「横浜市動物園年報」の飼育動物一覧に関して改善・訂正の要望

2013年11月18日、横浜市環境創造局公園緑地部動物園課に対し、以下の要望をしました。

経緯はブログをご覧ください。

※横浜市からの回答はこちら


2013年(平成25年)11月18日

横浜市環境創造局公園緑地部
動物園課御中

「横浜市動物園年報」の飼育動物一覧に関して改善・訂正の要望

貴課が担当されている「横浜市動物園年報」において、飼育動物の数が実態と合致していないため、以下の通り改善を要望します。

1. ふれあいに供した動物の数を正確に記載してください

野毛山動物園のふれあいコーナーには常時150羽ほどのヒヨコがいます。2~3週齢で入れ替わっているとのことですので、概算で約2600羽~4000羽ほどのヒヨコが1年間にふれあいに使われているはずですが、飼育動物一覧に記載がありません。

理由は、ヒヨコを全て炭酸ガスで殺処分し、他の動物のエサとして使っているためだそうですが、2~3週間とはいえ、野毛山動物園の目玉であるふれあいコーナーに展示動物として出され、客寄せに使われたのですから、それを飼育動物として数えない判断は誤りではないでしょうか。

生まれたばかりの生き物を不特定多数の子供たちに触れさせてストレスにさらし、その上、数も数えないとあっては、まさに生命軽視、命の使い捨てです。このように粗末に命が扱われるのでは、動物園がふれあいで一体何を教えたいのか、ますます疑問がつのるばかりです。

すべての動物に関し、入園数および死亡数を正確に統計に反映させるよう要望いたします。

2. 死亡数を正確に記載してください

野毛山動物園の平成24年度のハツカネズミの死亡数は、オス・メスとも0となっていますが、平成23年度はオス21、メス598、平成23年度はオス20、メス291となっており、明らかに例年と異なるおかしな数字です。また、そもそもハツカネズミの寿命の短さと飼育頭数の多さを考え合わせると、死亡数0はあり得ない数字です。

直接野毛山動物園に死亡数が0となっている理由を確認したところ、死亡自体は0ではないが、エサ用の殺処分に回した分を計上しないようにしており、最終的な現飼育数との帳尻を合わせるために、ハツカネズミの数字は全体が調整されているとのことでした。

その結果死亡数が0となっているということは、繁殖数・入園数が実際より抑えられていることになります。また、例年の数字と比較しても平成24年度は特に実態とかけ離れた統計になっており、実数への訂正を要望します。

ハツカネズミとのふれあいを園のセールスポイントとして利用していながら、実際には数を調整して殺処分数を公表しないというのでは、あまりに嘘が多すぎるのではないでしょうか。ふれあいに使った動物が死亡もしくは殺処分されたのですから、殺処分の目的がどうであれ、その数字は正確に出していただきたいと思います。

3. 出生が確認できた動物の数を正確に記載してください

平成24年度のハツカネズミの繁殖数はオス0、メス134、テンジクネズミはオス63、メス6となっており、オスメスほぼ同数生まれてくるはずの比率が異常にアンバランスです。

これも理由は、エサ用に殺処分されたもの、もしくは生餌に回されたものが統計に計上されていないためだそうですが、子どもたちに直接触らせて客寄せに使われているような動物たちが、ふれあい用に出産させられていても、実際には間引かれて統計上も抹殺されているというのは、動物園の運営倫理としていかがなものでしょうか。そもそも繁殖の目的がふれあい動物を維持することであるなら、出生数はきちんと数え、ふれあいのために間引いている数も、きちんと公表するべきではないでしょうか。

エサ用だというのなら、ふれあいにハツカネズミとモルモット、ヒヨコを使用するのを中止してください。他の動物のために犠牲になる動物であっても、死ぬ瞬間までストレスをできる限り除くのが動物福祉であり、ふれあいは、それに反しています。

4.出園数も正確に記載してください

ハツカネズミの出園数は、ふれあいに使われたハツカネズミのうち展示目的で園を出たものだけで、他の動物園で生餌にされるために園を出たものはカウントされていないそうです。それなのに、統計上の現飼育数が実数と合うのはおかしく、明らかに統計が操作されていることになります。繁殖数を調整せず、出園数も正確に記載してください。できれば、生餌用と展示用で数がわかるように分けてください。

5.そもそも統計がおかしくなる原因を取り除いてください

野毛山動物園は、そもそもふれあい動物の数が多すぎます。入園者数に合わせて動物の数を増やしているとのことですが、そもそもその考え方が誤りではないでしょうか。ふれあいコーナーへの入場者数があまりに多すぎ、混雑しているために、係員の目は全く動物に行っていません。また、そもそも係員がほとんどふれあいコーナーの中にいません。客が動物を捕まえて触ることについても、何の指導もなく、野放し状態です。

まず、入場者数を制限し、係員が指導・監視できる範囲の動物の数に減らしてください。そもそも生まれた数がわからないというのは、ふれあい動物の管理として如何なものかと思います。

また、エサ用の殺処分と生餌用に回す分があり、それを隠しているために統計がおかしくなっていると思います。すべて実数で公表してください。

以上


12月2日付けで、横浜市環境創造局動物園課長の名前で以下の回答が届きました。

1 ふれあいに供する動物の入園数等の年報への記載について

 ご指摘の点を踏まえ、平成25年度横浜市動物園年報から、野毛山動物園でふれあいに使用しているモルモット、マウス、ヒヨコについても繁殖数、入園数、死亡数、出園数に関して記載してまいります。

2 ふれあい利用者の指導について

 現在、職員9名が交代制でふれあい利用者の指導を適切に行っていると指定管理者から報告を受けていますが、利用者指導の徹底や、そのための入場者制限等といった今回の要望を踏まえ、利用者への指導について適切に行うよう、再度指定管理者に確認、指導してまいります。

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