日本実験動物協会が令和6年度(2024年度)の実験動物総販売数調査の結果を公表しています。同協会はアンケート調査をもとに3年ごとに販売数を公表してきましたが、最新の公表では間隔が2年に短縮されています。
このアンケートは、
- 日本実験動物協会と日本実験動物協同組合の会員
- 会員以外で実験動物を生産・販売していると思われる者
- 大学、公的法人で実験動物を生産、販売(供給)していると思われる者
を対象にアンケートベースで実施されているもので、2024年度分では、29者に送付され、28者が回答(回答率97%)。うち25者に、対象期間内での実験動物の販売実績がありました。
20年前の2004年度にもアンケート結果が公表されていますが、66者に送付し64者が回答、40者に販売実績ありでした。閉業や合併により実験動物生産・販売の会社が減ってきていることを如実に表していると感じます。
実験動物販売数は20年前の約3割に減少!
また、2024年度では販売総数は2,475,044匹。およそ250万匹です。
これが20年前に比べ、どれくらい減っているかを計算してみましたが(下表を参照)、実に約3割にまで減少しました。
実験動物の生産・販売については、業界の規模が縮小していることは明らかです。
これ自体は非常に喜ばしいことですが、動物実験は、このアンケートの対象となっていない企業、研究機関、畜産農家等から動物を入手して行われている場合も多くあります。また研究機関自ら繁殖を行っている場合や、実験の過程で繁殖を伴う場合(特に遺伝子組み換えを伴う場合などは淘汰も数多く発生します)もあり、このアンケートの販売数は、実際の実験使用数とは大きく乖離していることにご注意ください。
実験動物保護のための枠組みを法制化している諸外国とは違い、日本には法律がないため、公式の統計は存在せず、どれだけの実験動物が年間に使われているかは闇の中です。
大学などが一見、実験動物の数を公表しているように見える場合も多いですが、1日あたり何頭飼育したかの数であったり、ある日付の時点で飼育していた数(悪質な場合は、多くの実験が行われていないと考えられる春休み中の年度末、年度初めの日の飼育数で公表している場合もあります)の場合も多く、そうした機関では実際に使用した数は情報公開でも開示されません。
日本で実験動物使用数が本当に減っているかどうかは、現状、誰にもわかりません。
動物実験の3Rのうちの代替や削減が本当に進んでいるかを知るための一つの重要な指標について、日本では意図的に、あえて政策的に把握しないことが選択されているのです。つまり国も業界も、3Rなど本当に進めるつもりはなく、絵にかいた餅にしておけばよいという意識であることを強く感じます。
私たちが諸外国のような法律による把握を求める理由のひとつです。
実験動物の年間販売数(2024年度)
日本実験動物協会による2024年度販売数アンケート結果による。回答は28者(企業・研究機関等)、回答率97%。うち販売実績ありは25者。
比較、備考欄はPEACEによる。
| 動物種 | 販売数 (匹) | 20年前との比較 (2004年度の匹数に対するパーセンテージ) | 備考 (傾向や注意事項、 アンケートの注釈・解説からの抜粋等) |
| マウス | 2,459,398 | 39.2% | 2004年ではSPFはおよそ4分の3だが、2024年ではほぼ100%に近い。 遺伝子改変マウスが1995年度762 匹の 58 倍(4万4千匹)と急増との解説あり。 |
| ラット | 412,804 | 16.2% | 2004年ではSPFはおよそ8割だが、2024年では100%。 遺伝子改変ラットが前回2022度 74 匹の 3 倍の225 匹に急増との解説あり。 |
| モルモット | 36,005 | 11.8% | 2004年ではSPFは約2割だが、2024年では100% |
| ハムスター 類 | 11,184 | 29.3% | 2004年ではSPF以外が約1.5割あるが、2024年ではSPFが100% |
| その他のげっ歯類 | 487 | 6.5% | 注釈によればスナネズミ |
| ウサギ | 21,420 | 17.5% | |
| イヌ | 3,130 | 24.5% | 最大手の輸入販売数が含まれていない。最大手のシェア8割とすれば、全体で年間およそ15,000頭か? |
| ネコ | 182 | 20.5% | |
| サル | 422 | 18.8% | 輸入は年間で約5000頭で、アンケート結果と大きく乖離している。ユーザーの直接輸入及び本 調査先以外からの購入が多数あることに起因すると思われますとの解説あり。 |
| ブタ | 3,533 | 260.2% | 畜産業から購入される家畜豚は含まれていない。 2004年ではSPFは0だが、2024年では約4分の3がSPF |
| ヤギ | 0 | ー | 畜産業からの購入は含まれていない |
| 緬羊 | 0 | ー | 畜産業からの購入は含まれていない |
| 鳥類 | 9,698 | 56.1% | |
| その他の哺乳類 | 118 | 10.0% | 注釈によればスンクス、フェレット |
| その他の哺乳類以外 | 1,388 | 9.7% | 過去の注釈では両生類、魚類。 EU統計で魚類の占める割合が高いことと比較して数が少なすぎ、アンケートから漏れている販売も多いのではないかと考えられる |
| 計 | 2,475,044 | 31.7% | 卵を除く計 |
2004年度分以降の各回の数値については、こちらのPDFをご覧ください。
EU+ノルウェー 計28カ国の実験動物使用数(2023年)
比較のために、EUの最新の統計も見てみました。28カ国で実際に使用した数が、年間およそ800万匹。これに対して、日本は1国で年間およそ250万匹を購入し、おそらくその何倍もの実験動物を使用しています。
28カ国の人口はおよそ4億6千万人と、日本の3.5倍もあることなどを考え合わせると、日本は漫然と実験動物を使い続けてはいないでしょうか。
| 種名 | 使用動物数 | 全体に占める割合 |
| マウス | 3,560,004 | 44.64% |
| ラット | 576,826 | 7.23% |
| モルモット | 91,932 | 1.15% |
| ゴールデンハムスター | 15,523 | 0.19% |
| チャイニーズハムスター | 111 | 0.00% |
| スナネズミ | 2,812 | 0.04% |
| その他のげっ歯類 | 12,865 | 0.16% |
| ウサギ | 349,055 | 4.38% |
| ネコ | 1,840 | 0.02% |
| イヌ | 8,352 | 0.10% |
| フェレット | 768 | 0.01% |
| その他の食肉目 | 5,154 | 0.06% |
| ウマ、ロバ及び交雑種 | 2,330 | 0.03% |
| ブタ | 71,413 | 0.90% |
| ヤギ | 975 | 0.01% |
| ヒツジ | 13,204 | 0.17% |
| ウシ | 20,465 | 0.26% |
| 原猿類 | 38 | 0.00% |
| マーモセット及びタマリン | 328 | 0.00% |
| カニクイザル | 3,826 | 0.05% |
| アカゲザル | 165 | 0.00% |
| バブーン | 34 | 0.00% |
| リスザル | 1 | 0.00% |
| その他の哺乳類 | 5,754 | 0.07% |
| 家禽 | 331,355 | 4.16% |
| シチメンチョウ | 19,864 | 0.25% |
| その他の鳥類 | 75,410 | 0.95% |
| 爬虫類 | 3,339 | 0.04% |
| ヨーロッパトノサマガエル | 2,584 | 0.03% |
| アフリカツメガエル | 9,310 | 0.12% |
| その他の両生類 | 16,031 | 0.20% |
| ゼブラフィッシュ | 349,194 | 4.38% |
| スズキ | 389,438 | 4.88% |
| サケ、マス、イワナ、カワヒメマス | 1,470,307 | 18.44% |
| グッピー、ソードテール、モーリー、プラティ | 80,335 | 1.01% |
| その他の魚類 | 476,229 | 5.97% |
| 頭足類 | 7,055 | 0.09% |
| 計 | 7,974,226 | 100.00% |
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