滋賀県議会への陳情書:動物愛護管理法違反を繰り返す堀井動物園に関する要望について(全文)

堀井動物園の特定動物に関する動物愛護管理法違反について、5月30日付で滋賀県議会に要望書を送付しました。議会事務局が短縮したバージョンが全県議会議員に配布されました。全文を掲載いたします。


陳情書

2018年5月30日

滋賀県議会議長 様

陳情者 住所 東京都豊島区東池袋3-1-1
サンシャイン60 1F MBE510
氏名 PEACE命の搾取ではなく尊厳を
代表 東さちこ

動物愛護管理法違反を繰り返す堀井動物園に関する要望について

 私どもは動物保護団体として、滋賀県守山市・野洲市に飼育場を構える堀井動物園(園長:堀井嘉智氏)の動物の取扱い状況を問題視しております。特に、「人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物」として動物愛護管理法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)のもと飼養・保管が許可制となっている特定動物(猛獣、猛禽、大蛇、ワニ等)については、飼育に専門知識や技術が必要であるにもかかわらず、無許可飼育等の法律違反が繰り返され、ふれあい・移動動物園に用いる等の安易な取扱いも際立っており、市民の安全の観点から懸念を抱いております。法律違反については、現在、一部は書類送検され、検察庁の判断待ちの状況です。

つきましては、県内外の市民の安全の観点から、同園の特定動物の飼養・保管許可について以下の要望をいたしたく、何卒ご対処のほどよろしくお願い申し上げます。

1) 動物愛護管理法違反(特定動物の無許可飼育)を根拠に、同法第29条に基づいて、堀井動物園の特定動物の飼養・保管許可を取消し、当該特定動物の他施設への移送を指導するよう県に対して促してください。

2) 無許可飼育が発覚した場合、埼玉県、徳島県では、特定動物の他の特定飼養施設への移送や、その他必要な措置等を、知事が命じることができる規定が条例に設けられています。無許可飼育発覚時に、そのまま違反者に対し特定動物の飼育許可を出している滋賀県の現状を正すため、滋賀県におかれましても同様の規定を「動物の保護および管理に関する条例」に盛り込み、「違反した者勝ち」の現状を改めてください。

陳情の趣旨および理由:
堀井動物園のここ数年の主な特定動物関連の法律違反は以下の通りです。
(1) 平成26年4月  ミシシッピアリゲーターの輸送時に通過自治体に無届け
(2) 平成27年2月  ニホンザルの無許可飼育
(3) 平成27年4月  ボアコンストリクターの輸送時に通過自治体に無届け
(4) 平成27年9月  アビシニアコロブスとハクトウワシの無許可飼育
(5) 平成28年11月 キリンの輸送時に一部の通過自治体に無届け
(6) 平成30年4月  ミシシッピアリゲーターの輸送時・県外での展示時に無許可檻使用

輸送時の通過自治体への無届けも、法律上、特定動物の無許可飼育に該当します。またこれらの違反以外にも、標識の掲示義務違反や、許可施設外での飼育などの指導が繰り返されていることが情報公開文書からうかがえます。30日以内に届けなければいけない事項の未届けの発覚や遅延も頻発しています。これらも法令違反です。

同園は、(3)の時点で法律を知らなかったと述べているため、特定動物の規制が動物愛護管理法に盛り込まれて以降、少なくとも9年間、違法な動物の輸送を行っていたことになります。同園は移動動物園であるため、特定動物の入手時に限らず、県外各地への輸送がたびたび生じているにもかかわらずです。(実際には1年前の(1)時点の違反で指導を受けているため、(3)時点で法律を知らなかったはずはありません。)

また同園園長は、本年3月13日、(4)および(5)の違反事実によって、大津地方検察庁に書類送検されていますが、その後にも(6)の違反が発覚しています。(6)については、許可を受けているものと思い込んでいたとのことですが、堀井動物園は、現在は許可檻を一覧にしており、無許可檻であることは外部から見ても一目瞭然でした。

これら以外にも発覚していない違反があるかもしれません。県民ひいては県外の一般市民の安全に対してあまりに無配慮、無責任であることに憤りを感じます。

さらには、県が(2)及び(4)の無許可飼育発覚時に、元の所有者に戻させる、もしくはその他の許可事業者に動物を移譲させる等の対応をとらず、結局飼育を許可してしまっていることも疑問です。始末書一枚書けば、違反した者勝ちとなる状況です。

特定動物とのふれあいについては、堀井動物園がピエリ守山で運営する「めっちゃさわれる動物園」内で、写真撮影のために大蛇(アミメニシキヘビ)を来園者の首にかける、ワニ(メガネカイマン)の口にテープを巻いて客に持たせるといったことが行われています。また最近も、ピューマ、チンパンジー、ミシシッピアリゲーターを県外の移動動物園で用いていました。移動先で事故等あった場合、許可を出している滋賀県の責任が問われるのではないでしょうか。

堀井動物園に関しては、そもそも近隣から悪臭等の苦情があることや動物の脱走事例が多いことだけではなく、狭小な設備を用いて本来の生態を無視した形で多種多様な動物を飼育し、多くの動物が人知れず姿を消していくさまに憤りを感じております。

県の動物保護管理センターが長年指導に当たっていますが抜本的な改善には至っておらず、対策として、まず動物数を減らしていくことが肝要と考えられます。その意味でも、飼育に注意の必要な特定動物から、数を減らしていくことは意味があります。

さらに、「めっちゃさわれる動物園」はピエリ守山から退去を求められており、野洲市内の飼育場は、農地法違反・農振法違反で立ち退き・原状復帰を市から求められています。この2カ所の動物たちをどこに移動させるのかが、今後滋賀県では大きな問題となりえます。早急に手を打つためにも、特定動物から順次ご対応をお願い申し上げます。

以上


追記

書類送検されていた特定動物の無許可飼育については、12月28日、有罪判決が出ました。
裁判の経緯はこちらのページからたどれます。

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