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【翻訳】責任ある個体群管理におけるAZAの方針


アメリカ動物園水族館協会

責任ある個体群管理におけるAZAの方針

AZA理事会により承認 2016年1月12日

序文

AZAの認証評価への厳しい条件、そして、専門的業務の高い倫理基準は、同様の他団体とは無比であり、認可動物展示業への米国農務省動植物検疫局(APHIS)の条件をはるかに上回っている。AZA全加盟施設は、職業倫理規則 (https://www.aza.org/Ethics/) を遵守する義務がある。これらの高い基準を継続するために、AZA認定施設とAZA認証関連施設は、他のAZA加盟施設、あるいは認定評価プログラムを専門的に認識している現地の動物園協会加盟施設からの動物の入手とそれら施設の輸送をなるべく最優先にする必要がある。 

 AZA認定施設と認証関連施設は、生きている動物なしに保全や教育、科学という重要な任務を果たすことはできない。生きている動物個体群の責任ある管理と長期的な持続可能性には、個体が入手、移送、再導入されたり、あるいはある時期に人道的に安楽死を施されたりすることが必要となる場合もある。動物の入手と輸送は、AZA認定施設と認証関連施設の中で、また、AZAと連携する飼育と福祉の基準をもつAZA認定施設・非認定団体の間で、その種の長期的な持続可能性のニーズとAZAの管理個体数によって優先されなければならない。野生から直接、あるいは商業ベンダーを通して動物を入手しているAZA加盟施設は、その行為がネガティブな影響を自然界の種に与えぬよう十分な努力をしなければならない。動物は、合法的に商取引を行っていると知られている、AZA職業倫理規定AZA Code of Professionalsの方針はもとより、精神と意図を反映し支援するAZA非加盟団体から入手されなければならない。

I.序論

この〈責任ある個体群管理におけるAZAの方針〉は、AZA加盟園館に下記の指針を規定する:

  1. AZA加盟施設とAZA認証関連施設からは、動物を、飼育に適切な専門家もしくは施設を欠いた個人や団体に輸送してはならない(付録の分類群表を参照)。
  2. 野生個体群の健康と保全と、生態系が必要に応じて慎重に考慮されること。
  3. 入手、移送、再導入活動のあいだ、すべての関係法令の順守を含め、AZAのメンバー(施設・個人)にとって適切な基準を維持して業務にあたること。
  4. 動物個体の健康と福祉は、入手、移送、再導入活動のあいだ、最優先とされること。
  5. AZAの、共同的に管理された個体群と、関連した〈動物プログラム〉である[種保存計画(SSPs)、分類諮問委員会(TAGs)]の目標を支援すること。

〈責任ある個体群管理〉におけるこのAZAの方針は、AZA加盟園館にとって基本的な方針となる。加盟施設は、〈責任ある個体群管理〉における具体的な地域的懸案事項に対処するべく、独自のAZAの方針を考案すること。いかなる施設方針も、AZAの入手・輸送/移動の基準に依拠することが義務であり、矛盾してはならない。

Ⅱ 法律、権限、記録管理、識別、情報管理

下記のことは、すべての生きた動物と種の入手や輸送/管理に関して熟慮されなければならない(それらの生体・非生体部分、物質、及び製品)。

  1. いかなる入手、輸送、安楽死、再導入も、該当する現地、州、連邦、国際の法規制すべてを遵守しなければならない。人道的な安楽死は、その施設の確立された安楽死の方針に則り、〈動物の安楽死のための米国獣医協会ガイドライン〉あるいは〈非家庭動物の安楽死における米国動物園獣医師協会のガイドライン〉に準拠しなければならない。所有権と、該当するいかなる過程管理も文書で記録されなければならない。そうした書類が存在しない場合、当該の動物や標本に関して説明がなされなければならない。放し飼いの動物のいかなる入手も、現地、州、連邦、国際の法規制を遵守し、野生の種の長期的な生存能力に弊害をもたらしてはならない。
  2. 施設の、園館長および最高責任者は、すべての入手、輸送、安楽死の最終的な権限を持たなければならない。
  3. 入手あるいは輸送/安楽死/再導入は、組織の記録管理システムを通して記録されなければならない。どの動物が輸送されているかを確認する能力はとても重要であり、個々の動物個体を確認する方法は、記録されなければならない。いかなる既存の書類も、すべての輸送に添付しなければならない。施設の動物記録データ、記録ガイドラインが、特定の種のためにそのプロセスを標準化するために作成されている。(https://www.aza.org/AnimalCare/detail.aspx?id=3150)
  4. コロニーcolonial、グループ・リビングgroup-living、あるいは多産の動物種で、これらの個体が群れgroupで維持されている場合、個体を識別することは不可能もしくは非常に非現実的である。これらの種は、グループ・リビングもしくはコロニー、あるいは、グループ・リビングかコロニーの一部として維持、入手、輸送、管理されえる。
  5. 生体あるいは死後の動物から採取した標本の使用目的が、生きた動物を生み出すことであるなら、それら動物の入手、輸送、は同じガイドラインを遵守しなければならない。生殖細胞が、生体動物を生み出す意図で入手もしくは輸送される場合、その子孫の所有権は取引書類に明確に示されなければならない(例:繁殖貸出契約bleeding loan agreements)。

     
     標本を入手、輸送もしくは管理する施設は、新たなテクノロジーが利用可能になるとして、現在と将来に予想される使用を熟慮しなければならない。核DNAが回復しうる全ての標本は、これらの基本的なDNA採取技術はすでに存在しているとして、保存のために注意深く熟慮されなければならない。

  6. AZA加盟施設は、動物の入手、輸送、貸出の取引条件を規定する、取引書類(例:確認書類、繁殖合意書)を維持しなければならない。それには、動物の部分、製品、原料に関する書類も含まれる。これらの書類には、〈責任ある個体群管理〉における方針を遵守する潜在的受注者あるいは供給者、また、AZA職業倫理規定が必要とされる。また、現地、州、連邦、国際当局の該当する法規制の遵守が義務付けられる。
  7. 動物(生体・非生体)や動物パーツ、物質、あるいは製品(生体・非生体)が貸与となっている場合、その所有者の許可書をいかなる輸送にも前もって取得し、施設の記録に文書で記しておくこと。
  8. AZA種保存委員会と分類諮問委員会の、解剖、サンプリング手順は、調整されなければならない。
  9. 政府のなかには、その境界内で自然に発見された種の所有権を保持しているところもある。
    ゆえに、施設の現職者が、政府が入手・輸送している動物が、政府機関、外国あるいは国内に所有されているのかを判断する。そして、AZAのウェブサイトで入手できる、政府の所有権ポリシーの再検討に応じて活動する。政府の所有する動物の場合、輸送の提案書あるいは通知書は、その動物種の担当管理者へ送らなければならない。

Ⅲ 入手条件

A 一般的な入手

  1. 入手は、その施設の任務に適っていることが義務であり、その〈施設別コレクションプラン〉に示されるように、動物個体あるいは動物種に関する、演示/教育、保全、および科学的目標に取り組むことが求められる。
  2. 動物(野生動物、野生化した動物、家庭動物)は、行政機関あるいはその他の施設、救助およびリハビリテーション、研究、繁殖もしくは再導入のためのヘッドスターティング、あるいは特別な展示などの、支援といった理由で一時的に保管されることがある。
  3. いかなる受入施設も、動物個体と種の、身体的、心理的、社会的な欲求が満たされるよう、種の専門的な世話と管理のために、支援し提供する必要な専門知識とリソースを有していなければならない。
  4. その入手が、AZA動物プログラムによって管理された種を含む場合、その施設は、その動物プログラムリーダーとやりとりしなければならない。また、〈グリーンSSPプログラム〉については、〈AZA全館参加方針〉を遵守しなければならない(http://www.aza.org/fullparticipation-in-ssp-program-policy/)。
  5. AZA加盟施設は、入手の決定をする際、〈AZA野生生物保全管理委員会〉―分類諮問委員会地域飼育計画認可と動物プログラムリーダーと、AZA飼育マニュアル(ACMs) を参考にしなければならない。
  6. 野生から動物を入手している商業ベンダーと提携しているAZA加盟施設は、そのベンダーの動物収集が、合法であり、倫理綱領の実行を確実にするために十分な努力をしなければならない。商業ベンダーは、AZA加盟施設と同様の、保全と動物福祉の目標を持たなければならない。
  7. AZA加盟施設は、その動物および種のために最良であれば、公共の寄付や、その他のAZA非加盟施設を通して動物を入手することがある。

 

B 野生からの入手

 演示や教育、野生生物の保全を目的とした、野生動物の数を維持することは、AZA加盟施設の核となる機能である。AZA園館ではその公的使命の基本的役割として、種の保存と、野生生物と原野の保全をしている。そうした理由で、健康で多様な動物群を維持するために、野生からの入手が必要とされる状況があることをAZAは認識している。健康で持続可能な動物群は、管理された種プログラムとAZAメンバー(個人も含む)の核となる方針をサポートする。場合により、野生からの動物個体の入手は、すでに人間に飼育されている動物の繁殖プログラムへの依存に加え、あるいは代替として実行可能な選択肢となりうる。

野生から動物を入手することは、社会経済的便益と環境保護をもたらしえるので、AZAは、保全がポジティブな結果である場合、野生からの環境的に持続可能/有益な入手をサポートする。

  1. 野生から動物を入手する前、施設は、他のAZA園館、他の現地の動物園協会、あるいは他のAZA非加盟団体を含めた代替となる入手先を検討することを奨励される。
  2. 野生から動物を入手する場合、長期間の健康と福祉が、野生群および動物個体に影響を与えることが考慮されなければならない。危機的状況で、個体群の存続が危機に瀕している場合、適切な機関と施設によって、救済決定措置rescue decisionが個別的な基準でなされる。
  3. AZA園館は、 野生で生まれた動物が、自力で生存ができない場合(例:孤児となったり怪我をしたり)に飼養施設を提供したり、あるいは人間へ危害を及ぼす場合や人道的理由から安楽死を施したりすることで、野生動物機関を支援することがある。
  4. 施設は、既に飼育している動物と新たに入手する動物の健康と飼育と維持に、園館がいかなる潜在的な悪影響を軽減しうるかを、リスク評価が定めた後に野生から動物を受け入れなければならない。

IV. 移送、安楽死、そして再導入の条件

A.生きている動物

成功した保全と動物の管理は、多くのAZA加盟施設と非加盟施設の協力に頼っている。AZA認定施設もしくは認証関連施設に動物を委ねることが優先されるが、種の保全と動物の世話に長じる、AZAの使命を分かち合う機関のなかに協力的な文化を育成することは大切である。

  1. AZAメンバー(個人も含む)は、その飼育下にあるすべての動物が、AZAの基準に準拠する方法で輸送され、人道的に安楽死が施され、及び再導入され、そして、適切に世話がなされない所へ動物が輸送されないことを確実にしなければならない。
     
    安楽死に関する詳しい条件については、下記のⅣ.12,を参照のこと。
  2. 動物や標本(部分、物質、製品)の輸送が、〈AZA動物プログラム〉によって管理されている種が含まれている場合、施設はその〈動物プログラムリーダー〉と連絡を取り合わなければならない。また、〈グリーンSSPプログラム〉の場合は〈AZA全施設参加方針〉に準拠しなければならない。
  3. AZA加盟施設は、輸送の決定をする場合、〈世界自然保全モニタリングセンター認定AZA分類諮問委員会地域飼育計画〉、〈動物プログラムリーダー〉、そして〈動物飼育マニュアル〉を参考にしなければならない。
  4. 施設の飼育における動物への食料源として単一で入手された動物は、通常、記載はされない。だが場合により、他の動物を援助するための飼料用動物として利用しうる、数の収容力を越えた記載された動物を利用することは認められる。場合により、記載された動物は、プログラムの一部として種の長期間の持続した個体数管理のために、施設によってそのステータスが「飼料用動物」ステータスへと変更されることがある。
  5. AZA非加盟団体への輸送において、AZAメンバーは十分な努力につとめ、例えば、適切なAZAプロフェッショナル・フェロー、あるいは飼育と福祉の専門知識のあるその他の信頼できる筋といった、提案された受け入れ施設とその現在の業務に詳しい元からの、一部以上の資料文書を含む書類validationを持っていること。また、その受け入れ施設は動物の適切な世話と維持のために必要な専門知識とリソースを有していること。いかなる受け入れ施設も、動物個体の身体的、心理的、社会的ニーズが、現代の動物学に関する哲学と業務practiceの範囲内で満たされるように、その動物種の専門的な世話と管理を支援し提供するための必要な専門知識とリソースを有していなければならない。
    解説文書は、AZA加盟施設にて保管されなければならない(下記#IV9参照)。
  6. 家畜domestic animalsは、競売を含め、その地域の条件に見合った人道的な飼育業務に従って輸送されること。そして、関連する全ての法規制が遵守されなければならない。
  7. AZAメンバーは、動物を競売で展示あるいは販売する可能性のある、いかなる競売、団体、個人に、いかなる非家畜non-domestic animalsをも渡してはならない。この方針の例外に関する情報の分類群表を参照のこと。
  8. 動物を、これらの動物個体を、狩猟を許可する団体や個人に渡してはいけない。すなわち、AZA加盟施設から輸送されて、狩猟される可能性のある動物個体はいない。遺伝的に健康で、持続可能な、動物園・水族館の動物個体数を維持する目的で、AZA公認施設と認証関連施設は、AZA非加盟団体あるいは個人(上記 #IV.5参照)へ動物を移すことがある。これらのAZA非加盟団体(例:放牧事業ranching operation)は、個体数の持続可能性を支えるために、適切な牧場経営慣行ranch management practicesと、その他の保全志向慣行conservation minded practicesに従わなければならない。
  9. すべての貸与機関は、適切な飼育を提供するために、年に一度、貸与標本すべての状況と、受け入れ先の能力を監視し、記録しなければならない(上記 #Ⅳ.5参照)。動物の状態と世話が貸与契約に違反していたら、その貸与機関は、動物の回収、あるいは迅速な是正を確実にしなければならない。さらに、施設の貸与方針は、〈責任ある個体群管理〉におけるAZAの方針と矛盾してはならない。
  10. 生きている動物が、研究目的でAZA非加盟団体へ送られる場合、そこは米国農務省の登録研究施設で、かつ、適格であれば、国際実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)に認定されていなければならない。国際取引では、受け入れ施設は、動物福祉に関する基準enforcementを有する、その国の同等機関によって登録されていなければならない。研究が行われている機関の場合、政府の管理が必要とされていなければ、研究機関は、その研究中、動物の福祉を確実にするために十分な努力をしなければならない。
  11. 動物の再導入と野生へのリリースは、現地、州、国際当局の当該法規すべてに準拠しなければならない。いかなる再導入にも、外来の病原体へ抵抗力のない野生動物を危険に晒す環境へ、そうした病原体が放たれぬよう確実にする最良の衛生と獣医療の順守が必要とされる。再導入は、回復プログラムの一部であることがあり、『国際自然保護連合再導入スペシャリスト・グループの再導入ガイドライン』に対応するものでなければならない。
    http://www.iucnsscrsg.org/index.php
  12. 人道的な安楽死が、動物にとっての生活の質の問題への対処、あるいは疾病の感染防止に、医療的理由で施される場合がある。また、AZAは、人道的な安楽死処置が、動物個体群の層、遺伝学、多様性の管理のために用いられる場合があると認識している。人道的な安楽死処置は、各施設の確立された安楽死ポリシーに従って施され、動物の安楽死に関する米国獣医師会(AVMA)ガイドライン(2013版
    https://www.avma.org/KB/Policies/Documents/euthanasia.pdf)、あるいは非家畜の安楽死に関する米国動物園獣医師協会(AAZV)のガイドラインに依拠することが義務である。
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