ください。

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